しかし、自分たちの地域は自分たちで守ろうという「自治意識」は旺盛です。農林業への取り組みや特産品づくり、祭り等の伝統文化の継承、防火防災活動、社会教育活動等、実に多彩で活発な活動が展開される、地域力のある町です。
その1つが、かやぶき屋根の保存です。約250棟が現存し、若いかやぶき職人を育て、文部科学省から指定された伝統的建造物群保存地区の運営は、北集落が自ら取り組んでいます。それらの取り組みは、昭和63年国土庁(当時)の「第3回全国農村アメニティコンクール」優秀賞を手始めに、「豊かなむらづくり農林水産大臣賞」、「手づくり郷土賞建設大臣賞」等と続き、今年度も「京都創造者大賞2008」を受賞しました。
自然農法とEMに出会って
私と自然農法やEMとの出会いは、船井幸雄先生と比嘉照夫先生とのご縁があったからです。船井先生のセミナーの会員として比嘉先生の講演を聞いたとき、最初はEMの素晴らしさが信じられませんでした。しかし、船井先生の紹介された数々の「本物」は、時間をかけて徐々に認知されています。また、世の中の変化も先読みをされています。
私は小売業を生業とし、青年団や消防団、スポーツ少年団、ミニコミ誌の編集委員など多くの社会活動を続けていました。平成5年ごろから畑作と生ごみのボカシあえがその中に加わりました。「人のために活動している自分が一番自分らしい」と思うようになってからは、好奇心や教え好きも手伝って、市内各地でEMボカシづくり講習会を重ねていきました。
平成14年、50歳でギアチェンジと決めていた私は、畑作で培った自然農法技術を米づくりに活かそうと試みました。近くの(財)自然農法国際研究開発センター京都試験場から指導を受けられた幸運も手伝い、1人で始めた自然農法の米づくりが、「美山自然農法の会」設立へとつながり、現在では仲間が20人にも広がりました。
「やりだしたら集中してとことんやる」。 この姿勢は数々の社会活動の中で身に付けたものです。また、比嘉先生から聞いたEMは、頭で理解したのではなく勘のようなもので、”これはいける”と感じたものでした。
自然は偉大で、あるがままです。私たち人間は小さいもので、自然を尊び、素直に受け入れ、その力をかりながら生きていくものだと思っています。
今後1年間、かやぶきの里から、有機農業モデルタウンとしての活動とともに自然とのふれあいを報告していきます。どうぞよろしくお願いします。
今回、「かやぶきの里便り」と題し、美山有機農業推進協議会の村田正夫さんにコラムを書いていただくことになりました。村田さんは、自然農法実施歴17年と農業者でありながら、市議会議員を務め、さらに小売店を経営されるというバイタリティ溢れた方です。また、協議会では技術指導副担当というポジションではありますが、その行動範囲の広さから、他の協議会構成団体との連携を密にする役目も果たしています。
この1年間で、有機農業モデルタウンの取り組みや協議会の活動はもちろん、自然環境豊かな美山の素晴らしさなどもリアルタイムで紹介してくださいます。どうぞ楽しみにしてください。(松崎)
むらた・まさお 1951年生まれ。1992年家庭菜園に自然農法を取り入れ、2002年からは約50アールで稲作実施。2004年には仲間とともに美山自然農法の会を設立。自然農法の会は、2006年成立した「有機農業推進法」のもと、農水省が打ち出した地域有機農業推進事業(モデルタウン)に採択された「美山町有機農業推進協議会」の構成団体でもある。2008年には同協議会の技術指導副担当に就任。現在、地域での有機農業推進に尽力。南丹市市議会議員を務めながら、市内で小売業を営んでいる。
第12回有機農業が持つ大きな可能性
第11回米づくりの流儀
第10回新規就農者が地域にカツを
第9回有機農業実施者が続々来町
第8回未来担う子どもたちとの関わり
第7回生産者支える都市交流
第6回ようこそ!美山町へ
第5回行政機関のバックアップ
第4回独自の認証制度で野菜づくり
第3回速報!モデルタウンは毎年申請
第2回米づくりにかける情熱
第1回かやぶきの里・京都美山町