昨年度までは、全国規模で自然農法・EM技術交流会が開催されてきたが、有機農業推進法(以下、推進法)成立後、国や地方自治体がその普及や技術確立に取り組んでいることを受け、今年度から新たに、自然農法技術交流会として多様な自然農法、有機農業技術を地域に密着した形で普及させていくことを目的に開催された。
●自然農法研究の成果目の当たりに
畑作分科会では、緑肥草生・刈敷き利用によるカボチャ・ダイコン連続栽培やキャベツ・イネ科植物の二毛作で病虫害の発生が少なく収量も高くなっている圃場などの見学会が行われた。また、人気の高いキュウリ品種「バテシラズ2号」の、果実の 長さや初期収量が改善された「自農C―15」(来年から頒布予定)の紹介があった。
さらに、約50人が共同生活をし、15haで118品目253品種を栽培している、木の花ファミリーの内田達也さんや、高知・土佐自然塾卒業生のみのる農園の小谷稔さん、建設会社に勤める傍ら兼業で有機農産物を販売する(有)然菜という会社を立ち上げ、若者とともに農作業に励む雪丸高志さんなど、参加者の事例発表もあった。
●推進法によって社会的戸籍ができた
始めに、琉球大学名誉教授の比嘉照夫教授が、「農は国の基なるぞ~地域社会づくりにおける農家の使命~」と題して講演。「推進法によって自然農法と有機農業に社会的な戸籍ができた。農薬や化学肥料を使わず、自然農法・EM技術に取り組めば、環境や医療、健康問題の解決に繋がる。農業が産業的に付加価値をつけられる構造に変えていこう」と、農業の本質や可能性について力強く語った。 続いてのパネルディスカッションでは、農水省の有機農業支援対策事業の目玉のモデルタウンに採択された「美山有機農業推進協議会」の村田正夫氏、「徳島有機農業推進協議会」の佐伯昌昭氏、不採択にはなったが、新潟県でコシヒカリを中心に有機JAS認定認証をグループで取得し、地域での食育や環境教育に取り組むNPO法人「魚沼ゆうき」の山岸勝氏、農水省・生産局農業環境対策課課長補佐の望月光顕氏が登壇。自然農法センター理事で茨城大学農学部長の中島紀一氏がコーディネーターを務め、各地の事例発表や意見交換などを行った。
特に、質疑応答では農水省の望月氏に質問が集中。行政が進める有機農業推進進捗状況に対する参加者の関心の高さが伺われた。望月氏は、有機農業には、環境負荷の低減や生物多様性の保全など多面的機能があると認識していると説明。また、有機農業の科学的実証試験や実施者との共同研究などを行っていることを紹介した。
●自然循環型のモデルタウンづくりへ
参加者からは、「全国の仲間と語り合う機会が持てて励みになった。学んだことを早速自分の畑でやってみたい」「無農薬で田んぼの雑草対策が可能だということを再認識した。改めて自然農法の基礎を学べた」「農業は決して3Kの仕事ではなく、重要なものであると確信できた」などの声が聞かれた。
なお、来年3月15日には、第14回全国EM技術交流会中部大会が、あいち健康プラザで開催される予定。
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