ほっこりしました。本当にほっこりしました。見えない相手との闘いはこんなに疲れるものかと、正直参りました。「これだけ活動したんだから、これだけ成果が出てきたんだから、これだけ…」と手ごたえはあったものの、採択の基準が見えないものですから不安にならざるを得ませんでした。
しかし、とりあえず認められたのです。昨年認められた中から落ちたところもあると聞いていますので、身を引き締めなくてはいけません。これで、このコラムも引き続き書くことができることになりました。めでたし、めでたし。
認証制度で地域活性化めざす
さて今回は、協議会の構成団体の1つである「美山認証野菜生産者の会」が中心になって行っている野菜づくりの取り組みにについて紹介します。
この制度は、農産物の販売拡大と農家の所得向上をめざし、美山町独自でつくり、主に野菜に関しての認証を行っています。栽培基準は、金ランクと銀ランクの2つに分けており、化学肥料不使用、農薬は不使用か有機JAS認定資材のみに限定したのが金ランク。化学肥料・農薬(普通物に限定)を必要最小限に厳しく制限したのが銀ランクとなっています。今までの栽培実績は7:3で、圧倒的に金ランクが多い状態です。
平成19年には、制度で認証された農家の栽培技術・所得向上を目的として、会員約50人で「美山認証野菜生産者の会」が立ち上がりましたが、そのメンバーたちによって栽培された認証野菜は、地域の直売所で販売する他、学校給食にも供給されています。また、この制度のコントロールタワーを担う第3セクター「美山ふるさと株式会社」により地域外に出荷されていて、消費者への産直宅配や、定期的な野菜市、飲食店、自然食品店等で販売されています。
そして、大きな転機となった第3期は平成13年から始まりました。今までの画一的な栽培から、生産者の顔が見える「安心」と「季節感」を意識した町独自の農薬施用基準を制定した栽培方法に改め、消費者を意識した生産と消費を結びつける生産振興をめざすことになりました。これが、現在の金・銀ランクの認証野菜制度に発展していったのです。
美山での野菜づくりの取り組みのポイントとして、 1.町独自の農産物認証制度に取り組んだ。 2.「安心」につながる野菜づくりを早い時期から進めた。 3.消費者に支持される販売体制づくりを意識した。 4.地方自治体がリーダーシップを発揮して、生産者、農業関係機関、流通、販売関係者等との連携を図った。 の4つが上げられます。生産者の高齢化や、少量多品目の非効率さなど課題はありますが、有機農業推進法、有機農業モデルタウン事業を追風に明るい展望を持っています。
米づくりと野菜づくりの交流
市原会長は、EMボカシやEM活性液づくりに熱心に取り組まれ、それらを使った野菜栽培技術は目に見えて上達されています。その野菜には虫がつきにくく、美味しさや甘さにはビックリします。また、私がEMの開発者比嘉教授から伺った、米のとぎ汁EM発酵液を活用した収穫残渣や刈り草、落ち葉、米ヌカなどでの堆肥づくりを伝授するとまたたく間に身につけられ、今は完全に野菜づくりにハマった状態となりました。
農産物の栽培の基本は同じ、やはり土づくりです。米をつくるのも野菜をつくるのも、いかにして作物の育ちやすい土をつくるかに尽きると思います。これからも米づくり・野菜づくり農家の交流がさらに進み、有機農業の取り組みが広がっていくことを期待しています。
むらた・まさお 1951年生まれ。1992年家庭菜園に自然農法を取り入れ、2002年からは約50アールで稲作実施。2004年には仲間とともに美山自然農法の会を設立。自然農法の会は、2006年成立した「有機農業推進法」のもと、農水省が打ち出した地域有機農業推進事業(モデルタウン)に採択された「美山町有機農業推進協議会」の構成団体でもある。2008年には同協議会の技術指導副担当に就任。現在、地域での有機農業推進に尽力。南丹市市議会議員を務めながら、市内で小売業を営んでいる。
第12回有機農業が持つ大きな可能性
第11回米づくりの流儀
第10回新規就農者が地域にカツを
第9回有機農業実施者が続々来町
第8回未来担う子どもたちとの関わり
第7回生産者支える都市交流
第6回ようこそ!美山町へ
第5回行政機関のバックアップ
第4回独自の認証制度で野菜づくり
第3回速報!モデルタウンは毎年申請
第2回米づくりにかける情熱
第1回かやぶきの里・京都美山町