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美山有機農業推進協議会 村田正夫
コンパニオンプランツが流行!?

今年の初雪は11月2日。里の中心地では見られませんでしたが、山の奥では紅葉に積雪という珍しい風景に出会えました。その後は比較的温暖で、平年並みの気候となっています。

さて、今「美山有機農業推進協議会」メンバーの中で密かに広まっているのが「コンパニオンプランツ」(共栄植物)です。4日にモデルタウン事業で行った(財)環境科学総合研究所所長の木嶋利男先生の講演会がそれに拍車をかけています。近くに植えると、互いに良い影響を与え合う植物同士をそう呼んでいます。例えば、長ネギとイチゴの混植は萎黄(いおう)病を、ニラとトマトの混植は萎凋(いちょう)病を防除します。


村田さんもコンパニオンプランツに挑戦
今秋、南丹農業改良普及センターの指導でハクサイの傍にエンバク(麦)をまいてみました。エンバクは、害虫の天敵の住処となり、ハクサイのウイルス病を防ぐ効果があると言われています。最初にまいたのは「美山認証野菜生産者の会」の井上さん。「美山自然農法の会」の市原会長宅に残り種が持ち込まれ、会員5人が次々とチャレンジ。期待と不安が入り混じり、ワクワクドキドキでとにかく毎日ハクサイの傍へ行きます。下葉の状態、虫の付き具合などの観察はもちろん、除草や水やりなどの世話もこまめにやります。

今ではエンバクは60pまで伸び、ハクサイは立派に巻いています。EM7やEM活性液とEMセラミックスパウダーの希釈液を初期段階で散布したところ、例年出る割り箸の先にメリケン粉を溶いたもので退治する「黒い虫」らはまったく見当たりません。

「ようできてきたで」とか「虫が少ないなぁ」など、でき具合はおおむね良好。自然農法に取り組む人たちは、情報や技術に前向きで即実践します。先の木嶋先生講習会には、何の動員もかけずに80人が参加しました。さらに特徴的だったのは、市外も含め広いエリアから万遍なく参加があることで、初めて見る方が半数もいて、有機農業に取り組む人たちが、結構回りにいることが分かりました。モデルタウン事業の中で、こういう方たちも早く仲間にしていく必要があると思います。

除草対策をどう乗り切るか


深水で浅い代かきをし、トロ土層を人為的に形成させる
このように、野菜づくりに様々な技術があるのと同じで、私の本業である米づくりにも種々あります。自然農法稲作技術の最大のポイントは、除草対策と言ってもいいでしょう。「いかにして雑草を生やさず、稲だけを大きく育てるか」が永遠の課題です。これを解決したら、面積拡大が進みコストダウンが図られます。いくら私たちが「自然農法はいい」と言っても、雑草だらけの田んぼでは人がついてきません。

今までで1番多い講習会は、代かき講習会です。いつも参加者が多く、「除草対策のポイントは代かきだ」との思い入れの強さが伝わってきます。水は深めにしてロータリーの回転は速く、浅めにかいてゆっくり進むのが基本ですが、「エッ、こないゆっくり進んで、こない浅く、こない早く回すのか」と田の水の深さを含めて慣行農法とまったく反対のやり方に、初めは皆戸惑います。

もう1つの代かき方法に、ヒタヒタ水で芽を切った雑草を練りこんでしまうやり方があります。両方試している市原会長は、先の深水の方が結果良好とのこと。田の土質にもよりますし、1回目の代かきとの間隔、雑草の芽の切り具合にもよります。結論はまだまだ不確かですが、自分に合った、その田に合ったやり方で行うことが大切です。

最近の除草対策では、チェーン除草が有効だと思います。田植え直後からチェーンを引きずり、芽を切った雑草を根こそぎ浮かしてしまおうというのです。このやり方は、今後かなり技術革新が進むと思います。ただ、深水代かきでトロ土層を人為的につくり、種を沈めて芽が切れないようにするなど、自然の仕組みを上手に活用する技術にはロマンがありますし、どの技術を選択するかは人それぞれではないでしょうか。

EM効果は絶大

EM技術は、自然農法の強い味方です。簡単で失敗しにくく、しかも資材の安さが魅力です。稲作でよく使うのは、EM活性液とEMボカシです。


除草対策にEM活性液は欠かせない
除草対策で、田植え直後にEM発酵油粕ペレットなどの有機物を散布する時は、特にEM活性液の効果が現れます。2〜3倍の希釈液を、畦から勺でまきます。有機物の分解が進み、雑草の芽が切りにくい条件や発芽後の根に障害を与えてくれます。また、イモチ病対策に食酢を散布する時や、カメムシ対策にニームオイルを散布する時にも使います。よく使いますので、つくり方の講習会は毎年開きます。

EMボカシは、秋の耕起の前に散布して、稲ワラの分解を進めてくれます。今のところ、大量につくる機械がないので、皆が使うところまでにはなっていないのが課題です。

観察力、丁寧さ、こだわり

最近は老眼鏡を手放せませんが、田の畦で一服している時など、メガネをかけて回りを見ると、多くの昆虫などの生き物や草の様子がまるで違った世界のように飛び込んできます。全体を見るマクロの目、1つひとつを細かく見るミクロの目、そのどちらもが農業者には必要です。感じる目と見つめる目とでも言ったら良いのでしょうか。

自然農法に転換したばかりの人は、田に沸くように発生したミジンコを見て、まず感動します。「これは何ですか?」と、まったく気づかない人がいますが、自らの取り組みで、新しい命を生み出したというたまらない充実感に浸ることができると思います。改めて動き回るミジンコを観察し直し、命を育む水や土からできる米に自信を持っていくのです。


市原会長の田んぼ。藻が生えることは一見マイナスに見えるがこれも雑草対策になる
市原会長は、以前10アール程度の田の手除草に3日間かかっていたことがありました。「稲が、草を取ってくれ!栄養がとれへん!とわしに悲しそうに言うねや」と笑いながら、わが子に食べ物を与えるように黙々と作業をしていたことが印象的です。

「自然農法の会」の平井さんは、いつも刈り取った畦草を積み上げて、堆肥にしています。収穫後の田に散布してすき込むなど、その作業の丁寧さに感心させられます。80歳目前ですが、向上心は旺盛で、私が田の様子を見に行った時は必ず質問をされます。

同じく文字さんはまだ60歳。奥さんの美代子さんとの二人三脚で、稲作は来年で3作目を迎えます。トラクターでの秋すき、代かき、漏水を防ぐ畦付けなど経験とこだわりを生かした作業は、一目置く存在です。特に畦付けは、土の固さや水の量など、ここぞというタイミングを逃しません。

市原型、平井型、文字型など、1人ひとりが自分の「流儀」を持つこだわりが、技術の質を上げ、やりがいを生みます。年々増え続ける仲間には、こだわりから生まれる達成感を徐々に身に着けてもらえるようフォローしていきたいと考えています。

掲載日:2009年11月25日

村田正夫 プロフィール

むらた・まさお
1951年生まれ。1992年家庭菜園に自然農法を取り入れ、2002年からは約50アールで稲作実施。2004年には仲間とともに美山自然農法の会を設立。自然農法の会は、2006年成立した「有機農業推進法」のもと、農水省が打ち出した地域有機農業推進事業(モデルタウン)に採択された「美山町有機農業推進協議会」の構成団体でもある。2008年には同協議会の技術指導副担当に就任。現在、地域での有機農業推進に尽力。南丹市市議会議員を務めながら、市内で小売業を営んでいる。

 

第12回
有機農業が持つ大きな可能性

 

第11回
米づくりの流儀

 

第10回
新規就農者が地域にカツを

 

第9回
有機農業実施者が続々来町

 

第8回
未来担う子どもたちとの関わり

 

第7回
生産者支える都市交流

 

第6回
ようこそ!美山町へ

 

第5回
行政機関のバックアップ

 

第4回
独自の認証制度で野菜づくり

 

第3回
速報!モデルタウンは毎年申請

 

第2回
米づくりにかける情熱

 

第1回
かやぶきの里・京都美山町


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