EMとの出会いは、人との出会いも含め私の世界観を大きく広めてくれました。 EMは良いと聞いても、伝えていくことは難しいです。しかしながら、EMは使えば使うほど効果が現れてくるので、実践をしていく中で、実感していくのが納得への近道です。
インフルエンザの猛威も、園内のEM散布を怠らず、善玉菌が豊富な微生物環境を整えることで、しっかりガードしてくれました。極めつけは、私的なことですが、第10回で触れました夫の末期ガンの改善です。私のみならず周囲の皆さんも驚き、EM的生活への確信にもつながった出来事になりました。小さな1施設ではありますが、今後も良いことはどんどん発信して行けたらいいと思っています。
保護者と共に子育てを歩む
子どもたちの身体の発達は、目に見えます。“心の発達”という点でももちろん、思いやりややさしさに触れる場面は数多くあります。しかし、保育園と子どもの関係だけでは発達につながらないのです。親の心の持ち方ひとつが、子どもの心に反映されます。親の気持ち次第で子どもの心が左右されてしまいます。
だからこそ、親のストレスを最小限にしていきたい。それには子どもの心身の発達を含めて、とにかくどんな内容であれ、「話をしていく」ことが最重要だと思っています。今まで以上に、保護者らに声をかけて話をするようにしていくこと。これは全園体制で臨まなければできません。クラス担任のチームワークを良くして、職員間の風通しがよいことが基本になります。
園児をお迎えにくるときの保護者の方々のために、サロンのようなスペースがあるといいのかも知れません。EMを媒体にして、生活感いっぱいの身近な話題で盛り上がることも楽しいではありませんか。
神話で伝える日本の心
かって、イギリスのアーノルド・トインビーは、「12〜3歳までに民族の神話を学ばなかった国民は例外なく滅びる」と言ったそうですが、今の日本の一般の教科書では、神話どころか天皇でさえも、第33代の推古天皇からしか紹介されていないのです。まずは、日本という国がどのようにしてできてきたか。その“神話”を子どもたちに伝えて行かなければと考えています。稗田阿礼(ひえだのあれ)が暗誦(あんしょう)していたものを太安万侶(おおのやすまろ)が文字に表したのが『古事記』ですが、その“神代の巻”が日本の神話です。
例を挙げれば、イザナギ・イザナミの命による「国生み」からは、男女が尊敬し合うことが大切だと言うことが描かれています。皇室のご祖神の天照大神がお隠れになる「天の岩戸」では、みんなで話し合って意見を出し合い、笑って難問を乗り切る神々の知恵と勇気が描かれています。まさにプラス思考のお手本です。スサノオの命とクシナダヒメが登場する「やまたのおろち」では、人のために尽くすことは自らの幸せにつながるということを伝えてくれています。
これだけ見ても、今の教育に必要な要所が十分含まれていると思いますし、日本の国の素晴らしさを子どもたちに伝えられる内容であると思っています。
大宝保育園園長として、今の置かれた立場に感謝しつつ、子どもにとっても親にとっても保育園が“心のふるさと”になることができるように、日々実績を積んでいこうと新たな決意を感じています。約1年に渡り、私のつたない文章を校正していただいたり、方向性を導いてくださった編集スタッフの方々に、心より感謝を申し上げます。
やまうち・きよみ 1956年茨城県・大宝八幡宮宮司の長女として生まれる。1979年境内に社会福祉法人やはた福祉会大宝保育園(山内光洋園長)開設。主任保育士として現在に至る。1996年から保育の日課を午後昼寝から午前昼寝に変えるなど、子どもたちの身体機能を高めるカリキュラムを積極的に取り入れる。特に障がい児保育に力を入れ、朝の運動プログラムで機能訓練・促進を図る。趣味はジョギングで、1995年ホノルルマラソン完走をきっかけに早朝ジョギング実施(年間走行距離2000キロ)。他にピアノ・エレクトーン・篠笛。地域のボランティア活動を長年実施。EMについては八千代町で美容室経営・生井香代子さんから伝えられ、数年前から園全体に活用している。生井さんとともに、比嘉教授や比嘉節子さんによる講演会・講習会を開催し、保護者をはじめ地域への普及に努めている。
第10回保育園に関わるすべての人に
第9回園長から職員に向けてのメッセージ
第8回子育てのパートナーになりましょう
第7回デイリープログラムを見直す
第6回食育活動「いのちをいただくということ」
第5回心身共に健やかに成長する2
第4回心身共に健やかに成長する
第3回自立できる子どもへ2
第2回自立できる子どもへ
第1回鎮守の森の中にある保育園