園には、保育士の他にも栄養士、調理員、療養指導員などいろいろな職種の人がいますが、職種は違っていても「それは、子どもにとってどうなのか」を一番に考えるところは何も変わりません。
子どもが楽しければ、職員も楽しい、親も楽しい、みんなが楽しくなります。子どもも大人も成長するのです。親だけでなく、保育に関わる私たちが真っ先に成長できるはずです。
1人の子どもの担任は全員
登園後、園ではみんな一緒にぞうきんがけやハイハイ運動を行います。子どもたちの園生活にメリハリを効かせる目的が大きいのですが、職員にとっては子ども全員の発達を職員全員で援助するという意味があります。さらに、朝から完全にクラス分けをすると障がい児を受け入れるクラス担任だけが負担になってしまい、不満につながる可能性があります。
そうなってしまっては元も子もないのです。1つの枠にとらわれない柔軟な対応で、1人ひとりの子どもを全職員が見守っていくことで、職員同士のコミュニケションも取れ、園運営に良い効果が生まれてきます。すべては、子どもたちが1日の大半を過ごす園での生活が充足されることにつながって行きます。
子どもの可能性を信じよう
子どもは、信じて任せると本当にいろんなことができるようになります。「障がいがあって最初はまったく歩けなかった子が、少しですが歩けるようになった」。そんな感動体験は、園のみんなで共有しています。
園内の装飾品もほとんど壊れない。これまでは「こんな所に置いたら、子どもがいたずらするんじゃないの」という声もあって、取り払っていたこともありました。「近づいては行けません」という禁止令もありました。でもいつからか、「子どもはそんなことはしない」と信じることにしました。「割られるかな…」と思いつつ、食器を陶器に変えました。割るのは大人でした。子どもは誰も割りません。
正座で食事をしたり、お話を聞くことにも挑戦。「子どもはできないだろう」という“思い込み”は、見事に外れました。1歳の子どもも、ちゃんと正座して話を聞いていました。職員1人ひとりが、子どもの1人ひとりに対して「いつもあなたを信じているよ。いつも見守っているよ」と、言葉や態度で伝え続けることが大切で、これは全職員の共通理解です。
まず、自分たちが変わろう
EMの導入に際しても、当初はなかなか理解できない職員もいました。職員の理解がないと保護者の理解も得られず子どもたちに積極的に使用することはできません。それで、比嘉節子さんによる「EM生ごみ発酵肥料のつくり方講習会」や「米のとぎ汁EM発酵液のつくり方・使い方講習会」を開催しました。
講習会は、地域の方々にもEMによる環境浄化の理念を理解していただく目的もあって、保護者や一般の方々に広く声をかけました。お陰で、大勢の参加で盛り上がりました。講習会や比嘉節子さんとのふれあいを通して職員の理解も深まったようで、生ごみの処理や発酵液の活用も自発的に積極的に行われるようになりました。今年8月末には、EM技術を使った予防医学で杉本一朗先生の講演会に全職員で参加して、新型インフルエンザの対応策など現場で役立つ情報を共有しました。
このような学びのすべての基準は、「子どもにとってどうか」であって、子どもと共に成長し、変化する喜びが保育の現場にはたくさんあります。朝、子どもたちを保護者から預かり、夕方に満足した表情で保護者の元へ駆け寄る子どもたちの後ろ姿を見るのは職員にとって至福の時間と言えるでしょう。すべての職員に感謝します。
やまうち・きよみ 1956年茨城県・大宝八幡宮宮司の長女として生まれる。1979年境内に社会福祉法人やはた福祉会大宝保育園(山内光洋園長)開設。主任保育士として現在に至る。1996年から保育の日課を午後昼寝から午前昼寝に変えるなど、子どもたちの身体機能を高めるカリキュラムを積極的に取り入れる。特に障がい児保育に力を入れ、朝の運動プログラムで機能訓練・促進を図る。趣味はジョギングで、1995年ホノルルマラソン完走をきっかけに早朝ジョギング実施(年間走行距離2000キロ)。他にピアノ・エレクトーン・篠笛。地域のボランティア活動を長年実施。EMについては八千代町で美容室経営・生井香代子さんから伝えられ、数年前から園全体に活用している。生井さんとともに、比嘉教授や比嘉節子さんによる講演会・講習会を開催し、保護者をはじめ地域への普及に努めている。
第11回鎮守の森で"心を育てる"保育をめざして
第10回保育園に関わるすべての人に
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第5回心身共に健やかに成長する2
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