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(社)やはた福祉会 大宝保育園 山内清視
有害物質を排除して、健やかな環境づくり

前回は、健やかに成長する園児たちの心のよりどころを、神事に触れることや障がいのある子どもたちとの集団保育を通して培っていく様子をお伝えしました。今回は園生活の中にある、あらゆる有害化学物質から園児たち守るために活用しているEMについて書いてみたいと思います。

有害化学物質を意識するようになったのは、自分の体を通して化学物質の怖さを知ったからです。平成7年のことです。6年間に及ぶ裁判(詳細は第4回)が決着したこともあって、この年の12月、自分に向き合う良い機会と思いホノルルマラソン(42.195km)に挑戦してみました。完走できたことは、自信につながり、保育に対する情熱が戻ってくることにも繋がったと思います。

それ以来、年に1回フルマラソンに挑戦してきました。数回目の霞ヶ浦マラソンの時、4月なのに気温が高く日焼け止めのためクリームをたっぷり塗って走り出しました。ところが、かなり体温は上がってきているはずなのに汗が出てこないのです。「えっ、何これ!?」と思っていると、35km地点で不安が的中し、熱中症でダウン。私が使ったクリームは、天然素材ではなく、石油系素材を使ったクリームで肌へのガードがきつく皮膚呼吸ができなくなっていたようです。


緑が豊富な園庭。隅々までEM散布で素足でも安心
「やっぱり体に悪いものはいけない。子どもたちを有害な化学物質から守らなければ」と痛感しました。それからは、塩素系消毒剤やトイレ消臭剤、虫除けスプレー、市販のお尻拭き、水道水の塩素など、園内における有害と思われる資材やグッズをできるところから排除するようにしました。給食の食材も農薬や添加物を極力抑えたものを選ぶようにしました。それでも防御には限界がありました。

そんな時に出会ったのがEMです。EMは消臭や雑菌の繁殖を押さえる効果もあって、肌にも優しく、口に入っても害はない画期的なエコ資材でした。EM導入のきっかけは、私のプロフィールにもありますが隣町の八千代町で美容室を営む生井香代子から情報を得たのです。

生井さんの美容室では使用する業務用の品々をはじめ店内にあるものはすべて、EM資材などオーガニックなものばかりで、日常生活におけるEM活用も徹底しています。しかも、常に地球のため、みんなの幸せのために心を寄せ、祈ってくれる方です。生井さんとの出会いがなかったら、今日の私はなかったと言えるほど、さまざまな刺激や影響を与えてくれています。

生井さんの案内で比嘉節子さん(環境学習ネットワーク代表)が来園してくださり、EMについての具体的なお話を聞くことができ、米のとぎ汁EM発酵液やEM生ごみ発酵肥料のつくり方などを教えていただきました。それまで半信半疑だった職員たちもEM活用に力が入るようになりました。


保育園を会場に比嘉節子さんによるEM講習会。保護者や地域の人たちが大勢集まった
平成20年11月には、EMの開発者の比嘉照夫名桜大学教授と比嘉節子さんによる講演会を下妻市で開催、約600人の参加者と共にEMのすばらしさを共感することができました。今年2月には、再び比嘉節子さんが来園してくださり、地域の人たち、保護者、職員を対象に「EM活性液のつくり方、使い方の講習会」が行われました。これまで子どもたちを有害な化学物質から守ろうとしても身の回りには物資が溢れ、有害か否かの選択にも困るほどでしたが、EMを使うことで多岐に渡って安全に環境整備ができることが分かりました。これを機会に、保育園を拠点にEMの環境浄化活動を地域に広げていきたいと思っています。

園庭の緑化、花や野菜づくりにもEM効果

当園は、神社の境内と言うこともあって周囲は多種類の大木が生い茂っています。そのため、夏は涼しく冬は暖かい恵まれた環境にありますが、有害な紫外線や光化学スモッグから子どもを守るには、できるだけ木を植えて木陰をつくり、草花を育て、小さいながらも畑で野菜を栽培するなど緑化に務めています。厨房では、米のとぎ汁を捨てずにEMで発酵液(活性液)をつくります。この発酵液が園内のすべてで大活躍するのです。


職員、園児、保護者も地球環境を見据えて取り組むエコ・リサイクル
調理前の野菜残さはEMボカシと混ぜて発酵肥料にします。EMボカシは玄米を精米する際に出る米ヌカを利用して職員がつくっています。給食後の残り物は水分があるので、電動の生ごみ処理機にもみ殻を加えて肥料にします。完成した肥料は、園庭の畑やプランターで野菜を栽培し、収穫野菜は給食で子どもたちのお皿に並びます。さらに、園庭にリサイクルボックスや回収ネットを設置して、保護者の皆さんも協力をしてくれています。

地球環境と子どもたちの未来のために私たちができることは些細なことですが、「ハチドリのひとしずく」のごとく、「気づいたときがスタート。やるべきことはやらないと」と思っています。

〔大宝保育園のEM活用法〕
お尻拭きは市販の物は止めて、脱脂綿にEM活性液を含ませて使っています。肌のトラブルもなく、使用後の肌はサラサラしています。
虫除けスプレーは、EM活性液にミントの煮出し汁とアロマエッセンスを添加して使用します。
トイレの男子便器に、手づくりEM廃油石けんの崩れた物を置いています。便器の汚れがつきにくくなり、掃除が簡単です。掃除の際はEM活性液を使っているので浄化槽からのニオイもなく、他の施設の話では汚泥が少なくなり槽の負荷が軽減されるようです。
園庭の畑は、EM生ごみ発酵肥料を使って、無農薬・無化学肥料で野菜づくり。子どもたちは美味しい味が分かるようです。

掲載日:2009年6月17日

山内清視 プロフィール

やまうち・きよみ
1956年茨城県・大宝八幡宮宮司の長女として生まれる。1979年境内に社会福祉法人やはた福祉会大宝保育園(山内光洋園長)開設。主任保育士として現在に至る。1996年から保育の日課を午後昼寝から午前昼寝に変えるなど、子どもたちの身体機能を高めるカリキュラムを積極的に取り入れる。特に障がい児保育に力を入れ、朝の運動プログラムで機能訓練・促進を図る。趣味はジョギングで、1995年ホノルルマラソン完走をきっかけに早朝ジョギング実施(年間走行距離2000キロ)。他にピアノ・エレクトーン・篠笛。地域のボランティア活動を長年実施。EMについては八千代町で美容室経営・生井香代子さんから伝えられ、数年前から園全体に活用している。生井さんとともに、比嘉教授や比嘉節子さんによる講演会・講習会を開催し、保護者をはじめ地域への普及に努めている。

 

第11回
鎮守の森で"心を育てる"保育をめざして

第10回
保育園に関わるすべての人に

第9回
園長から職員に向けてのメッセージ

第8回
子育てのパートナーになりましょう

第7回
デイリープログラムを見直す

第6回
食育活動「いのちをいただくということ」

第4回
心身共に健やかに成長する

第3回
自立できる子どもへ2

第2回
自立できる子どもへ

第1回
鎮守の森の中にある保育園


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