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(社)やはた福祉会 大宝保育園 山内清視
子どもの身体のおかしさは、社会的に問題になっています。朝からあくびをする子ども、姿勢が悪い子ども、何となく活気がない子ども、興奮しやすく落ち着きのない子ども、昼食時に居眠りをする子ども、ストレスから種々の症状のある子ども等…。「現代病だから仕方ない」と片付けることはできないと思います。こういう時代だからこそ見直しが必要なのです。

午前午睡で園生活にメリハリ

園では子ども自身が子どもらしく、よりイキイキと過ごすためにはどうしたら良いか、障がい児を受け入れるにはどうしたら良いかを考え、平成8年度より次に掲げるようなデイリープログラムに変えました。昼寝は午後という従来の発想を覆した内容になっています。

デイリープログラム
7:30〜8:45 登園
8:45〜9:00 ぞうきんがけで足腰を鍛えます。
9:00〜9:30 ハイハイ運動などで楽しく全身を動かします。
9:30〜10:00 指先を使った遊びで過ごす。(手指の微細運動)
10:00〜10:30 片付け&午睡準備
裸になってパジャマに着替えます。
10:30〜11:30 午前午睡
11:30〜12:00 布団の片付け・昼食準備
12:00〜12:30 昼食
12:30〜14:00 昼休み
室内においてコーナー保育などで過ごします。
14:00〜15:00 参拝&散歩・戸外遊び(夏期はプール)
15:00〜 片付け・おやつ・絵本タイム
16:00〜19:00 降園

1日の流れを変えることは非常に大変でした。毎日のハイハイ運動もきつかったです。でも、半年が経過して子どもたちが変わってきたのです。“逆上がり”ができる子が目に見えて増えました。予想もしなかったことで、みんな本当にびっくりして喜びました。昼食も昼寝をしてから摂るので”眠り食べ”が見られなくなりました。午後昼寝の時は、「お昼寝嫌いだから園に行きたくない」と言う子どもが結構いたのですが、午前昼寝にしたら1人もいなくなりました。活発になりました。指先が器用になりました。ケガが激減しました。このような変化に、「体が疲れて大変だ」と思っていた職員も、「この保育を続けていっていいのではないか」と意識が変わり、そのうち確信になり、現在では自信につながっています。

全身運動で低体温体質が改善


幼児期は身体に秘めた可能性を引き出す時期でもある。毎日の積み重ねで未知の運動機能を増幅させる
これらは、これまでにもたびたび触れてきていますが、今回は③のハイハイ運動と④手指の微細運動について詳しく紹介します。 ③の全身の粗大運動には3つの目的があります。第1は体幹をしっかりさせ、抗重力筋を育てます。ハイハイ運動が最も効果的です。学校では朝礼で立っていることができずに体育座りをさせるようですが、乳児期のハイハイ不足、幼児期の運動不足があるようです。抗重力筋という自分の体重を支える筋肉が育っていれば立っていられるのです。第2は、巧緻(こうち)性や柔軟性をつけることで回避能力が育ち、ケガをしにくい身体になります。これは、アヒル歩きやペンギン歩き、ブリッジ等の動きをすることで力がつきます。第3に低体温を予防することができます。

昨今の子どもたちは夜更かしや運動不足で体温が低下しています。しかし、早寝早起き、ハイハイ運動、裸足の生活をすることで改善されています。実際、3か月ほど園の生活をしていると、ほぼ全員の子どもたちの体温は36度5分以上になり、運動直後は37度前後になります。脳が一番働く体温は37度〜37度2分と言われているように、運動直後の指先の時間がとても集中してできるのはこのためだと実感しています。


大人でも難しい、箸で豆をつまむ行為に挑戦する子どもたち(左上)。これらすべての運動は脳の活性化にもつながるという
④の指先運動は、③で述べたように体温が高い状態で取り組めるので、集中力が養われる時間にもなります。ですから、スタッフは集中している子どもに余計な声かけはしないように心がけています。紐通しや型はめ粘土遊びなどは”手と目の協応”によって器用な手を育てます。また、週に1度もしくは2週に1度は給食の素材のタマネギやニンジン、トウモロコシの皮むき、インゲンの筋取りなどもお手伝いを兼ねて行います。3歳以上になると、教材を2〜3種類用意して選択できるようにもしています。自分で選んだ物は、より集中して行うことができるからです。しかも、3歳以上は正座して行うようにしていますが、足腰を強くして、姿勢を正すのに効果があります。

③と④の全身粗大運動と手指の微細運動を毎日継続して行うことは、子どもたちの全身の筋肉を毎日鍛え、身体の発達の保障を可能にします。同じ3歳児でも、0歳または1歳から入所している子どもと、今年入所してきた子どもとでは、運動能力や手先の器用さにかなりの違いが出ています。加えて、最後までやり抜く、できるまで頑張るという”頑張る気持ち”が育っています。

「早寝早起き・ハイハイ運動・午前午睡…」を考案し提案したのは、元東北福祉大学教授・故河添邦俊先生です。河添先生は、群馬県前橋市にある愛泉保育園の実践に携わって実績をあげられました。一時はこの保育に共感し、全国的に広まったようですが継続するのが困難なこともあって、午後午睡に戻した園も多いと聞きます。夜型社会の現在、共働きの両親と触れ合うのは夜しかないからと夜更かしを黙認している保育園もあるようです。

確かに、保育園は両親が共働きで、昼間家庭で保育できない子どもを預かるところです。しかしながら、ただ預かるのではなく”発達を保障”しなければならないところでもあります。私たちはこの③と④の取り組みで、障がい児を多く受け入れることが可能になり、自閉症やADHDなど多動な子どもたちにも、脳性麻痺のような肢体不自由な子どもたちにも効果があることが分かってきました。それだけに、乳幼児期の子どもの生活リズムは子ども主体に考えてほしいと切に願っています。

〔大宝保育園のEM活用法〕
毎朝、ハイハイ運動を始める8時45分〜9時の間、床をキレイにするのと足腰を鍛える目的から、全園児で雑巾がけをしています。スタッフが「米のとぎ汁EM発酵液」(以下EM発酵液)を床に吹きつけ「魔法の水」等と言いながら、みんなで楽しんでやっています。EM発酵液は肌にも優しいようで、雑巾しぼりによる手荒れはなく、またホコリもあまり舞い上がらなくなりました。
「動」である全身の粗大運動、ハイハイ運動30分と、「静」である手指の微細運動30分を毎日セットで実践しています。「動」と「静」の間に必ずコップ1杯の水を飲みますが、この水は逆浸透膜水をEMタンクに入れたもので、塩素臭のない、口当たりが柔らかく子どもたちは美味しいと言って飲んでいます。
午睡中、冬季は特に乾燥するので加湿器が欠かせませんが、加湿器にEM発酵液を添加しています。静電気の発生が押さえられ、アトピー性の肌にも優しいようです。
午睡用の布団やベッドにもEM発酵液を噴霧しています。布団に染みこんだニオイが軽減され、天日干しのようにふんわりした感触になります。
午睡後は昼食ですが、台拭き用のバケツや、手洗い用の洗面器にもEM発酵液を入れています。雑菌の繁殖を押さえてくれるようです。
(再掲)

掲載日:2009年8月19日

山内清視 プロフィール

やまうち・きよみ
1956年茨城県・大宝八幡宮宮司の長女として生まれる。1979年境内に社会福祉法人やはた福祉会大宝保育園(山内光洋園長)開設。主任保育士として現在に至る。1996年から保育の日課を午後昼寝から午前昼寝に変えるなど、子どもたちの身体機能を高めるカリキュラムを積極的に取り入れる。特に障がい児保育に力を入れ、朝の運動プログラムで機能訓練・促進を図る。趣味はジョギングで、1995年ホノルルマラソン完走をきっかけに早朝ジョギング実施(年間走行距離2000キロ)。他にピアノ・エレクトーン・篠笛。地域のボランティア活動を長年実施。EMについては八千代町で美容室経営・生井香代子さんから伝えられ、数年前から園全体に活用している。生井さんとともに、比嘉教授や比嘉節子さんによる講演会・講習会を開催し、保護者をはじめ地域への普及に努めている。

 

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