大宝保育園は神社の境内にあります。当然のことですが、参拝は保育園の日課に組み込まれています。
参拝をする拝殿の近くには、国歌“君が代”に詠まれている“さざれ石”があります。このさざれ石は、様々な色や形の違った石が集積されて大きな岩を形成しています。これを見ると、いろいろな人種、性別、性格、個性が寄り集まって形成されている人間社会を比喩しているように、私には思えるのです。みんなそれぞれ違っていて、違っていることが受け入れられる社会です。
健康であるために
保育園は、ゼロ歳から就学前までの子どもたちを預かっている施設ですが、家庭の延長として保育者は子どもたちと時間を共有しています。親御さんもそうでしょうが、保育者にとって子どもたちに心からの愛を注ぐことは相当のエネルギーが要ります。しかし、心底子どもを“愛おしい”と思い、信じることを意識したら、この思いは確実に子どもたちには伝わります。信じられ、愛されていると分かった子どもたちは、実に生き生きとした表情になり、自信を持って何事にも挑戦することが目に見えて増えていきます。子どもたちは、全身全霊で“愛”を求めてきます。これを受け止めるためにも保育者は、心身ともに(魂も含めて)健康であることを痛感しています。まずは、私自身がそうあってこそ、園全体を考えることができ、そして地域や社会を考えることができるようになるのだと思っています。
杉本先生は、EMを活用した予防医療を積極的に取り入れていて、健康になるには体内の微生物環境を整えることで、そのためには土壌を含む水・空気などの自然環境を改善し、安全な食・住環境を得ることが大事だと説いています。“食”は人を良くすると書きます。ガンやインフルエンザに罹らないためにワクチン接種に躍起になっている傾向がありますが、罹らない身体、罹っても重症にならない身体をつくるには、免疫力を高めることが大事です。風邪をひいたら風邪薬、ガンになったら抗ガン剤しか手当の方法がないということではなく、日常的に身体の根本から整えていくことを意識することが、本当の健康への近道のようです。安全な食材で心を込めてつくられた食事に感謝を込めていただくだけでも、免疫力が上がると言います。さらに適度な運動も必要です。勉強だって健康でなければできないし、体力がなくてもできません。加えて、“信じること”“愛を注ぐこと”で、心を満たしてストレスのない環境をめざしたいものです。 子どもたちには未来があります。もっと本質を見極める目を養えるように、できることからやらなければならないと思います。
子どもから教えてもらったこと
人は自分を大事にすれば、他人も大事にします。 「自分を大事に」は「自分に甘く」ではありません。 自分自身が自分を「幸せだな」と思える、 健康で幸せで、安らぎ、満たされているということ。 「幸せと」といっても、コップ一杯だけで幸せを感じる人もいて。 東京ドーム一杯でも幸せと思えない人もいて。 結局、「自分を愛する」ということだと私は思います。 自分を愛せる人は、他人も愛せる。 そうすればどちらも大事にするようになるんじゃないかなあ。
そして幼児期はもっとも大事な時期。 だからこそ、親子のかかわりをたくさん持って、 愛されているという実感を子どもに植え付けて欲しいと思います。 そうすれば絶対凶悪な犯罪もなくなると思うのです。 私にとっての幸せは子どもの笑顔。 子どもの笑顔を見ていることができる自分を心から幸せだと思います。 だからいつも笑いのある園でいたい。 みんなが笑顔でいるということはもう幸せなこと。 そんな人がどんどん増えて、最終的には世界が平和になればいい。 私はそう願っています。
やまうち・きよみ 1956年茨城県・大宝八幡宮宮司の長女として生まれる。1979年境内に社会福祉法人やはた福祉会大宝保育園(山内光洋園長)開設。主任保育士として現在に至る。1996年から保育の日課を午後昼寝から午前昼寝に変えるなど、子どもたちの身体機能を高めるカリキュラムを積極的に取り入れる。特に障がい児保育に力を入れ、朝の運動プログラムで機能訓練・促進を図る。趣味はジョギングで、1995年ホノルルマラソン完走をきっかけに早朝ジョギング実施(年間走行距離2000キロ)。他にピアノ・エレクトーン・篠笛。地域のボランティア活動を長年実施。EMについては八千代町で美容室経営・生井香代子さんから伝えられ、数年前から園全体に活用している。生井さんとともに、比嘉教授や比嘉節子さんによる講演会・講習会を開催し、保護者をはじめ地域への普及に努めている。
第11回鎮守の森で"心を育てる"保育をめざして
第9回園長から職員に向けてのメッセージ
第8回子育てのパートナーになりましょう
第7回デイリープログラムを見直す
第6回食育活動「いのちをいただくということ」
第5回心身共に健やかに成長する2
第4回心身共に健やかに成長する
第3回自立できる子どもへ2
第2回自立できる子どもへ
第1回鎮守の森の中にある保育園