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(社)やはた福祉会 大宝保育園 山内清視


家族ぐるみの参加が多い秋のつくば登山。大きなファミリーが保育園活動を支えてくれている
園長理念 「大宝保育園の使命」
「大宝保育園を子どもたちの心のふるさとにして、
健やかでたくましい子どもを育む環境を用意します。
そして感謝の念と思いやりを持った誠実で豊かな社会を
創造していくお手伝いをします」

大宝保育園は神社の境内にあります。当然のことですが、参拝は保育園の日課に組み込まれています。

参拝をする拝殿の近くには、国歌“君が代”に詠まれている“さざれ石”があります。このさざれ石は、様々な色や形の違った石が集積されて大きな岩を形成しています。これを見ると、いろいろな人種、性別、性格、個性が寄り集まって形成されている人間社会を比喩しているように、私には思えるのです。みんなそれぞれ違っていて、違っていることが受け入れられる社会です。


互いの存在を認めあうから、やさしくなれる。何を話しているのかな・・
参拝で両手を合わせる子どもたちにとって、“目には見えないけれど、神様がいつも見守ってくれている”との想いは、大きな安心感になっているようです。私たち大人も、時として目に見えない存在に畏怖の念を抱くことがあります。そんな時、私は自らの小ささと生を受けた使命感に気づき、生を授けてくれた存在に謙虚になります。どんな人間でもこの世に生を受けるのは、何かの使命を持って必要だから生まれてくると私は思っています。重い“障がい”ゆえに無力な人もいます。それでも周りの人に優しさや思いやり等何かを気づかせてくれる存在であり、意味のある役割を果たしています。だから、みんな違っていていいのです。違っているから、違いを認め尊重し合う作業(人間関係)が必要になってくるのです。

健康であるために

保育園は、ゼロ歳から就学前までの子どもたちを預かっている施設ですが、家庭の延長として保育者は子どもたちと時間を共有しています。親御さんもそうでしょうが、保育者にとって子どもたちに心からの愛を注ぐことは相当のエネルギーが要ります。しかし、心底子どもを“愛おしい”と思い、信じることを意識したら、この思いは確実に子どもたちには伝わります。信じられ、愛されていると分かった子どもたちは、実に生き生きとした表情になり、自信を持って何事にも挑戦することが目に見えて増えていきます。子どもたちは、全身全霊で“愛”を求めてきます。これを受け止めるためにも保育者は、心身ともに(魂も含めて)健康であることを痛感しています。まずは、私自身がそうあってこそ、園全体を考えることができ、そして地域や社会を考えることができるようになるのだと思っています。


ゴールをめざす子どもたちは真剣そのもの。心も体も健やかであれ

給食のダシに書かせない昆布をカットする子どもたち。ハサミの使い方も上手
実は、今年の1月に夫が末期ガンで余命1年余りの宣告を受けました。驚き、うろたえました。「なぜ・・・」と問うても、答えは容赦ないものでした。その時、「降りかかる問題は、すべて必要だから起こっている」との想いと、「絶対に大丈夫。負の試練ではなく、乗り越えた先に希望が見える試練」と言う想いが去来しました。私は、心の平安を求めて祈りました。お陰様で、第9回でご紹介した脳神経外科専門医・杉本一朗医師(横浜市)にお世話になって、わずか数か月で正常の数値に戻り、現在に至っています。奇跡とも思える回復でしたが、この間杉本先生を信じ、夫の生命力を信じました。

杉本先生は、EMを活用した予防医療を積極的に取り入れていて、健康になるには体内の微生物環境を整えることで、そのためには土壌を含む水・空気などの自然環境を改善し、安全な食・住環境を得ることが大事だと説いています。“食”は人を良くすると書きます。ガンやインフルエンザに罹らないためにワクチン接種に躍起になっている傾向がありますが、罹らない身体、罹っても重症にならない身体をつくるには、免疫力を高めることが大事です。風邪をひいたら風邪薬、ガンになったら抗ガン剤しか手当の方法がないということではなく、日常的に身体の根本から整えていくことを意識することが、本当の健康への近道のようです。安全な食材で心を込めてつくられた食事に感謝を込めていただくだけでも、免疫力が上がると言います。さらに適度な運動も必要です。勉強だって健康でなければできないし、体力がなくてもできません。加えて、“信じること”“愛を注ぐこと”で、心を満たしてストレスのない環境をめざしたいものです。 子どもたちには未来があります。もっと本質を見極める目を養えるように、できることからやらなければならないと思います。

子どもから教えてもらったこと


厳しい寒さもなんのその。子どもたちにとって、すべてが天からの贈り物
地球の大人たちみんなが
自分の子どもだけではなくて
人の子どもに対しても自分の子のように接したら
本当に社会が良くなると思います。
そうするためには、まず自分が幸せにならないと、
人にも幸せになってほしいと思えない。

人は自分を大事にすれば、他人も大事にします。
「自分を大事に」は「自分に甘く」ではありません。
自分自身が自分を「幸せだな」と思える、
健康で幸せで、安らぎ、満たされているということ。
「幸せと」といっても、コップ一杯だけで幸せを感じる人もいて。
東京ドーム一杯でも幸せと思えない人もいて。
結局、「自分を愛する」ということだと私は思います。
自分を愛せる人は、他人も愛せる。
そうすればどちらも大事にするようになるんじゃないかなあ。

そして幼児期はもっとも大事な時期。
だからこそ、親子のかかわりをたくさん持って、
愛されているという実感を子どもに植え付けて欲しいと思います。
そうすれば絶対凶悪な犯罪もなくなると思うのです。
私にとっての幸せは子どもの笑顔。
子どもの笑顔を見ていることができる自分を心から幸せだと思います。
だからいつも笑いのある園でいたい。
みんなが笑顔でいるということはもう幸せなこと。
そんな人がどんどん増えて、最終的には世界が平和になればいい。
私はそう願っています。

掲載日:2009年11月18日

山内清視 プロフィール

やまうち・きよみ
1956年茨城県・大宝八幡宮宮司の長女として生まれる。1979年境内に社会福祉法人やはた福祉会大宝保育園(山内光洋園長)開設。主任保育士として現在に至る。1996年から保育の日課を午後昼寝から午前昼寝に変えるなど、子どもたちの身体機能を高めるカリキュラムを積極的に取り入れる。特に障がい児保育に力を入れ、朝の運動プログラムで機能訓練・促進を図る。趣味はジョギングで、1995年ホノルルマラソン完走をきっかけに早朝ジョギング実施(年間走行距離2000キロ)。他にピアノ・エレクトーン・篠笛。地域のボランティア活動を長年実施。EMについては八千代町で美容室経営・生井香代子さんから伝えられ、数年前から園全体に活用している。生井さんとともに、比嘉教授や比嘉節子さんによる講演会・講習会を開催し、保護者をはじめ地域への普及に努めている。

 

第11回
鎮守の森で"心を育てる"保育をめざして

第9回
園長から職員に向けてのメッセージ

第8回
子育てのパートナーになりましょう

第7回
デイリープログラムを見直す

第6回
食育活動「いのちをいただくということ」

第5回
心身共に健やかに成長する2

第4回
心身共に健やかに成長する

第3回
自立できる子どもへ2

第2回
自立できる子どもへ

第1回
鎮守の森の中にある保育園


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