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(社)やはた福祉会 大宝保育園 山内清視
保育園は、子どもたちが1日の大半を過ごす生活の場です。前回取り上げた早寝早起きの取り組みは、家庭と園の生活リズムをうまくバトンリレーしないと実現できないことです。子どもは1人ひとりみんな違います。生活環境も違います。だからこそ、1人ひとりの保護者の皆さんと子どもを中心において、「子どもの発達のために何が最善なのか」を一緒に考えて行きたいと思います。

連携する家庭と保育園

家庭と園の連携は子どもの成長を左右します。生活習慣やルールで、家庭と園がお互いを理解し合っていなかったら、子どもたちが戸惑うことになります。入園前、見学に来られた方や説明会の際に園の方針をしっかり話し、入園後も、何事もオープンにスムーズに行くように心がけています。1つの方法として「お便り」をこまめに出すのですが、「お便り」で園の方針を打ち出しても、配布するだけでは読んでくれているのか、理解してくれたのか、つかめないところがあります。それに文章だけでは説得力に欠ける分野もありますから、期待するほど効果が上がらないこともあります。


子どもと保護者たちが楽しみにしている、毎年行う親子ウォーキング(春)、つくば登山(秋)
そこで、園ではコミュニケーションを深める企画として、「砂沼親子ウォーキング」や地元の筑波山をめざす「つくば登山」を実施しています。親子ウォーキングは職員がポイントに立つ、スタンプラリー形式です。1周6キロ、半周3キロを各自が選んで歩きます。子どもたちは、園のプログラム、リズム運動やぞうきんがけで足腰が鍛えられているせいか、連れだって歩くお父さんやお母さんをリードする様子もあって、とても微笑ましいです。

また、年2回以上、多彩な講師を招いた講演会や勉強会を開催します。今年の例をみますと、『自然流育児のすすめ』などの著書で知られる小児科医・真弓定夫先生の講演会を4月26日(日)に開催。近隣の小学校の先生方にも多数参加していただきました。

8月29日(土)には、下妻市千代川公民館を会場に予防医学の第1人者でEMを処方できる数少ない医師・あかね台脳神経外科クリニックの杉本一朗先生の講演会を実施しました。主催は、近隣20の保育施設で結成する常総保育協議会にお願いしました。約200人が集まり、地域の方々のEM医学への関心の高さに驚くとともに、日ごろ園内で子どもたちの衛生管理にEMを使うことを保護者の方々に納得してもらえたのではないかと思います。

9月8日(火)には、小児科医・発達支援専門医・文教大教授の成田奈緒子先生による「早寝早起きはなぜ必要なのか。脳科学からみてどうなのか」を保護者対象に行ったばかりです。昨年1年間、文科省からの依頼で、成田先生はじめ、リズム遊びのカムジー先生などとともに、「リズム遊びで早起き元気脳」のプロジェクトチームが結成され、私も実行委員メンバーの一員だったこともあり、当園の子どもたちがその実践に協力しました。リズム運動を取り入れることで、”自律神経が活性化、しかし脳はリラックス状態”という理想の研究成果が残せました。子どもを通して、保護者らの関心が高まり、早寝早起きの必要性が理解されたようです。

職員も保護者も共に学んで、育ち合う


保護者や地域の皆さんに好評の比嘉節子さんによるEM講習会
EM関係では、2月9日(月)に行った「米のとぎ汁EM発酵液のつくり方講習会」に続く第2弾として、8月25日(火)に「EMボカシを使った生ごみ堆肥のつくり方講習会」を行いました。いずれも沖縄から、環境学習ネットワーク代表の比嘉節子さんがわざわざ来てくださっての講習会で、地域の方々や保護者など約60人が参加しました。2度も比嘉節子さんから講習を受けたことで職員や保育士のEMに対する意識に変化が出てきました。

それまでは、私が米のとぎ汁EM発酵液をつくっていたのですが、講習会後は黙っていても厨房でつくってくれるようになり、出来上がった物が事務室に届くようになりました。給食の調理残さも、厨房の担当者が生ごみ処理バケツにEMボカシと混ぜてEM生ごみ発酵肥料にします。

園内でのEM活用は、プールに入れたり、掃除で使うなど、これまでも紹介してきましたが、保護者にはその都度「手洗い後にEMに浸します」「プールに入れます」と了解を得る「お便り」を出します。反対する保護者はこれまで皆無です。最近は保護者間にもEM愛用者が増えており、子どもたちの環境整備には良い傾向になってきたと思っています。

講習会や講演会は土・日に限らず平日にも開催するのですが、ありがたいことに、保護者の約8割が出席してくれます。専門家のお話を直接聞くことで、「お便り」では届かなかった園の方針や子どもにとって大切なことなどの情報を得て、理解を深めていただきます。加えて、保護者同士の会話やつながりが増える利点があります。保護者は毎年入れ替わりますから、その都度講演会や講習会を開催する計画です。それだけに、「本物の情報を提供しなければ…」と責任の重みを感じています。


子どもの笑顔は親、保育士の喜び
子育ては子どもの成長だけではなく、大人も成長していかなくてはなりません。私たち保育士も、お父さん、お母さんも、子どもを通して一緒に高め合っていける関係を創って行きたいと思っています。「敷居が高い」と言われる方がいるとしたら、私は「その壁が取り払われればいいな」と、いつも願っています。そんな願いを込めて、園の職員はお互いを「先生」と呼ぶのではなく、名前で呼び合っています。役割ではなく、人と人との関わりをしたいと思うからです。

悩んでいること、考えていること、「ちょっと、違うんじゃないかな」と思うことがあったら話しかけてほしいのです。子育てのパートナーとして共に学んで成長して行きたいと思っています。

掲載日:2009年9月16日

山内清視 プロフィール

やまうち・きよみ
1956年茨城県・大宝八幡宮宮司の長女として生まれる。1979年境内に社会福祉法人やはた福祉会大宝保育園(山内光洋園長)開設。主任保育士として現在に至る。1996年から保育の日課を午後昼寝から午前昼寝に変えるなど、子どもたちの身体機能を高めるカリキュラムを積極的に取り入れる。特に障がい児保育に力を入れ、朝の運動プログラムで機能訓練・促進を図る。趣味はジョギングで、1995年ホノルルマラソン完走をきっかけに早朝ジョギング実施(年間走行距離2000キロ)。他にピアノ・エレクトーン・篠笛。地域のボランティア活動を長年実施。EMについては八千代町で美容室経営・生井香代子さんから伝えられ、数年前から園全体に活用している。生井さんとともに、比嘉教授や比嘉節子さんによる講演会・講習会を開催し、保護者をはじめ地域への普及に努めている。

 

第11回
鎮守の森で"心を育てる"保育をめざして

第10回
保育園に関わるすべての人に

第9回
園長から職員に向けてのメッセージ

第7回
デイリープログラムを見直す

第6回
食育活動「いのちをいただくということ」

第5回
心身共に健やかに成長する2

第4回
心身共に健やかに成長する

第3回
自立できる子どもへ2

第2回
自立できる子どもへ

第1回
鎮守の森の中にある保育園


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