自然から学ぶ生き方を求めて~新しい時代の創造~
この大会は、自然農法とEM技術を活用して、農業が持つ国土保全、環境保全、教育などの多面的機能を発揮させ、循環型社会をつくることを願いに、平成8年から毎年開催されています。
内容濃い発表相次ぐ分科会
大会の内容は年々充実されています。特に、昨年12月に「有機農業推進法」が施行されたことにより、(財)自然農法国際研究開発センター(自然農法センター)や自然農法実施者の果たす役割が大きくなると期待される中、2日間に渡る大会で、参加者は情報交換をし合ったり、親睦を深め合ったりしました。
大会初日には、水稲、畑作、果樹・茶、自給菜園、環境、特設(畜産)の6分野の分科会が行われ、約700人が参加。畑作分科会では、連作が困難とされるサトイモやトマトの連載栽培の成功例が、特設分科会では、病気の発生がない健康な豚の育成事例が報告されました。自給菜園分科会では、都市部と農村部での生ごみの活用法についての事例が、環境分科会では、学校と地域ぐるみで行うEMを活用した環境学習の取り組みが発表されました。
従来の常識にとらわれないあり方
若倉利勝実行委員長の開会挨拶に続き、比嘉照夫琉球大学教授が分野別交流会の内容について講評し、「有機農業推進法ができたことで、EMや自然農法が社会に受け入れられやすくなった。従来の常識にとらわれずEMを徹底的に使えば、環境や健康にいい影響を与えることを認識してもらいたい」と語りました。
さらに、「EM技術を社会の仕組みにしていくことが重要で、子どものときからEMを使い、良さを分かってもらうことが大切。学校用の環境学習テキスト『明日からできるEM環境学習』が完成したので活用してほしい」と話し、EM技術の本質である抗酸化作用や非イオンについて解説し、世界や日本各地の環境浄化の取り組みについてスライドを交えて紹介しました。
次に、(株)ティアの元岡健二社長が記念講演をしました。健康上の理由で大手外食チェーンの社長を退任した元岡社長は、"日本の食と農を守りたい"という思いで、平成9年、有機無農薬農産物を使い、安全でありながら、大きさや形が規格外との理由で捨てられる食材も生かした、家庭料理レストラン「土に命と愛ありて−ティア」を熊本市内に開店。その後、「自分もこんなお店をやってみたい」という人の輪が全国に広がり、12店が開店しました。平成17年には"もったいない"をコンセプトにした「もったいない食堂」も開店しました。
それらの様子を映像で紹介した後、元岡社長は「食とは命であり、食のもとをつくり出す生産者の思いをしっかり受け止め、それを伝えていくのが私の使命。命懸けで次の世代に伝えていきたい」と時折、涙をにじませながら語りました。
生産・流通・消費の立場で討論
パネルディスカッション
持続可能な社会の実現に向けて ~食と農の関係を考える~
パネリスト : 比嘉照夫氏 パネリスト : 元岡健二氏 パネリスト : 嘉山進氏 パネリスト : 竹市美知子氏 パネリスト : 園井信雄氏