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福島におけるEMの放射能対策の現状

来たる11月22日、「第3回環境フォーラム うつくしまEMパラダイス」が昨年と同じ福島市にある福島県教育会館で開催されます。現在、栃木県を含め43か所でEMによる放射能対策プロジェクトが実施され、着実な成果を上げています。

PROFILE
ひが・てるお/1941年沖縄県生まれ。EMの開発者。琉球大学名誉教授。国際EM技術センター長。アジア・太平洋自然農業ネットワーク会長、(公財)自然農法国際研究開発センター評議員、(公財)日本花の会評議員、NPO法人地球環境・共生ネットワーク理事長、農水省・国土交通省提唱「全国花のまちづくりコンクール」審査委員長(平成3年〜平成28年)。著書に「新・地球を救う大変革」「地球を救う大変革①②③」「甦る未来」(サンマーク出版)、「EM医学革命」「新世紀EM環境革命」(綜合ユニコム)、「微生物の農業利用と環境保全」(農文協)、「愛と微生物のすべて」(ヒカルランド)、「シントロピーの法則」(地球環境共生ネットワーク)など。2019年8月に最新刊「日本の真髄」(文芸アカデミー)を上梓。2022年(令和4年)春の勲章・褒章において、瑞宝中綬章を受章した。
去る9月6日に、第3回環境フォーラムの準備会も兼ねて、福島市で中間報告会を持ちました。まず参加者全員がEMの施用量や経過時間の長短はあっても、放射性セシウムの量は、確実に減少するという確信を持っているということです。

フォーラムの発表者は、第1回および第2回の発表者に限定し、その後に得られた他の成果については、追加または大会の資料集に収録することになりました。

放射能対策には、各地でのEMの散布による放射線の減少事例をより多く集めることと、経時的にどのような減少傾向があるかということが重要なポイントになります。福島の場合、除染(汚染土の除去)をしても、時間の経過とともに、元のレベルに戻っている例が多々あります。この現象は、近くの山林からの再汚染か、事故現場からの再汚染がその原因と思われています。

放射能汚染対策で重要なことは、汚染を減らすと同時に、再汚染を防ぐということに尽きますが、今回の中間報告では、EMで放射線が低下した地域で、再度放射線が高くなる例は皆無ということも明らかとなりました。

注目すべきは、EMを散布した隣接地の放射能が同じ傾向で減少していることです。2012年の野田市のスポーツ公園で行ったEM活性液散布による放射能対策では、EM活性液の散布A区(227m2)と隣接に無散布B区(494m2)、また、その隣接に散布C区(580m2)、さらにその隣接に無散布D区をつくり、さらに離れた地点でも測定して(青ベンチ)ABCでも測定し、放射能減少効果を調べています(図1)。


その結果は、隣接の無散布の2区も散布区と同じような減少率となっており、EM活性液を散布しなかったところも放射能が消えるという現象が確認されたのです(図2)。


化学物質の消滅試験であれば、この結果はEMの散布効果はないということになりますが、放射線物理学の見地に立てば、この結果は明らかに放射能を減少させ、その影響が周りに広がっているということになります。

その影響は散布地点から60mも離れた青ベンチAの地点まで及んでいるということです。福島でEMを活用している農家の畑のまわりも、例外なく同じ傾向が認められています。今回の報告でもEMを活用した畜産のスラリー(液状となった糞尿)にEM活性液を消臭的に加え、散布した牧草地の放射線量は有意に減少していますが、その隣接した牧草地でスラリーを使用していない場所も同じ傾向で減少していることが明確に現れています。

多くの参加者から、当初EM活性液を散布し、その効果を測定したついでに、そのまわりの数m地点を測定したら同じ数値であったので、EMは効果がないと思ったという本音が聞こえてきました。確かに、EM散布前の測定よりも散布後は著しく減少したが、そのまわりのEMを散布しなかったところまで減少すると頭が混乱しています。

これまでも、何度か説明したように、汚水の浄化や水中の化学物質の分解実験において、三角フラスコに試料を入れ、EMを濃度別に加え、同時に無処理の対照区を並べておいて、経時的な変化を調べていました。当初はEMの添加量の多い区から効果が現れました。ところが時間の経過とともに、すべてが同じ結果になってしまいました。すなわち、何も加えなかった無処理区も水質が浄化されたり、その中に含まれていたトリクロロエチレンやダイオキシンも消え、各種の重金属も反応しなくなったのです。

何回実験を繰り返しても同じことになったので、三角フラスコのガラス容器を突き抜ける波動の存在を予見し、EMを加えない対照区を隣の部屋に移動してみました。その結果、対照区には何の変化も現れませんでした。

EMの実験を行う場合、すべての場で同じようなことが起こりますので、対照区は10m以上離した方がよいということになりましたが、そのことを知らない多くの研究機関が、私の当初の実験同様に対照区を隣接させて設置したため、ほとんど類似の結果となり、EMは効果なしと判定された例が無数になります。

見えてきたEMによる放射能対策


田村市都路でEMによる除染地に咲く花々
EMの放射能対策は1995年から2002年にかけ、チェルノブイリ原発事故の風下で大々的に被災したベラルーシの国立放射線生物学研究所において共同研究が行われました。その結果、EM技術で作物への放射性セシウムや放射性ストロンチウムの吸収を著しく抑制できることや、放射線の内外被曝対策や、放射線量を減らすことが可能であるということも明らかとなりました。

今回の福島においても、同じことが確認され、2011年の事故後から、ベラルーシ側と再度の共同研究に入り、EMの効果は不動のものと確信しています。ただ、この結果を物理学の専門家や科学者といわれる人々に理解してもらうことは、極めて困難という状況にありますが、要は福島での実用レベルの成果です。今回の報告でも、3分の1に減少したという例は当然ですし、時差はあっても例外なくEM研究機構が飯舘村で行った実験結果と類似の傾向を示しています。

野田市のスポーツ公園の結果や、EM技術による鳥獣対策の結界の効果や、これまでのEM散布地域の結果を考えると、田畑以外は従来のように全面にEMを散布する必要はなく、放射能を減らしたい区域を囲むように5〜10m幅で25〜50mおきに散布するだけでも十分の成果が得られることになります。

木炭や良質のモミ殻燻炭はEMの波動を増幅する顕著な効果があります。従って、炭を焼いて取り出す場合に、EM活性液とEM3号(光合成細菌)を半々にした液に投入したり、燻炭の火消し水のかわりに同様のEM液を散布します。すでにできた炭には、同様のEM液を十分に吸着させ乾燥します。その炭を5〜10m(最長50m)おきに0.5〜1kgを15〜30mの深さで埋め込むと、時間とともに放射能は著しく低下するようになります。

モミ殻燻炭はEMダンゴに50%くらい加え、野球ボール大のものをこれまでの仕様でつくり、3〜5m間隔で埋めていきます。水田、畑、宅地、牧草地、山林、いずれにも応用が可能です。理論的にはその効果(整流力)は半永久的ですが、効果が十分でない場合は量が足りないだけということになります。

(2014年9月16日)





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