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塩の浄化力


写真1 除草剤と元肥としての塩の活用(サンシャインファーム)
除草剤と元肥としての塩の活用
(サンシャインファーム)

写真2 週1回軽く塩を散布すると草の姿は全く現れてこない(青空宮殿)
週1回軽く塩を散布すると、草の姿は全く現れてこない
(青空宮殿)

写真3 草がなくさびしい思いをしています(青空宮殿)
草がなくさびしい思いをしています(青空宮殿)

写真4 来訪者は草がないのに驚きます(青空宮殿)
来訪者は草がないのに驚きます(青空宮殿)

写真5 砂利を固めた駐車場の土壌に木の葉を敷いて塩を散布し栽培(青空宮殿)
砂利を固めた駐車場の土壌に
木の葉を敷いて塩を散布し栽培(青空宮殿)

写真6 塩で完全に除草した後に植えたヒメキランソウ(青空宮殿)
塩で完全に除草した後に植えたヒメキランソウ
(青空宮殿)
EMの活用によって、塩は主要な肥料に原子転換されることは、既に実用技術として普及しており、この技術は、塩類集積による砂漠化防止、塩害地の生産緑地化に応用され、明確な答えを出しています。

改めて述べるまでもなく、塩はイオン化していますので、エネルギーを運ぶ本質的な機能を持っており、その量によって天国にも地獄にもなりうる作用をもっています。EMと上手に併用すれば、塩の持つ無限大の力を活用する方向性が見えてきます。

すなわち、濃度が高いと強烈な除草剤となり、同時に強い殺菌力を発揮し、その殺菌力は、漬物や味噌、醤油等々の食品加工に幅広く使われています。

この塩の殺菌力は、別の見方をすれば浄化力ということになります。すなわち、EM活性液を作る際に塩を1〜3%(海水の塩分濃度)追加すると、長期においても変質しない良質のEM活性液が出来ます。そのEM活性液に1000分の1程度のEM1原液を添加すれば、継代培養的に活用しても変質することはありません。

この技術は、今や大規模な農地や水系の浄化に応用され、EM技術の低コストで高品質で持続可能という原点を支えています。

前号で、土の汚染度は微生物相の反映であることを説明しました。連作障害を含め、土壌の汚染度が進んでいる場合は、10a当り2トンくらいの塩を撒いて、100〜200倍くらいのEM活性液を塩が均等に溶けるまで、くまなく散布します。1回の散布では、塩が残っている部分もありますので、数回にわたって散布し、土壌全層に塩とEMがしっかりと浸み込むように施用します。

一般的な土壌では、10a当り500〜1000Kgの塩をを散布し、植付け前の完全除草を行い、EM活性液(海水)を100〜500倍くらいにして潅水するだけで、土壌の浄化力を高め、極めて波動の高い生産物にすることができます。

塩の浄化力

自然農法の創始者である岡田茂吉師は、塩には強い霊気があると述べ、塩の浄化力を高く評価しています。すでに述べたように、塩はイオンであり、電気(エネルギー)を運ぶ力は比類がありません。塩と称されるすべての物質は、類似の性質を持っていますが、基本的にはNaCl(塩化ナトリウム)に勝るものはありません。

塩の万能的な性質は、あらゆるものに電気的に結合して可溶化(水に溶ける)するためです。物質は、その安定化のため強い結合力でつながっていますが、基本的には電子の力が関与しています。

その結合の状態に対し、Na(ナトリウム)は強いプラス、Cl(塩素)は強いマイナスの電子を集約することができます。その象徴的な物質が、苛性ソーダ(NaOH)と塩酸(HCl)です。この両者は、農薬はもとより、あらゆる合成化学物質の原料となっています。

金を除いて、すべての物質はこの両者によって溶かすことができます。塩(NaCl)は、基本的には、どんなに薄くても、この性質を持っています。「極端な減塩は体に悪い」と言われるのは、塩が十分に足りていないと、食べ物を分解し、エネルギーを送る力が低下するためです。

したがって、除草剤的または土壌消毒的、元肥的に塩を活用する場合、10a当り500〜2000Kg、その後は年間500〜1000Kgを目安とし、有機物を表面に敷いて、料理に使うようなレベルで週1回を目安にくまなく使う方法が塩を使う上でのコツと言えます。

EMと併用することで、塩の持つ万能的な性質を農業はもとより、あらゆる有機物を高度な機能性肥料や飼料に変えることが容易です。家庭の生ゴミ処理のバケツの臭気がとれないという質問も良く耳にします。この場合、海水を活用したEM活性液を全体に浸み込むように追加散布するか、表面全体を塩で薄く覆うようにまぶします。このような方法を生ゴミ処理に活用すれば、臭気対策は万全になるばかりでなく、生ゴミも更に機能性の高い有機肥料となります。

(2019年3月11日)

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PROFILE
ひが・てるお/1941年沖縄県生まれ。EMの開発者。琉球大学名誉教授。国際EM技術センター長。アジア・太平洋自然農業ネットワーク会長、(公財)自然農法国際研究開発センター評議員、(公財)日本花の会評議員、NPO法人地球環境・共生ネットワーク理事長、農水省・国土交通省提唱「全国花のまちづくりコンクール」審査委員長(平成3年〜平成28年)。著書に「新・地球を救う大変革」「地球を救う大変革①②③」「甦る未来」(サンマーク出版)、「EM医学革命」「新世紀EM環境革命」(綜合ユニコム)、「微生物の農業利用と環境保全」(農文協)、「愛と微生物のすべて」(ヒカルランド)、「シントロピーの法則」(地球環境共生ネットワーク)など。2019年8月に最新刊「日本の真髄」(文芸アカデミー)を上梓。2022年(令和4年)春の勲章・褒章において、瑞宝中綬章を受章した。

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