前回は、EMの活用によるスーパー植物化、すなわち、限界突破の本質は、EMの持つエネルギー整流力によるものという見解を説明しました。限界突破とは従来の限界と思われていたレベルを軽く超える現象ですが、一般には量的なレベルにとどまっています。
それに対し、前号で紹介したバナナは、明らかに品種の遺伝的特性を超越しています。10年前から同じバナナの品種をEM栽培していますが(100株以上)、1本の茎に2房のバナナが着いたのは初めてです。通常の栽培品種でこのような現象は絶対に起こらないという確信を持っています。なぜならば私のもともとの専門は熱帯果樹であり、世界のさまざまな地域で長年にわたってバナナ栽培の指導を行っているからです。
中南米の有機バナナの大半はEMが使われており、アジア全域の広い範囲でバナナ栽培にEMが活用されていますが、1本の茎に2房のバナナが正常に着いたという情報はありません。しかしながら、私のバナナ園には昨年から3株に、そのような限界突破的な現象が現れ、今年に入ってから10本ぐらい現れてきたのです。
確かに、数年前からEMを徹底して使うようになり、私の試験園(植物のための青空宮殿農場)は、植物工場なみに生産力が高まり、見学者は目からウロコをポロポロと落としています。これまで、本サイトで何回も述べたように、良質の活性液を10aあたり月に400Lを施用し、スーパーセラCを常にその1000分の1になるように加えています。
同時にスーパーセラC(100〜500分の1)入りのEMダンゴを30〜40cmの深さに1〜1.5m間隔で埋め込んでいます。同時にEMの結界(鳥獣害防止)を張り巡らしています。圏内から発生するあらゆる有機物を敷き草的に戻し、その上からEM活性液を大雨の後は原液、乾燥気味の場合は5〜10倍にして、前号で述べた「EMの上手な使い方」に従って管理しています。
また、多収の限界突破も追求していますので、必要に応じてEMで処理されたボカシ鶏ふんも使っています。いつの間にか、病害虫は姿を消し、バナナの樹々の間をヤマボタルが乱舞するようになりました(5〜6月)。バナナは7種類ありますが、わい性タイプの2種に限界突破現象が現れていますが、その他の品種も収量や品質(糖度)は、これまでの品種の常識をはるかに超えています。
昨年から、パパイアのウイルスはまったく発生しなくなり、バナナの連作障害の原因となるバナナゾウムシや有害線虫も姿を消し、バナナセセリも現れなくなりました。EMの結界によって鳥害や台風の被害も著しく減少し、また1時間に100mmの大雨でも表土は流れず、大半は地中に浸透するようになっています。干ばつに対してもかなり強くなり、気象災害も激減しています。
このような背景を考えると、遺伝子組み換えによる品種改良は不要ということになります。現在の遺伝子組み換えの立脚点は、化学肥料や農薬の連用によって劣化した土壌でも育つ作物品種の育成に主眼が置かれ、劣悪な条件でも機能する遺伝子を組み込むことで問題を解決しようという考え方に立っています。その結果として、土壌の本質的な改良という視点に欠けています。
改めて述べるまでもなく、土壌の本質的な改良とは、土壌微生物相(マイクロバイオーム)を善玉菌に変え、その密度を高める土壌微生物相の管理に徹するということになります。善玉菌の大半はマイクロコイルや整流触媒力を持っており、極めて優れた整流機能を持っています。そのため従来の土壌改良の大半のものは不要となります。
土壌の本質的な機能や本質的な改良を無視した品種改良や植物工場などは、有用微生物の機能や酵素活性を無視したことになりますので、長期的に見るとモンスター作物になる危険性があります。生態系や生物多様性を守るという観点に立てば、これまでの農業技術は最悪のものであり、マイクロバイオーム(微生物相)の管理を主体とした方向に変えねばなりません。
下記の写真は三重県津市にある自然農法科学技術研究所の小野さんに提供してもらいました。この方法はEM研究機構のモデル農場であるサンシャインファームや私の実験農園で行われているやり方に準じています。普通春穫りキャベツがスーパー品種的になっています。
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