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炭の多様性の応用2

写真1 塩の炭ボカシ施用
写真1 塩の炭ボカシ施用








写真2 整流炭とEM生ごみ堆肥
写真2 整流炭とEM生ごみ堆肥


前号では整流炭を作る過程で、剪定クズ、オガクズ、イナワラやモミガラ、落葉等も焼いて整流灰も作り、その炭と灰に塩を等量または半量添加し、良く撹拌して塩の炭ボカシを作る方法を紹介しました。

塩の炭ボカシの効果は驚異的で、写真1 のように化学肥料以上の効果があります。同時に土は膨軟になり、雑草の発生は極端に少なくなり、病害虫も激減します。とは言っても、塩は多くなるとすべての作物にも障害が発生しますので、常に少量ずつスポット的に落すような使い方がポイントです。

すでに述べたように、整流炭は万能的な性質を持ちますので、生ごみ等の有機物を混和し、プラスチック袋等に入れ密封したまま1〜2 週間発酵させると極めて良質な有機肥料となり、これを『炭有機』と呼びます。

この炭有機は、焼き上がった炭に水分のあるEM生ごみ堆肥を混ぜるため、炭の消火と生ごみの水分調整が同時に行えることがメリットです。

◆炭有機の作り方
  1. まず、EM生ごみ堆肥と同量の整流炭を準備します。(写真2)
  2. そして、それをよく混和します。(写真3)
  3. 内側にプラスチックが張られた塩の袋に入れ、1〜2週間嫌気的に発酵熟成させます。(写真4)
    (こういった袋がない場合は、通常の紙袋に入れて風通しの良い場所で保管して下さい。袋のままでは少し残った有機物にネズミが寄りますので、さらに大きめのプラスチック容器等に入れて保管することをおすすめします。また、生ごみ処理バケツに入れてもOKです。)
写真3 発酵後の炭有機
写真3 発酵後の炭有機

写真4 整流炭とEM生ごみ堆肥を混和した袋
写真4 整流炭とEM生ごみ堆肥を混和した袋

写真5 炭有機を施用したナス
写真5 炭有機を施用したナス

1週間後に出来上がった炭有機を植穴の底にやや広めに敷いて(1〜2cm)、その上に軽く土を乗せ(1〜2cm)、ナスの苗を植付け、更にその根際に1〜2cmの炭有機をマルチ状に敷きつめます(写真5)。

写真6 炭有機施用1 ヶ月後のナス
写真6 炭有機施用1ヶ月後のナス

写真7 根際に炭有機を敷いたトマトの萌芽
写真7 根際に炭有機を敷いたトマトの萌芽

写真6は、1ヶ月後の状態で第一果房も順調に育っています。30cmぐらい離して4ヶ所に整流灰入りの塩を月に1回1ヶ所10〜15g施用すれば長期に採り続けることができます。この試験圃場は、砂利で固めた駐車場を、表面だけ掘り起こしたところで、まともな果菜類が育ったことはありませんでした。同じ要領で10本のナスを植えましたが、すべて順調に育っています。

写真7 は同じ要領で栽培したトマトのヒコバエ(萌芽)です。前の株もかなり結実しましたが、炭有機の活用で根腐れせず、株出しが出来るようになりました。萌芽がなかった場所には、そのままキュウリやミヤコアズキ、オクラ等々を植え、月に1回炭有機を施用するだけで期待できる成果が上がります。この方法は根際に敷くだけですので、まさに楽々農法です。

《「孫(ひこ)生え」の意》切り株や木の根元から出る若芽。(デジタル大字泉より)

(2019年5月15日)



PROFILE
ひが・てるお/1941年沖縄県生まれ。EMの開発者。琉球大学名誉教授。国際EM技術センター長。アジア・太平洋自然農業ネットワーク会長、(公財)自然農法国際研究開発センター評議員、(公財)日本花の会評議員、NPO法人地球環境・共生ネットワーク理事長、農水省・国土交通省提唱「全国花のまちづくりコンクール」審査委員長(平成3年〜平成28年)。著書に「新・地球を救う大変革」「地球を救う大変革①②③」「甦る未来」(サンマーク出版)、「EM医学革命」「新世紀EM環境革命」(綜合ユニコム)、「微生物の農業利用と環境保全」(農文協)、「愛と微生物のすべて」(ヒカルランド)、「シントロピーの法則」(地球環境共生ネットワーク)など。2019年8月に最新刊「日本の真髄」(文芸アカデミー)を上梓。2022年(令和4年)春の勲章・褒章において、瑞宝中綬章を受章した。

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