いわき市は、福島県浜通り南部にあり、人口では仙台市に次いで東北地方で第2位。原発から40kmに位置し、震災後は、比較的放射線量が低かったため、市外から約3万人もの避難者が来たと言われ、被災者の仮設住宅も市内に3000棟程度建設されています。沿岸部を除き、見た目には大きな痛手はないようですが、市民の日常は大なり小なりの変化が生じているのは十分想像できます。
そのいわき市では、2011年9月に「EM技術による究極の放射能汚染対策と東日本大震災復興への道すじ」と題した講演会が開催され、大きな反響を呼びました。震災前からEM活動を行っていた地元の内郷商工会女性部(鈴木礼子部長)は、内郷一中校庭に、同校の生徒がつくったEM活性液を散布するなど土壌の除染を行いましたが、現在は国の除染方針により中断されています。
柴田さんは、「空間線量は、0.3〜1.0μSv/h程度であるが、EMを熱心に散布している住宅では3〜5割の低減を達成しているところもあり、春頃から子どもたちが風邪をひかなくなった、花粉症もでなくなったなどの報告もあります。因果関係はよくわからないものの、使った人たちが喜んでいるのはうれしい」と報告しました。
また、除染費用に関して、原子力損害賠償紛争解決センターに申し立てたところ、「EMを用いた除染は、その科学的客観的効果が明確ではないが、いまだに一般人が除染方法に関する明細な情報を知り得る状況にない中で、申立人が、放射線リスクを低減させるために効果があると判断し実施したものであることから、本件事故と相当因果のある損害と認める」とのことで、東京電力と和解が成立し、EMを活用した除染費用(30,150円)が支払われることになりました。東京電力は、「風評被害や出荷停止などの損害は認めるが、除染に関しての費用は支払わない」という見解でしたので、この和解は画期的なものと話題になっています。粘り強い交渉でことに当たった柴田さんは、「お金の問題ではなく、東京電力がEMを用いた除染を認めてくれて大満足。さらにやる気が出てきました」と笑顔で語りました。
エネルギッシュにEM活動を引っ張ってきた鈴木礼子内郷商工会女性部長は、「放射能については、先が見えないので苦しいけれど、原点に戻り、よいことは何でもやってみようと思った人も多いのではないか。勇気と励ましを頂いた」と感謝の言葉を述べていました。
NPO法人地球環境・共生ネットワーク(U−ネット)が設置するEM拠点は、福島県に25箇所、栃木県に2箇所。U−ネット事務局では、「地域住民の方に大いに利用していただきたい」と話しています。
リスクのある時代を生き抜く
環境フォーラムうつくしまEMパラダイス 世界の事例から学ぶ災害復興 (2012/11/17)