松本城は年間約70万人の観光客が訪れる名所であり、城周辺の松本城公園は、市民も足を運ぶ憩いの場となっている。また、春になると約320本桜が咲き乱れ、花見の名所としても人気がある。そんな松本城だが、数年前に堀のニオイが気になると市民から指摘を受けた。松本城管理事務所では、業者に依頼し、ヘドロを吸い上げたり処理したり、化学処理で水質浄化に取り組んだが、根本的な解決にはならなった。
市がEM活用事業を予算化
早速、松本城管理事務所が、以前からEMに関してアドバイスをもらっていた(有)イーエムテックフクダからEM培養装置を購入し、技術指導を受けた。実際の浄化事業を、35年前から城の池・樹木管理等を請け負っている(有)中部警備・救助に委託し、本格的な浄化活動が始まることになった。
EM活性液散布の実務作業にあたる中部警備・救助の古畑会長は、「散布前は、特に夏場になると汚泥が水面に浮き上がって、異臭を放っていた。作業のため堀の水の中に入ることも多々あるが、以前は作業後すぐにシャワーをあびないと体中かゆくなっていたが、今はその症状は一切なくなった」と水質改善の状況を身をもって感じている。また、毎朝20人くらいで堀周辺を散歩する市民からは、EM散布開始1年目から堀のニオイがなくなったと言われ、散歩するのが気持ちよくなったと喜ばれている。
様々な波及効果が生まれる
また、掘には、ハクチョウやコイ、カメ、カモなど多くの生物が生息しているが、古畑会長は、「散布前は、約8割のコイが水ダニに寄生されてウロコが持ち上がって赤くなっていたが、その状態が改善された」と驚いている。さらに、浄化事業を始めてから、近隣市町村や業者から中部警備・救助へEMに関する問い合わせがあり、松本城のトイレ掃除や市内のあがたの森公園の池(3000平方メートル)でEMが活用されるようになった。
現在、松本城では、すでに世界遺産となっている姫路城(兵庫県)と犬山城(愛知県)、彦根城(滋賀県)の国宝3城とともに世界遺産の拡大登録をめざしている。また、約1万平方メートルの外堀の復元事業も計画しており、EMを活用した堀の浄化事業とともに、これらの動きから目が離せない。
国宝・松本城の堀の水質改善データ
国宝・松本城のお堀浄化作戦 - 長野県松本市