えびの市でのEM活動の経緯として、平成15年に果樹農家の東稔さんを代表に「えびのEM研究会」が発足し、本大会の実行委員長の松窪ミツエさん(市図書館館長)が2代目代表となる。会員70人中の稲作農家15人が「えびの産EM米ひのひかり」をブランド化しようと「えびのEM研究生産組合」を結成した。宮崎県内では、宮崎市、小林市、西都市、綾町などでも、自治公民館や女性団体などと中心にEMの普及が精力的に行われている。
基調講演で比嘉照夫名桜大学教授は、「多くの方たちが実践してきたお陰で、EMの効果的な使い方が分かってきた。それは、1にも2にも良いEM活性液をつくること。PH3.5以下で、限りなく原液に近いニオイのものにすることが原則。低コストで効率良く使う、21世紀型のEMの活用法をマスターしてほしい」と切り出し、行政・市民・大学の協働作業でEMによるまちづくりを行う北海道三笠市を例に、EMの多様な使い方や累積的な効果を紹介した。また、23年前のチェルノブイリ原発事故で放射能汚染に見舞われたベラルーシが、EMによって土壌が浄化された区域の事例から、①抗酸化②非イオン化③有用波動というEMのシントロピー効果を説明。EM活用の集大成として、東京の日本橋川、奈良の東大寺に続き、京都の天橋立の環境浄化に着手すると報告した。最後に「品良く、かっこよく生きるボランティア精神がEM活動の醍醐味」と結んだ。
「EM活用の果樹栽培」 えびのEM研究会 東稔(えびの市)
「乳幼児の健康を次世代へ」 なかよし保育園長 玉村キクエ(えびの市)
「EMに託すもの」 EMネットみやざき 坂田佐一郎(高鍋町) 宮崎のシンボル・県の木「フェニックス」の病気をなくす目的で平成11年から活動を開始。現在の会員92人。年2回、EM養成講座を開催し、EM実践者の農園を視察するなど、研修を重ねている。農業では自然農法の技術の向上に力を入れ、家庭菜園の充実に取り組み、環境では悪臭で困っていた西都市に流れ込む桜川の浄化活動を行うとともに、一時は絶滅が心配された「タカナベカイドウ」の700本の苗木を地域の高校生と植え、美しい花の街道を実現させた。 比嘉照夫教授講評 EM活用の農業技術は、良質なEM活性液をつくることに尽きる。目安は、PH3.5以下。ニオイは限りなくEM1に近いこと。簡易のEM活性液をつくり、畑で出る残渣を入れて青草液肥などにするのが有効。
「EMを活用した畜産経営」 角井牧場 角井和仁(えびの市) 農協を退職後、3haの牧場に繁殖牛50頭、食牛60頭、子牛50頭を飼育中。一般的には、エサ代高騰で厳しい畜産経営だが、EMを使えば、EM堆肥で付加価値をつけることができる。えびの市は農協収益高45億円。そのうち畜産が32億円で大きな割合を占めている。これからは、安心安全な畜産を中心にした農業を農協の中に展開していきたい。 比嘉照夫教授講評 畜産を中心にした農業は、農業の基本。沖縄のみやぎ養鶏場、玉城牧場、青森県八戸市川村畜産では、畜産物も堆肥の質も良くなり、経営は安定している。経費高騰の時代に逆に経費が削減されている。鶏や牛たちが健康になれば、矛盾のない畜産業が成り立つ。
「水の浄化とまちづくり」 NPO法人エコライフ西都 小浦紀男(西都市)