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農と環境を変えるボランティア集合
「善循環の輪宮崎の集いinえびの」開催



宮崎道公市長以下、えびの市行政職員も参加
「善循環の輪宮崎の集いinえびの」が、4月18日に宮崎県えびの市文化センターで開催され、県内外から約500人が参加した。えびの市(人口約2万2,000人)は、宮崎県の西端に位置し、南の霧島連山、北の九州山脈に囲まれた盆地で、畜産が盛んな地域。

えびの市でのEM活動の経緯として、平成15年に果樹農家の東稔さんを代表に「えびのEM研究会」が発足し、本大会の実行委員長の松窪ミツエさん(市図書館館長)が2代目代表となる。会員70人中の稲作農家15人が「えびの産EM米ひのひかり」をブランド化しようと「えびのEM研究生産組合」を結成した。宮崎県内では、宮崎市、小林市、西都市、綾町などでも、自治公民館や女性団体などと中心にEMの普及が精力的に行われている。

基調講演で比嘉照夫名桜大学教授は、「多くの方たちが実践してきたお陰で、EMの効果的な使い方が分かってきた。それは、1にも2にも良いEM活性液をつくること。PH3.5以下で、限りなく原液に近いニオイのものにすることが原則。低コストで効率良く使う、21世紀型のEMの活用法をマスターしてほしい」と切り出し、行政・市民・大学の協働作業でEMによるまちづくりを行う北海道三笠市を例に、EMの多様な使い方や累積的な効果を紹介した。また、23年前のチェルノブイリ原発事故で放射能汚染に見舞われたベラルーシが、EMによって土壌が浄化された区域の事例から、①抗酸化②非イオン化③有用波動というEMのシントロピー効果を説明。EM活用の集大成として、東京の日本橋川、奈良の東大寺に続き、京都の天橋立の環境浄化に着手すると報告した。最後に「品良く、かっこよく生きるボランティア精神がEM活動の醍醐味」と結んだ。



会場からも多彩な質問が飛び出した
事例発表は、宮崎県内で行われている農業、幼児教育、河川浄化、畜産などをテーマに5人が行った。比嘉教授と発表者の軽妙なやり取りが、会場の笑いを誘う場面もあり、和やかな雰囲気で大会は行われた。大会に先立ち「バイオマスタウン事業を計画中でもあり、EMについて勉強をしたい」と挨拶した宮崎道公えびの市長や行政関係者も、最後まで熱心に聞き入っていた。
事例発表要旨と発表に対する比嘉教授の講評は以下の通り。

「EM活用の果樹栽培」
えびのEM研究会 東稔(えびの市)



毎年向上する品質に満足の東さん
『EMのすべて』を読んだのをきっかけに、平成6年から農薬の減量に取り組む。EMボカシやEM活性液を活用、EMXセラミックスパウダーEMプリン石けんをEM活性液散布の際の添着剤として使うことで、最小限の農薬での果樹栽培を可能にした。栽培面積は、ブドウ(巨峰・ピオーネ)とカキ、あわせて80a。カキ栽培では、根元にEMセラミックスパウダーを塗ると病害虫が少なくなり、ブドウとともに表面がキレイで味も良い。自信を持ってEM栽培を実践している。
比嘉照夫教授講評
やむを得ず殺虫剤などを使う場合は、EMと混ぜて使わず、殺虫効果が出た3~4日後にたっぷりのEMを使うと良い。EMプリン石けんを1週間に1回散布すると病害虫が抑えられる。

「乳幼児の健康を次世代へ」
なかよし保育園長 玉村キクエ(えびの市)



味噌は子どもたちの手づくり
保育園で子どもたちに安全な食を提供するため、できる限り自然な調味料を使おうと、味噌を手づくりすることからスタート。4年前からは、EMボカシ、牛糞、炭の粉などを使って、米とお茶を栽培する。残飯を肥料化して、田んぼや畑に入れ、栽培、収穫、調理までの循環を大切にする保育園を実現した。また、EMプリン石けんを給食室の洗浄器にも使い、”水を汚さない生活をしよう”と子どもたちに伝えている。
比嘉照夫教授講評
学校給食で使う味噌にEM蘇生海塩を入れているところもある。また、EM・Xゴールドを1万分の1、EM活性液に入れると質が良くなる。さらなるレベルアップを期待する。

「EMに託すもの」
EMネットみやざき 坂田佐一郎(高鍋町)

宮崎のシンボル・県の木「フェニックス」の病気をなくす目的で平成11年から活動を開始。現在の会員92人。年2回、EM養成講座を開催し、EM実践者の農園を視察するなど、研修を重ねている。農業では自然農法の技術の向上に力を入れ、家庭菜園の充実に取り組み、環境では悪臭で困っていた西都市に流れ込む桜川の浄化活動を行うとともに、一時は絶滅が心配された「タカナベカイドウ」の700本の苗木を地域の高校生と植え、美しい花の街道を実現させた。
比嘉照夫教授講評
EM活用の農業技術は、良質なEM活性液をつくることに尽きる。目安は、PH3.5以下。ニオイは限りなくEM1に近いこと。簡易のEM活性液をつくり、畑で出る残渣を入れて青草液肥などにするのが有効。

「EMを活用した畜産経営」
角井牧場 角井和仁(えびの市)

農協を退職後、3haの牧場に繁殖牛50頭、食牛60頭、子牛50頭を飼育中。一般的には、エサ代高騰で厳しい畜産経営だが、EMを使えば、EM堆肥で付加価値をつけることができる。えびの市は農協収益高45億円。そのうち畜産が32億円で大きな割合を占めている。これからは、安心安全な畜産を中心にした農業を農協の中に展開していきたい。
比嘉照夫教授講評
畜産を中心にした農業は、農業の基本。沖縄のみやぎ養鶏場、玉城牧場、青森県八戸市川村畜産では、畜産物も堆肥の質も良くなり、経営は安定している。経費高騰の時代に逆に経費が削減されている。鶏や牛たちが健康になれば、矛盾のない畜産業が成り立つ。

「水の浄化とまちづくり」
NPO法人エコライフ西都 小浦紀男(西都市)



建設組合員や樹木医なども浄化活動に参加。地域の総合力で取り組む
日本で最古の古墳群で知られる西都市の記紀の道。その奥にある稚児ヶ池が、アマモや葦に覆われ、ヘドロも堆積。平成11年から市と市民の協働で浄化することになり、毎週500リットルのEM活性液を投入したところ1年で悪臭が消え、さらにEM団子も投入し、ヘドロが軽減した。平成16年には釣り大会や湖上ライブが開かれるまでになった。現在は、2000羽のカモが飛来し、四季折々の花の咲く池周辺に年間100万人の観光客が訪れるようになった。
比嘉照夫教授講評
町のやっかいものが、地域の大切な財産に変わり、町の活性化に役立つ素晴らしい事例。21世紀型のEM活用法と言える。愛知県の魚も住めない日本一の汚い阿瀬知川が、清流になったように継続して行えば、結果は出てくる。

(2009年5月22日)

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