神奈川県産ただひとつの地大豆「津久井在来」の豆腐・味噌など、貴重な豆加工品なども販売され、餅つきや手打ちうどんなど、親子づれの来場者は楽しそうに試食。相模原市立中央小学校と緑台小学校の発表や、相原高校と東京都食育チームによるお味噌教室、カナガワンダンサーズのミニライブなど、フィナーレの豆まきまで、大いに盛り上がりました。
「大豆100粒運動」は、鎌倉市在住の料理家・辰巳芳子さんの提唱により2004年に長野県で始まり、翌年にはNPO法人「大豆100粒運動を支える会」が設立されました。辰巳さんの提案は、「第一に子どもの手のひらにのる約100粒の大豆をまき、その生育を観察・記録し、収穫を学校で揃って食べること。第二に、各風土の特質ある大豆、即ち、在来品種とその食方法を調査・発見し、復活・振興をうながし、援助すること。第三に、大豆再興が、地域の着実な『底力』となるよう、情報交換し『合力』すること」というものです。この考えに共感し、全国各地で大豆を栽培する学校が、小中合わせて309校、21,048人(2013年1月現在)が参加するまでになりました。
ことに神奈川県でただひとつ残っている「津久井在来大豆」は、神奈川県立相原高校と小学生と農家が協力して復活させ、その味のよさが再認識されています。この地大豆に注目したのが、相模原市の老舗酒屋「豊国屋」で、新しい感覚の大豆製品を販売しています。 また、海老名商工会議所は農業団体が連携し、海老名市役所にはこの大豆をつかったメニューが登場。市内の飲食店20店舗でも、提供されるなど、大豆の地産地消に向けての取り組みが始まりました。
国内産大豆の85%は、減反した田んぼで栽培されていますが、生産量をあげる方策として、狭い田んぼでも簡単に大豆畑に転換できる地下かんがい法を考案した福士武造さんも、ステージから、「農家もがんばるので、いっぱい大豆を食べて」と話しました。福士さんが指導した青森市立浪岡野沢小学校の児童が育てた青森県在来大豆「おおすず」がチャリティ販売されました。
ところで、日本の輸入大豆の75%は米国産。米国での作付けの91%がすでに遺伝子組換大豆となっています。米国には遺伝子組み換えかどうかの表示義務はありません。日本のスーパーで売られている納豆の表示には、遺伝子組み換えでない米国産※とありますが、9%に過ぎない非遺伝子組み換え大豆が、どこまで輸入されているのかの疑問などに対する不安は続いています。(※分別生産流通管理が適切に行われている場合には、大豆ととうもろこしについては、5%以内の意図せざる混入があっても「遺伝子組換えでない」と表示することができる。)
原発事故を経た今、辰巳芳子さんの次の言葉が、ますます重みを増しています。 「生命は、もろいものです。とりわけ、幼い生命は大変傷つきやすいものです。それは、どれ程見守っても充分とは言えぬほどのものです。この命を大切に致したく、手はじめに、この国の大豆を再興することから手をつけました」
子どもたちと一緒に大豆をまき、その大豆で味噌や豆腐づくりをする「大豆100粒運動」を国民運動までに育てたいものです。
映画「天のしずく 辰巳芳子“いのちのスープ”」鎌倉上映会 (2013/4/26) 詳細、申込みは下記サイトをご覧ください。 http://peatix.com/event/11158/view
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