第1日目には、「日本農業の進むべき道」と題して、食料・農業・農村政策審議会会長代理の鈴木宣弘東京大学大学院教授が基調講演を行った。 鈴木教授は、「日本は先進国の中で、一番自国の農業を保護しない国。農業は補助金づけという印象を国民に持たれているのは農業の実態をしらないからで、事実を公開して国民的議論をするべきだ。このまま自由貿易化が進めば、自給率は12%になる」と指摘。
会場からは、「有機農業への理解はどの程度あるのか」「JAS認定制度への疑問」などの質問が出された。鈴木教授は、有機農業に関しては門外漢だと断った上で「日本では、国際競争力を持つような農業は、期待できない。当然、環境保全、循環を達成できる有機農業が期待されていくだろう」と締めくくった。
その後、8分科会で活発な議論が行われた。8つのテーマは以下の通り。 第1分科会 有機農業の技を語り合う 第2分科会 畑から考える平和と共生 第3分科会 都市生活者と有機農業 第4分科会 産む力 −食べ方と暮らし方のかかわりの中で 第5分科会 一楽思想とこれからの「提携」 第6分科会 森・里・海の循環と腐植 第7分科会 工業的農業から有機農業ヘ−「種子」から見る 第8分科会 食農教育の実践
ネオ二コチノイド系農薬の健康被害 即急な調査・対策を
また緊急の問題として、現在、有機リンに代わって使用が増えている、ネオニコチノイド系農薬も神経毒性が強く、人間の行動を抑制する神経に悪影響を与える可能性があると指摘。また、被爆者には心電図に著しい不整脈をみられるとして、緊急に対策をとるべきだと訴えた。
ネオ二コチロイド系農薬(殺虫剤)の特徴は、水溶性、浸透性、残効性、残留性が強く、有機リン系農薬と比べて、土壌、作物に蓄積しやすく、水中での分解も遅い。人間への影響でいえば、腸管から吸収されて、脳への蓄積が顕著で排泄が遅い、というやっかいな物質。日本では、果実、野菜、お茶栽培、松くい虫の防除などに使われているが、残留基準値は、EUに比べて最大500倍。日米比較をしてみ基準値はアメリカの方がよほど厳しい。国産農産物の実態は、安全性に関する限り、輸入に比べてましとは全く言えないと強調した。
午後には、「自家採種と有機農業」について岩ア政利さんと林重孝さんが、「有機農業における種苗調査報告」を今井優子さんが行った。当団体が長年実施している種苗交換会には、たくさんの有機農家に混じって消費者も参加した。適地適産の自家採取種苗の多様さは、有機農業の豊かさの象徴。自家採取農家のこだわりに参加者は真剣に聞き入り、種の大切さを再確認した。
Copyright (C) Eco Pure All Rights Reserved.