20日には、NPO法人全国有機農業推進協議会と「農を変えたい!全国運動 関西地域ネットワーク」が主催する「第5回農こそ!コミュニティー」が開催され、有機農業や提携運動の専門家で神戸大学名誉教授の保田茂さんが「有機農業の歩みと到達点」をテーマに基調講演を行った。
保田さんは70年代初頭、食品公害問題などを契機に産消提携運動を始めた経過を報告。食べ物を商品としてとらえる「市場主義」を否定し、大量生産・大量消費の暮らしを反省する生産者と消費者の「自己批判」などが日本の有機農業運動の特徴と指摘した。「デフレ経済の下で、消費者の理解と協力が今こそ必要だ。薬に頼らない健康な体を保つためにも、ミネラル豊富な有機農産物を食べることが、これからくる超々高齢化社会にはなによりも重要だ。生産者と消費者がつながる提携の思想を再構築し、有機農業を拡げたい」と語った。
他、数名からの報告や事例発表を受けて、その後7分科会で活発な議論がなされた。テーマは下記の通り。
1.地域連携:農商工でささえあう食べ物ネットワーク 2.食農教育:未来への提言〜有機農業がはぐくむ子どもたち〜 3.地域の担い手たちの挑戦〜これからの食と農の可能性をリアルに考える〜 4.生物多様性を育む有機農業:田んぼの生き物調査から見えてきたこと 5.オーガニックマーケットにおける提携・PGA・認証 6.種をめぐる自立:種子を農民の手に 7.パートナーシップ
分科会終了後、「食と農の様々な問題は食べる側が変わることで解決できる」という視点が提起された。そのためには、まず地域のものを食べること。田んぼは単なる生産の場ではなく、公共のものとして、生産者だけではなく地域住民で守ること。遺伝子組み換えなど、種が農民の手から奪われていく現状をとめるために今年10月に名古屋で開催されるCOP10(生物多様性条約第10回締約国会議)に「種の保存」を問題提起すること、などが提案された。
第4回産消提携国際シンポジュウム 責任ある生産者と自立した消費者がつながろう
基調講演では、アメリカの提携実践有機農家であり『CSA市民ガイド』の著者・エリザベス・ヘンダーソンさんが、CSA(地域が支える農業)の世界的広がりについて報告。アメリカでは、日本の「提携」をモデルに、現在約1700農場、およそ10万人の消費者が関わっている。イギリスでは、ソイル・アソシエーション(土壌協会)が「地域を耕そう」プロジェクトとして、アメリカ同様のCSAを立ち上げている。フランスでは、AMAP(農民農業を守る会)が1000以上立ちあがり、カナダ・ケベックでは、エキテルという団体が3万3千人の会員世帯を擁するまでになっている。先進国だけではなく、南米、アジア、南アフリカなどにも広がっている。
ヘンダーソンさんはさらに、「国によっていろいろな呼び方があるが、グローバリゼーションの下の抑圧に農家と市民がどう対応したかはとても似ている。お互いに直接支えあうこと、同じ理想を持つ市民がつながることが、今一番世界に必要とされていることだ」と話した。
パネルデスカションでは、消費者団体、アースデイマーケット運営、生産者、
最後に兵庫県豊岡市の高校生が英語と日本語で「私たちは、顔の見える関係にこだわる提携思想を深め、世界の提携ネットワークを強め、有機農業を広めていくことによって、生命と地球に責任を持つことをここに宣言します」と大会宣言を読み上げて、2日間の幕を閉じた。
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