開催にあたり、静岡大会実行委員長の小櫛和子さん(富士市学校給食を考える会会長・食育研究家)が、「雄大な富士山のふもとで、豊かな自然を次世代に残すために、私たちが、今、何をすべきかを考える集いにしたい」と挨拶しました。続いて、佐藤喜三郎代表が、「有機農産物を生産する目的は、食べた人が健康になると共に平和な社会の構築にある。医農連携をしっかりすすめ、有機農業を守るために脱原発・脱TPP・平和憲法を守ることに集中したい」と決意を述べ、来賓のツルネン・マルテイ参議員議員(有機農業推進議員連盟事務局長)が、「有機農業は、国の力、国の宝だが、草の根がなければ国の政策はすすまない。有機農業に関わるすべての人たちと協力して国を動かしていこう」と応じました。
(公財)自然農法国際研究開発センターと有機農家で研修した内田さんが、「地域まるごと有機農業を行うことに魅力がある。有機農業のつながり、循環は、お互いを尊重しながら、助け合うという人間の営みに通じる。人との出会いで伝えられる、さまざまな情報を受け入れて、農園がどんどん進化している」とまとめると、ベテラン有機農家のひとりは、「とてもおもしろい。なかなか勉強になった」と笑顔で返しました。
2日目は、「野草パワーで 元気を摂ろう!」をテーマに野草料理研究家の若杉友子さんが、講演しました。若杉さんは、1937年大分県生まれ。西洋医学では見放された病気の夫を桜沢如一の提唱する食生活で改善したことから、日本人にとっての正しい食事について研究・実践する食養研究の第一人者。京都府綾部市で自給自足の生活を行い、つくし、ヨメナ、甘草など野草を使った料理教室を開き、アトピーや花粉症、不妊症などの悩みを抱える若い女性たちに「若杉ばあちゃん」と親しみを込めて呼ばれています。「野草は自分で命をつないで繁栄している。その生命力をいただくことで、元気になる」と、お米を中心にした一汁一菜の伝統的な食生活の上に野草を取り込むことを提唱しました。
5つの分科会では、放射能と有機農業など今日的な問題と共に、環境にあわせた技術の選択で農薬を使わない農業は可能だという提案もされました。最後に「私たちは、この豊かな緑あふれる自然を基盤として生きとし生けるすべての『いのち』を健やかに次世代につなげていくために、森・里・海の『いのち』の循環の中で人々が繋がり、多くの課題を一緒に乗り越えていく」ことを大会アピールとして採択し、閉会しました。
30年前に近所の方にF1種の大豆の種をもらい栽培したが、実がつかなかった。次世代に種を残さないことを異常だと思い、種を自分で残す野草に着目した。有機野菜、野草を中心にした食堂を始め、料理教室を開いて食の運動を始めた。その中で、花粉症・アトピーの方の方が健康を取り戻していくのを目の当たりにした。「これを食べたから健康だった」というのではなく、自分のつくった良いものを食べたから健康だった。土からあがった野菜をしっかりした調味料でシンプルに食べる。なによりも季節の旬を食べれば健康になる。「身土不二」というように地域でできた物を食べれば、人も地域も元気になる。
1960年代までの日本人は、米一俵を担いで100mを走るほど体力があったが、今の若者にはこんな体力はない。また、昔は、結婚すれば子どもができるのは当たり前で、今のように10人に1人が不妊症に悩むのは異常だ。男性の精子数が激減、女性の生殖能力の低下は、食がおかしいと考えなくてはならない。ことに不妊症は、低体温(36.5℃以下)を改善することで克服できる。米とミネラルたっぷりの自然塩、飲む点滴と呼ばれる味噌汁、そうした和食で体温は上がる。体温があがると性格も変わってくる。子どもたちの体を考えるならば、パンをやめ、米の給食に変える180度の転換が必要だ。そのためにも、消費者がもっと自分のこととして、食の勉強をし、自分で自分の食生活をコントロールする訓練をして欲しい。
若島礼子(日本綜合医学会食養指導士・安全な食べ物をつくって食べる会会員 http://taberukai.jp/) 大内信一(福島県 二本松有機農業研究会 http://www4.ocn.ne.jp/~dake/ynk/yuki.htm) 馬場利子(静岡市 プラムフィールド代表 http://plumfield9905.jp/) 魚住道郎(茨城県魚住農園) 槌田劭(京都府 使い捨て時代を考える会 http://www.tukaisutejidai.com/)
小櫛和子(富士市 富士市学校給食を考える会会長 http://shizuokakyusyoku.sakura.ne.jp/fuji_kyusyoku/) 中島紀一(茨城県 茨城大学名誉教授) 遠藤貴子(富士市立田子浦小学校学校栄養職員) 安藤徹哉(富士市 安藤農園 http://profile.ameba.jp/andounouen/)
上田由紀(生活協同組合パルシステム静岡副理事長 http://www.palsystem-shizuoka.coop/group/) 吉野隆子(愛知県 オアシス21オーガニックファーマーズ朝市村村長 http://www.asaichimura.com/) 小松浩二(沼津市 八百屋REFS代表 http://fujiyama-veggie.com/) 舘野廣幸(栃木県 有機農家) 松木一浩(富士宮市 潟rオファームまつき代表取締役 http://www.bio-farm.jp/)
圷有恒(静岡市 静岡有機農業の会事務局長 http://shizu-yuki.jimdo.com/) 大村悌治郎(静岡市 薬剤師、食品保健指導士) 齊藤勝弥(静岡市、有機茶農家)
放射性物質が荒茶から検出されたことで、お茶の産地は今でも苦悩している。そのため、海外に販路を開拓したり、独自に栽培販路をインターネットにするなど新しい市場開拓に乗り出している。原発事故前も、年々お茶の販売量は減少していた。その理由は、日本人にとってお茶は嗜好品となり、機能性としてのお茶を無視した結果、安全性が失われてしまったことにある。この点を反省し、有機農業で安全なお茶を消費者に提供していきたい。
有機農業は、国土の環境を守る国土回復産業として存在する、そのことを再確認。無農薬新規就農する人には、最低3年の国家援助を要請したい。生物多様性と農の関係を学んで、肥料は少なめにし、虫は虫で、草は草で、菌は菌で調和させるため、野菜類の不耕起栽培、果樹の混植栽培、有畜複合農業(平飼い養鶏、ヤギ)、リビングマルチなどを提案。病害虫は、誘因を小さくする生態系づくりを行い、害虫がいても実害がなければ、農薬を使う必要はない。こうした栽培をしながら、土を育てる自然農法の技術を普及し、誰でも農薬を必要としない農業に取り組めるようにしたい。
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