また、元札幌大学教授で退職後郷里の仙台に帰り被災した同会顧問の綱島不二雄さんが、「三陸地方の人々は、津波に対してもそれ相当の備えはしてきたが、それを超える災害だった。代々続いてきた農業や漁業を続けていけるのか、多くの人たちの気持ちが萎えているのが現実だ。国は、スマートシティや水産特区など想定しているようだが、東北の復興は地元主体で行うべきだと思う。集落をどうつくり直すか、先が見えない農家や漁民の気持ちに寄り添いたい」と東日本大震災の状況報告をし、カンパの訴えを行いました。また、生ごみの悪臭に悩んでいた避難所の石巻市立湊小学校が、たい化協会の指導で生ごみを堆肥にして花壇をつくった話や、避難している農家が山形県の田植えのボランティアに駆けつけた話などを報告すると、会場から大きな拍手が起こりました。
全体会では韓国と日本の2つの事例発表が行われ、午後からは4分科会に分かれてそれぞれの体験と知恵を分かち合いました。3月の震災以降、地域のおかれている状況は大きく変わりましたが、「有機農産物を食べ、堆肥化し、土づくりに参加し、美しい花・美味しい農産物を作ろう!」の原点に戻り、このスローガンが実現できるように根本的な問題解決をしていくことを確認する交流会ともなりました。参加者の若者の1人は、「放射能と有機農業は相容れないものだと実感しています。でも、生ごみを燃やさず大地にかえす営みの中にも問題解決の道があるのではないかと思います。生ごみも再生可能なエネルギーなのですね」と感想を述べていました。
韓国 人口約5,000万人 世帯数約1,700万世帯
一方、ごみのリサイクル率は、2001年の56.8%から2008年の90.5%と飛躍的に延びたが、生ごみの発生量は、2001年の平均11,237トン/日から2008年の15,142トン/日へと1.37倍に増えている。家庭での生ごみは、1日1人300gで、他の国よりも多く、生ごみの排出量の削減が火急の問題となっている。そのため、豊富な食材と大量の料理でもてなす韓国の食文化を見直し、大量消費大量廃棄の習慣を改める食改善運動が始まっている。
3言語(日中韓)環境情報サイト 東アジア環境情報発伝所HP http://www.eden-j.org/
札幌市 人口約190万人 児童数 約14万人
また、札幌市の市民講座「さっぽろ農学校」の卒業生が、知識や技術を市民との農の共生をめざしNPO法人さっぽろ農学校倶楽部を設立。NPOが栽培した「トウモロコシ」や「カボチャ」などが給食に使われ、子どもたちとの交流授業も行われている。こうした学校給食フードリサイクルを学校活動(落ち葉の堆肥化、野菜栽培、調理体験など)に関連させる学校も95校となり、その結果、給食の食べ残しが減ったことをはじめ、子どもたちの食への関心が確実に高まっている。
さっぽろ学校給食フードリサイクル http://www.city.sapporo.jp/kyoiku/top/kyushoku/recycle/recycle.html
御殿場市 人口約9万人 世帯数 約3万世帯
「この生ごみ堆肥化施設の建設が、ごみを出さないライフスタイルが広まるきっかけになってほしい。現在は一部地域の1700世帯で行っている家庭生ごみ回収を市内全域に広げ、将来は市内全域で生ごみ全量回収を目指したい」と関係者そろって期待を込めている。廃棄物処理業者の組合が地域の家庭生ごみ回収堆肥化に本格的に取り組むのは全国でも初めて。
エコハウス御殿場 http://www6.ocn.ne.jp/~ecogoten/
因幡環境整備㈱ http://www.inaba-kankyo.co.jp/
アドバイサー・恒川芳克さんのコメント 生ごみ堆肥化事業を支えるのは根本的に女性の力だが、社会化していくには男性の力が欠かせない。必要な人が必要な時に与えられ、事業は進んでいくものだと思う。時間はかかるが、正しい理念があれば、必ず成功すると信じている。
福島県南会津町人口 約1万8千人 世帯数 約7,000世帯
茨城県土浦市 人口約14万人 世帯数 約5万7千世帯
中村西根市民農園 http://www.pref.ibaraki.jp/bukyoku/nourin/nokan/guide/map_south20.html
コーディネーター浅井民雄さんのコメント 原発事故以降、特に消費者と農家の連携が重要になってきた。「生ごみリサイクル交流会」で「ごみ減量」から「土づくり」の話ができるようになり感慨深い。土づくりを成功させる鍵は、なによりも優秀な指導者がいるということだとあらためて認識している。
茨城県牛久市 人口約8万人 市内小学校数8校 児童数約4,000人
NPOエコライフHP http://www.ushiku-shimin.jp/uccy5m/index.htm
栃木県高根沢町 人口約3万人 世帯数 約1万世帯
しかし、この土づくりセンターは閉鎖式施設のため電気代がかさみ、処理能力の割には経費がかかりすぎている。また、農家は堆肥を無料でもらうもので買う物ではないという意識があり、「たんたんくん」の売れ行きは芳しくなかったが、町が10トン当たり4,000円に対して2,000円の補助を付けたところ、利用者が増加した。今では、町内に2か所ある農産物直売所は地元農産物を目当てに観光バスも止まる盛況ぶりだ。給食食材を地元産にこだわると、生産計画や品目の調整など生産者にとっては面倒なことが多いが、それでも“孫のために”という申し出があって、17年度には使用食材の約50%を地元産でクリアーするまでになった。
コーディネーター・綱島不二雄さんのコメント。 総合力=生きる力を持った子供が育つためにも、食育をもっと総合教育の中に取り入れて欲しい。教育の場で生ごみ堆肥化を循環の流れに組み込んでいくと、生ごみ堆肥化の取り組みが、もっと豊かな運動になっていくと思われる。
NPO循環生活研究所HP http://www.jun-namaken.com/index2.html
武蔵野市 人口約13万人 世帯数 約7万世帯
クリーンむさしのを推進する会HP http://www.city.musashino.lg.jp/faq/faq_seikatsukankyo/faq_gomi/002767.html
コーディネーター・土方彰子さんのコメント 家庭でのコンポスト化については、段ボールコンポスト、EMボカシなど出揃ってきたので、それぞれの方法で実践する人を増やす。段ボールコンポストについては、基材の研究をすすめ、さらに工夫して誰でも続けられる方式になるよう知恵を出し合いたい。
関連記事
第18回生ごみリサイクル交流会2010 生ごみは宝だ! 日本農業再生への道を探る
外部リンク
NPO法人有機農産物普及・堆肥化推進協会 (NPOたい肥化協会)