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EM発祥の地で最新事例の数々を報告
EMフォーラム2008レポート


多くの人が参加した2日目の比嘉教授の講演会
「EMフォーラム2008」(11月15~16日)に参加しました。会場となった「ホテルコスタビスタ沖縄」と生涯学習施設「あやかりの杜」には、全国から約180人が参集しました。

EMが広く一般で使われるようになって27年が経ちました。学問の世界ではEM内の微生物の大半は解明されていないと言われていますが、多くの現場で良い効果が現れ続け、因果関係が不明ながらもEM技術として確立されてきました。

もちろんEM自体の安全性は各機関で証明されています。帰納法といわれる研究方法です。このような中で、今回のフォーラムは、一般にEMを広める目的を一応達成したとして、これまで行われていた「EMフェスタ」「EMウェルネスウィーク」ではなく、最新の事例発表会のみが行われました。


ホテルコスタビスタ沖縄の屋上菜園
1日目の15日は、「ホテルコスタビスタ沖縄」でEM技術公開講座や国内のEM事例発表と屋上菜園見学、夜は知念恒男うるま市長や新垣邦男北中城村長も参加しての懇親会が開かれました。

2日目の16日は、生涯学習施設「あやかりの杜」で海外のEM事例発表と、沖縄照甦クリニック医師の杉本一朗氏による予防医学セミナーなどが開かれました。なお、前日には非公開で「EM医学会議2008」も開かれました。フォーラムの締めくくりは、EMの開発者・比嘉照夫名桜大学教授が「青空宮殿」と名付けた、不耕起栽培による実践圃場(バナナ園)の視察でした。

コスタビスタ沖縄が顧客満足度NO1に


「ホテルコスタビスタ沖縄」と奥が「EMスパコラソン沖縄」

ウォーターラウンジ

ホテル周辺にはハイビスカスなど様々な花が咲き誇る

スパでは岩盤浴も楽しめる

ホテルのロビーに飾られた比嘉教授の不耕起栽培バナナ
ここで「ホテルコスタビスタ沖縄」について少しご報告します。沖縄本島の中部、北中城村の高台にあり、太平洋と東シナ海を見下ろす景勝地にあります。沖縄返還(昭和47年)の前年に建てられた旧シエラトンホテルが廃業して放置されていた建物を、EM技術を駆使して改築したものです。同時に新設された「EMスパコラソン沖縄」とあわせて、2006年4月にEMウェルネスセンターとして開業しました。EM仕様ホテルとして知られ、今年JAL顧客満足度沖縄NO1になったそうで、アジアンテイストなホテルとしても若い人に人気を得ています。館内は集団臭のない森林のような快適空間となっていました。

ホテルの各部屋においてある館内案内には、ここのコンセプトとホテルとスパ(温泉鉱泉などにある美容施設)でのEM活用が詳しく写真入りで説明してあります。
コンセプトは

  1. EM技術を活用した予防医学を基本に、生活改善指導を行うウェルネス機能を充実させます。そこでは、EMの持つ抗酸化作用を用い、自分医的ライフスタイル「セルフメディケーション」が体験できます。
  2. 生活改善の大きな要素となる「食事」は、本来「医食同源」であるはずのものが、現在では、農薬や除草剤などにより多くがその機能を失っています。レストラ ンでは、可能な限りEM技術で生産された無農薬農産物や抗生物質無使用な肉や卵・牛乳等、安全な食材を用いた料理をご提供し、本格的な「医食同源」を体験 していただきます。
  3. EMカプセル、EMトリートメント、EM岩盤浴、中国医療等、代替医療及びリフレッシュ機能を組み合わせた、総合的なリラクゼーション「EMスパ コラソン沖縄」を体験いただけます。
  4. 老朽化した建物を取り壊すことなく、EM技術による建物の再生を図り、センターそのものが、建築学的なモデルとなります。
  5. 世界中にて実際に活用されているEM技術の粋を集めたEM情報発信基地として、常時、EMに関する最新の事例展示が見られ、EM技術を学ぶことができるEM情報のライブラリーを提供いたします。
とあります。自然のやすらぎを大切にゆったりとしたシンプルな客室。アースカラーに統一されたロビーには、比嘉教授の不耕起栽培の大きなバナナがしっくりとなじんでいます。太陽の恵みあふれる豊富なレストランのメニュー、EM岩盤浴などの癒し効果を実感できるスパなど、有用微生物の効用は知らなくても、自然となじめる楽しい空間となっています。

国内外の優良事例が次々発表

さて、フォーラムの内容について話を戻します。国内の優良事例発表は2題。1つは㈱イーエム総合ネット営業部部長の正村岳彦氏による三河湾や伊勢湾に流入する河川流域の生態系再生事業の発表でした。この活動80団体以上といわれる民間団体・自治体・企業などが関わった活動です。
関連記事:蘇らせよう!三河湾・伊勢湾「善循環の輪 愛知の集いin安城」開催
今年「全国子ども科学映像祭(主催:財団法人日本視聴覚教育協会)」で優秀賞を受賞した岡崎市立福岡中学製作の「よみがえる矢作川と三河湾~福中生の挑戦」が上映され、会場には大きな拍手が響き渡りました。

もう1例は、日本の中心で、地域の広範で大規模な町づくりとなっている日本橋川の健康を取り戻す活動です。名橋「日本橋」保存会事務局長の永森昭紀氏が発表しました。(関連記事:環境フォーラム「よみがえれ!日本橋川」開催 川の健康を取り戻す市民たちの活動

沖縄県内事例発表では、EM研究機構地域振興部の芝幸一郎氏が「EM研究機構が携わっている県内状況」として、ホテルコスタビスタ沖縄への食材を提供している養豚・養鶏・酪農・漁業・果菜・葉菜などのEM活用や、名護市にある名桜大学における国際EM技術研究所や国際学郡教養科目、人間健康学部専門科目などでのEMカリキュラムによる専門家の育成について発表しました。


2日目の会場となったあやかりの杜
さらに、フォーラム2日目の会場ともなった「あやかりの杜」の指定管理者である特定非営利活動法人おきなわ文化ネット理事長の知念信正氏が、「あやかりの杜におけるEM活用」を発表しました。「あやかりの杜」はホテルコスタビスタ沖縄から歩いて5分ほど下ったところにある、図書館を核とした宿泊施設を備えた今年開設した生涯学習施設です。具志川図書館の浄化施設などでEM技術を熟知した知念信正氏率いるNPO法人が管理しています。今後の地域のEM活動の拠点となりそうです。

1日目のフォーラム終了後屋上菜園を訪れました。耐水シートや耐根シートに廃ガラスのEMグラスストーンと砂の畑です。厨房の生ごみや栽培残渣のEM青草液肥、EMセラミックスを活用して管理されています。アフリカブルーバジルに縁取られた屋上は思いのほか広い菜園でした。ドラゴンフルーツもあり今年は50個ほどが実をつけ、レストランに供されたとのことです。5階のフロアから昼中は自由に出入りすることができます。

2日目のフォーラムは、海外の普及状況と、沖縄照甦クリニック医師の杉本一朗氏による予防医学セミナー、そして比嘉照夫教授の総括講演が行われました。


世界各国で製造されるEM

タイでは国王が呼びかけている「足るを知る経済」プロジェクトとして、EMが様々な分野で活用されている
現在EMは、世界59か国で製造され、90か国ではEM販売店から購入できるそうです。EMが普及している国は130か国に及びます。国策として取り組んでいる国は、

  1. ベトナム(科学技術省)都市生ごみ堆肥化・自治体のおける有機農業のモデル育成
  2. タイ(国軍、宮内庁、王室プロゼクト)駐屯地や僻地における持続可能な農業振興、周辺国の軍隊へ普及啓蒙、王室管轄の建築物・公園への活用、僻地貧農地域支援事業
  3. インドネシア(農業省)稲、トウモロコシ、大豆の自給自足をめざすプロジェクトにおいて指定有機資材
  4. 朝鮮(国家科学技術委員会)食糧増産・100万haの農地でEMを使用
  5. ミャンマー(農業灌漑省)農業分野での活用実践・国営放送でEM使用説明番組を放映
  6. ブータン(農業省)農業利用・農業高校へのカリキュラム導入
などがあります。ちなみにEMの生産量ベスト5は、タイ・中国・インドネシア・日本・パキスタンの順。これから生産・普及が伸びると思われる地域は中東だそうです。

沖縄照甦クリニック医師の杉本一朗氏は、「35兆円と日本の医療費は膨らんでおり西洋医学の限界を迎えている。企業だけでなく病院も潰れ、統合する時代となってきた。今後は否応なく予防医学へ傾斜し自然治癒力を取り戻すために良い食材・水・空気、そして私たちを取り巻く微生物環境を整えることが大切になる」と述べました。

最後に比嘉教授は、「EM技術は人類の世紀的な課題である食料および環境問題を解決し、同時に望ましい健康、福祉を実現することができる。EMを水や空気のごとく生活化し、副次的応用技術を活用すれば幸福度の高い国ができる。今年は北海道にEMモデルタウンをつくることに着手し始めた。これは、タイやインドネシア、ブータンでやってきた前例がすでにある」と、今後の新しい展開を示しました。

フォーラムのとどめは比嘉教授が自ら1人で行っている「EM不耕起栽培の実践圃場・バナナ園」の視察です。外からの有機物の持ち込みはほとんどなく、病気や害虫の対策はクリアしており、目下の敵はカタツムリのみだと比嘉教授は笑います。

比嘉教授の青空宮殿


畝間には廃材の絨毯が敷かれている。仕事に出かける前のスーツ姿でも畑の様子を見られるようにと、比嘉教授自らのアイデア
「絨毯が敷かれ、たっぷり実ったバナナのインテリアもあり、バナナの森林浴が楽しめる青空宮殿へようこそ」と、比嘉教授にすすめられバナナ園に足を踏み入れて驚いてしまいました。サンジャクバナナという矮小のタイプだそうですが、目の前には20kgもあろうかと思われるバナナの房が列をなしています。バナナは親木の横に子株が生え更新していくのだそうで、バナナのジャングルです。

バナナ園はマンションに囲まれた250坪ほどの場所で、生垣や小屋や隅にはニラなどの畑もあります。そこに170株ものバナナが林立しているのです。およそ6トン/年の収穫があり関係者にプレゼントされています。今回のフォーラム参加者全員もお土産としていただきました。市場に出荷すれば300~500万円の収入が見込まれる量だそうです。

日ごろから比嘉教授は、「農業は種をまいて収穫だけすれば良い。いらないことをやりすぎる」と笑いをとっていますが、週3日、1日1時間の作業で管理できるそうです。外部から持ち込む資材はEM青草液肥に使う米ヌカ2袋とEMセラミックスパウダー、農具も鎌と三鍬と単純です。最近では、水はけ水持ちが良くなり、大雨での水たまりも解消したそうです。EMと農業を知り尽くしている比嘉教授の胆力を見た思いです。[2008/12/19]

EM不耕起栽培について説明する比嘉教授


比嘉教授の自宅から歩いてすぐのところにあるバナナ園


生育旺盛なバナナ

(NPO法人関東EM普及協会 城戸マツヨ)

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