EMが広く一般で使われるようになって27年が経ちました。学問の世界ではEM内の微生物の大半は解明されていないと言われていますが、多くの現場で良い効果が現れ続け、因果関係が不明ながらもEM技術として確立されてきました。
もちろんEM自体の安全性は各機関で証明されています。帰納法といわれる研究方法です。このような中で、今回のフォーラムは、一般にEMを広める目的を一応達成したとして、これまで行われていた「EMフェスタ」「EMウェルネスウィーク」ではなく、最新の事例発表会のみが行われました。
2日目の16日は、生涯学習施設「あやかりの杜」で海外のEM事例発表と、沖縄照甦クリニック医師の杉本一朗氏による予防医学セミナーなどが開かれました。なお、前日には非公開で「EM医学会議2008」も開かれました。フォーラムの締めくくりは、EMの開発者・比嘉照夫名桜大学教授が「青空宮殿」と名付けた、不耕起栽培による実践圃場(バナナ園)の視察でした。
コスタビスタ沖縄が顧客満足度NO1に
ホテルの各部屋においてある館内案内には、ここのコンセプトとホテルとスパ(温泉鉱泉などにある美容施設)でのEM活用が詳しく写真入りで説明してあります。 コンセプトは
国内外の優良事例が次々発表
さて、フォーラムの内容について話を戻します。国内の優良事例発表は2題。1つは㈱イーエム総合ネット営業部部長の正村岳彦氏による三河湾や伊勢湾に流入する河川流域の生態系再生事業の発表でした。この活動80団体以上といわれる民間団体・自治体・企業などが関わった活動です。 (関連記事:蘇らせよう!三河湾・伊勢湾「善循環の輪 愛知の集いin安城」開催) 今年「全国子ども科学映像祭(主催:財団法人日本視聴覚教育協会)」で優秀賞を受賞した岡崎市立福岡中学製作の「よみがえる矢作川と三河湾~福中生の挑戦」が上映され、会場には大きな拍手が響き渡りました。
もう1例は、日本の中心で、地域の広範で大規模な町づくりとなっている日本橋川の健康を取り戻す活動です。名橋「日本橋」保存会事務局長の永森昭紀氏が発表しました。(関連記事:環境フォーラム「よみがえれ!日本橋川」開催 川の健康を取り戻す市民たちの活動 )
沖縄県内事例発表では、EM研究機構地域振興部の芝幸一郎氏が「EM研究機構が携わっている県内状況」として、ホテルコスタビスタ沖縄への食材を提供している養豚・養鶏・酪農・漁業・果菜・葉菜などのEM活用や、名護市にある名桜大学における国際EM技術研究所や国際学郡教養科目、人間健康学部専門科目などでのEMカリキュラムによる専門家の育成について発表しました。
1日目のフォーラム終了後屋上菜園を訪れました。耐水シートや耐根シートに廃ガラスのEMグラスストーンと砂の畑です。厨房の生ごみや栽培残渣のEM青草液肥、EMセラミックスを活用して管理されています。アフリカブルーバジルに縁取られた屋上は思いのほか広い菜園でした。ドラゴンフルーツもあり今年は50個ほどが実をつけ、レストランに供されたとのことです。5階のフロアから昼中は自由に出入りすることができます。
2日目のフォーラムは、海外の普及状況と、沖縄照甦クリニック医師の杉本一朗氏による予防医学セミナー、そして比嘉照夫教授の総括講演が行われました。
沖縄照甦クリニック医師の杉本一朗氏は、「35兆円と日本の医療費は膨らんでおり西洋医学の限界を迎えている。企業だけでなく病院も潰れ、統合する時代となってきた。今後は否応なく予防医学へ傾斜し自然治癒力を取り戻すために良い食材・水・空気、そして私たちを取り巻く微生物環境を整えることが大切になる」と述べました。
最後に比嘉教授は、「EM技術は人類の世紀的な課題である食料および環境問題を解決し、同時に望ましい健康、福祉を実現することができる。EMを水や空気のごとく生活化し、副次的応用技術を活用すれば幸福度の高い国ができる。今年は北海道にEMモデルタウンをつくることに着手し始めた。これは、タイやインドネシア、ブータンでやってきた前例がすでにある」と、今後の新しい展開を示しました。
フォーラムのとどめは比嘉教授が自ら1人で行っている「EM不耕起栽培の実践圃場・バナナ園」の視察です。外からの有機物の持ち込みはほとんどなく、病気や害虫の対策はクリアしており、目下の敵はカタツムリのみだと比嘉教授は笑います。
比嘉教授の青空宮殿
バナナ園はマンションに囲まれた250坪ほどの場所で、生垣や小屋や隅にはニラなどの畑もあります。そこに170株ものバナナが林立しているのです。およそ6トン/年の収穫があり関係者にプレゼントされています。今回のフォーラム参加者全員もお土産としていただきました。市場に出荷すれば300~500万円の収入が見込まれる量だそうです。
日ごろから比嘉教授は、「農業は種をまいて収穫だけすれば良い。いらないことをやりすぎる」と笑いをとっていますが、週3日、1日1時間の作業で管理できるそうです。外部から持ち込む資材はEM青草液肥に使う米ヌカ2袋とEMセラミックスパウダー、農具も鎌と三鍬と単純です。最近では、水はけ水持ちが良くなり、大雨での水たまりも解消したそうです。EMと農業を知り尽くしている比嘉教授の胆力を見た思いです。[2008/12/19]