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山下一穂 土佐自然塾塾長・山下農園代表
12月8日。ジョンレノンの命日。あの時の衝撃は今でも忘れられない。中学2年の時、ラジオから流れてきたビートルズとの出会いもまた衝撃的だった。「Bad boy」だった青春時代からメチャ悪親父になったこの歳まで、ジョンの魂を揺さぶるような歌声には、癒やされ、励まされ続けてきた。訃報を聞いたその夜は親友と泣きながら屋台で酒を飲み、様々な思い出を語り合った。その27年後の今日、胸の空くような情報が入った。

至福の晩酌タイムに欠かせない鍋用ハクサイ
至福の晩酌タイムに欠かせない鍋用ハクサイ
その前に、この1年を締めくくる今のぼくの畑を見てみよう。コマツナやホウレンソウ、ハクサイやミズナ、ダイコン、キャベツにブロッコリーなど、さわやかな水分と甘さたっぷりの冬野菜が青々と育っている。ソラマメやスナックエンドウ、葉ネギ、春収穫のコマツナやホウレンソウなどは、幼い状態で厳しい冬をくぐり抜けようと、ジ〜ッと声を潜めて春を待っている。生命が延々と繋がっているその一断面を切り取って、小さな命をいただいて、ぼくらは生きている。

このコラムの連載を始めて1年が過ぎた。振り返ってみれば、まさに怒濤(どとう)のような1年だった。限られた時間と空間の中、自分の農園、がっこうの農園。若者たちを指導しながら実績を示し続け、それを元に、活動家としてあちこち飛び回り、講演の最後には必ず、日本の伝統的な食文化、精神文化を取り戻すことが、国際貢献と世界平和に繋がる、“「All you need is love」なんだぞ〜”と訴えてきた。

万次郎カボチャ、1株で100個なったぞ〜!
万次郎カボチャ、1株で100個なったぞ〜!
たまには銀座や新宿で東京妻のお姉ちゃんと一杯やって、一息入れることもあったけど、県外出張が続けばけっこう疲れる。しかし、疲労困憊(こんぱい)でヨレヨレになって帰ってきても、恋女房と至福の晩酌タイムが待っていて、一晩寝れば翌朝にはその日に必要なエネルギーはちゃんと充満されていた。畑に出れば元気モリモリ、命あふれる畑と瑞々しい野菜達から立ち上る癒しの氣が、ぼくの体内に瞬間的に差し込んでくるのだった。

えっ、化学肥料が?

さて、胸の空くような話。 堆肥には温室効果ガス(メタン)の排出を抑制する働きがあり、さらに二酸化炭素の削減能力が森林の5倍もある。そして同じく温室効果ガスの1つである一酸化二窒素の発生原因が、実は化学肥料にあると言う研究成果も明らかになった。で、その一酸化二窒素は二酸化炭素のなんと300倍(メタンは21倍)の温室効果があるという。

理想と現実の一致

春を待つ小さな命ソラマメ
春を待つ小さな命ソラマメ
簡単に言えば、化学肥料を使わないで、堆肥を多用する有機農業が地球温暖化を食い止める極めて有効な手段の1つであるということが分かったのである。まさに「有機が地球を救う」。この情報を公共の席で熱く語っているのが、なんと農水省の環境保全型農業対策室長の福田英明さんなのだ。福田さんと言えばこの6月、ぼくを講師に呼んで農水の中で勉強会を開き、最後に「山下さんのお話を聞いて、目からウロコがポロポロ落ちました」と嬉しそうに語っていたあの役人だ。農水の中でこのような役人が確実に増えている。農水が本気になっちゃった。常々「日本の農業を変える!」と言っていたぼくにとっては「こりゃほんまに変わっちゃうよ、参ったな」と実感した日となった。さらに言えば、毎日有機の畑を耕すことが、そのまま、地球の温暖化防止と世界平和に繋がる、まさに、理想と現実が一致する、記念すべき日ともなったのだ。

さて、今夜もまた、理想と現実が一致した生活から得られる至福の晩酌タイムを楽しんでみよう。賞味期限はとうに切れているけど、発酵熟成が完全に進んでいるから、そんなものは屁でもない4つ年上の恋女房と語り合うのだ。人生のなんたるかをしみじみとね。あ、そうだ、今夜は久しぶりにジョンの「Give peace a chance」をかけてみよう。

掲載日:2007年12月17日
山下一穂 プロフィール

やました・かずほ
1950年 高知県生まれ。28歳まで東京でドラマーとして活動。その後帰郷し、高知市内で学習塾を経営。体調を崩したためにあらゆる健康法を試してみたが、最終的に食と農の問題に行き着く。1998年 本山町にて新規就農。2006年4月 高知県と地元NPO黒潮蘇生交流会(山下修理事長)との協働で「有機のがっこう」を始め、同年12月、第1期生14人の中8人が県内で就農。今春から第2期生11人が研修中。

かんたん無農薬 有機農業
著書「超かんたん・無農薬有機農業」は自ら開拓した「超自然農法」での有機農法をユーモア溢れる語り口で書かれた実践本。野菜20種の栽培法収録のCD 付き。

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EcoPure56号 「美しい日本の再生を」


外部リンク
「有機のがっこう」土佐自然塾HP
http://www.tosa-yuki.com/

山下農園HP
http://harehore.net/



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