この皿鉢料理は、土佐のお客(宴会)には欠かせない郷土料理。 基本は、寿司、刺身、組み物(煮物、揚げ物などに、果物やようかんも)が大きな皿に盛られていて、みんながそれをとりわけて食べる。高知で人が集まれば必ずと言うほど、皿鉢料理が登場していた。お酒を飲めない人や子どもも一緒に宴会を楽しむことができる。特筆すべきは、支度をしていた女性陣が、途中からエプロンを脱いで「よっこらしょ」と腰をおろし、「あ〜やれやれ」と言いながら、男性と一緒に酒を飲む。土佐の女性は酒に
自然を回復して本物の郷土料理を
カツオと言っても、三陸産をはじめほとんどが県外産だし。刺身も養殖ものや冷凍ものが使われることが多い。四万十の天然ウナギに至っては絶滅寸前まで減少している。ほんとうに美味しい農産物と言えば有機野菜だが、これもほとんどマーケットに出てない。
そう言えば、「エビおばさん」「カニおばさん」というのもいたな。酒が飲めないエビ、カニ大好きおばさんの前には、まるで海底のタコの巣よろしく、山盛りのエビの殻とカニの殻が出現。それが笑って許されるぐらい土佐の海は豊かだった。そのエビは今やインドネシア産、カニはロシア産。タコ、イカはアフリカ産。かつての高知市を源流域から桂浜沖まで見渡せば、アメゴ、アユ、アオノリ、シジミ、チヌ、スズキ、タコ、イカ、鯛、ヒラメ、ブリ、アジ、サバ、アワビ、サザエ、トコブシなどが持続的に再生産可能な、豊かで美しい環境に恵まれていた。要するに、美味しい食材が目の前にウジャウジャいたのだ。が、今はこれらのほとんどは激減していて、ものによっては絶滅寸前。
やました・かずほ 1950年 高知県生まれ。28歳まで東京でドラマーとして活動。その後帰郷し、高知市内で学習塾を経営。体調を崩したためにあらゆる健康法を試してみたが、最終的に食と農の問題に行き着く。1998年 本山町にて新規就農。2006年4月 高知県と地元NPO黒潮蘇生交流会(山下修理事長)との協働で「有機のがっこう」を始め、同年12月、第1期生14人の中8人が県内で就農。今春から第2期生11人が研修中。
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外部リンク 「有機のがっこう」土佐自然塾HP http://www.tosa-yuki.com/
山下農園HP http://harehore.net/