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山下一穂 土佐自然塾塾長・山下農園代表
天才カズホ君の晴れ掘れ日記
第3回 餅は餅屋

記録的な暖冬の中、突然寒波が引き返してきて、今朝は雪が舞っていた。しかしまあ、この異常気象はもはや異常とは呼べないぐらい恒常化してしまった。毎年何が起こるか分からない状態が続いている。豪雨、干ばつ、猛暑、冷夏、台風、洪水・・・。

今年の冬は土佐の空も荒れ模様。ジャガイモの植え付けに大忙し
今年の冬は土佐の空も荒れ模様。ジャガイモの植え付けに大忙し

「科学的な根拠」などという極めて曖昧な概念に頼り切って、ひたすら感性を鈍らせてきた人間の力では、とてもこの異常気象には太刀打ちできない。大自然の前にはなすすべもないのが今の農業である。では、どうすればよいのか。

大規模な災害はともかくとして、波状攻撃的に続いてくる高低温、乾燥、多湿などの不安定な気象変化と、その負荷による作物の病虫害を最小限に抑えるには、畑の生命力を高めるしかない。自然には自然をもって制するのだ。

まあ、カンタンに言えば「命の気配が色濃く漂う丈夫な畑」をつくり続けるのである。いつも言っていることだけど、できるだけ畑を耕さない(壊さない)、草を適度に残す(生かす)。もちろん、農薬は不可。微生物や昆虫など、多様な生物相を確保して、自然の力を高め、自然にお願いして、自然の力で自然の驚異から作物を守ってもらうのである。

これらは、「農業はノリ一発、自然の流れに沿って直感勝負」という、ぼくの生き方にも通じる。要するに条件闘争をしないのだ。与えられた環境と状況のなかで、最大の成果を発揮することをめざした方が楽しい。モチベーションも持続する。

だから「あれがなければ、これができない」「これがなければ、あれができない」などとは言わない。どんなに不利な条件を与えられても、「あっ、そう」である。その方が楽しい。

「農薬がなければできない」と考えるより、「農薬を使わないで良いものをつくるには?」と挑戦していく方が、創意工夫があり、新しい発見があり、感動があり、固定観念から解放される自由と開放感があり、楽しくてしょうがないのだ。その結果「農薬がないほうが良くできる」という別の世界が見えてくるに至っては、快感の極みである。

どうにも、合点のいかない農家さんには「除草剤を捨ててみませんか?」と、提案しちゃいましょう。「そんなことできるかよ、草取りがどれだけ大変なのか、分かって言っているのか!」と、お怒りの方もいるでしょうけど、まあ、だまされたと思って、捨ててみてください。

農と環境がつながる山下家の食卓
農と環境がつながる山下家の食卓

はい、大変な草取り作業が待っています。冬には肩や腰が痛くなります。夏には、暑さで目がくらむほど激しい労働になります。しかし、そうやって毎日、毎日、土に直接触れることで、自然はたくさんの情報を提供してくれます。それを五感で受け止め、静かに寝かせることで、その情報が発酵熟成し、今まで、見えなかった世界が見えてくるのです。

そんなぼくには、自然からのご褒美として、充実感と共に至福の晩酌タイムが待っています。今夜のご馳走は、タマネギを使わなくても甘味とコクのあるニンジンのポタージュ、ホタテのパスタと、有機野菜のサラダ、そして、酸化防止剤無添加の赤ワイン。では、乾杯!

掲載日:2007年3月16日
山下一穂 プロフィール

やました・かずほ
1950年 高知県生まれ。28歳まで東京でドラマーとして活動。その後帰郷し、高知市内で学習塾を経営。体調を崩したためにあらゆる健康法を試してみたが、最終的に食と農の問題に行き着く。1998年 本山町にて新規就農。2006年4月 高知県と地元NPO黒潮蘇生交流会(山下修理事長)との協働で「有機のがっこう」を始め、同年12月、第1期生14人の中8人が県内で就農。今春から第2期生11人が研修中。

かんたん無農薬 有機農業

著書「超かんたん・無農薬有機農業」は自ら開拓した「超自然農法」での有機農法をユーモア溢れる語り口で書かれた実践本。野菜20種の栽培法収録のCD 付き。


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EcoPure56号 「美しい日本の再生を」


外部リンク
「有機のがっこう」土佐自然塾HP
http://www.tosa-yuki.com/

山下農園HP
http://harehore.net/



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