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北浦(霞ヶ浦)に鮭遡上 (H26/2/22)

茨城県鉾田市 西台虹の友 代表 市村はつゑ
(霞ヶ浦をきれいにする会 副代表)

鮭の稚魚育成と放流

この取り組みは平成21年12月より学校・一般家庭に希望をとり協力をお願いして始まった。通常60cmの水槽で発眼卵100粒くらいを育成、稚魚(5〜7cm)にして平成22年から毎年2〜3月に3河川(鉾田川、大谷川、巴川)に放流する事業。海を旅して大きくなり約4年(3〜5年)で日本に帰ってくるというのです。でも鉾田川で???北浦(霞ヶ浦)を通過できるのか?逆水門は?生態系への影響は?…いろいろな疑問・悩みがありました。せっかくすすめていただいた話、子供達に夢を与えられるかもしれない。「ダメ元でもいい、やってみよう。」ということで始まりました。

購入 場所 受精卵 稚魚 放流
平成21年12月 福島県 木戸川漁協 1,500粒   平成22年3月
平成22年12月 福島県 木戸川漁協 3,000粒   平成23年3月
平成23年03月 東日本大震災に遭遇 木戸川漁協は津波にのまれた
平成23年12月 茨城県 久慈川漁協 5,000粒   平成24年3月
平成24年12月 茨城県 久慈川漁協 5,000粒 5,000尾 平成25年3月(予定)
平成25年10月 北浦の定置網で鮭捕獲
平成25年12月 茨城県 久慈川漁協 5,000粒 5,000尾 平成26年3月(予定)
現在、7学校、3保育園、1施設、18個人の計29か所で取り組み、2〜3月の放流を待っている。

鮭が遡上してくるまで

鮭のことを知れば知るほど、壮大な鮭の旅の始まりでした。
1年目 春:北浦(霞ヶ浦)を通過し、利根川を下り海に到着
夏:北を目指す
晩秋:オホーツク海
冬:北太平洋西部へ
2年目 春:ベーリング海-アラスカ湾-ベーリング海-アラスカ湾-繰り返す
3〜5年目  夏:日本へ戻ろう、逆コースをたどる
秋:定置網で漁獲
日本に帰ってくるのは100匹のうち2〜3匹だそうです。あのイクラから育てた稚魚が、無事に北浦(霞ヶ浦)を通過し、海に出たとして、こんな壮大な旅をしてまさか本当に鉾田に帰ってくるなんて、誰が信じたことでしょう。もしかしたら私だけかも。いや、実のところ私も半信半疑でした。

4年目の昨秋、そろそろか…かすかな期待はありました。

平成25年10月29日
「市村さん、北浦の定置網に鮭がかかったど〜。くれるっていうけど、俺、いま旅行中でどうしようもないから、誰かにやって(あげて)くれって言っといたから」
信じられない一報が入りました。見たい!、写真撮りたい!

11月2日 「今朝もかかったよ。いけすに活けといたから。」かくして写真撮影成功。
11月3日 鉾田小まつり(地域の人も集まる)に、発泡スチロール箱に氷を入れ、イクラも付けて持ってきてくれた。みんなにお披露目した。でもこれは、北浦安塚地先の定置網にかかった9匹目の鮭。川に遡上したわけではないので、みんなが放流した鮭と言えるのかどうか。
11月末現在 北浦の5か所で定置網に22匹を捕獲。新鮮な鮭。
※大谷川に1匹いた。係留しておいた船の脇にいた。
_仕事に出るときだったので捕らなかったが、まさしく鮭だった。やさしい顔だったからメスだった。
※巴川に2匹いた。1匹捕獲した。オスだったが食べたらおいしかった。
_もう1匹は逃げられたけど、体つきが太めだったからメスだったろう、との情報あり。
この鮭は東日本大震災に遭遇した貴重な鮭たちです。よく戻ってきてくれました。津波で壊滅した木戸川漁協が津波の直前に行った(最後の仕事になった)稚魚放流の鮭でした。

子どもたちの夢の実現のために、諦めないで続けてよかった。今年の秋は忙しくなりそうです。大谷川へ、鉾田川へ、巴川へ。鮭遡上のニュースで賑わうことを期待して頑張っています。

以上

この活動の発端は、白石をはじめ関東EM普及協会で河川をキレイにしたので、次はシャケの稚魚を放流して「新しいロマンをつくろう」という発案でスタートしました。市村さんから「シャケの稚魚を卵からかえして、鉾田川に放流したが帰ってきますかね?」という質問を受けました。私は市村さんたちの長期にわたる、EMによる鉾田川の浄化活動の件を知っていましたので、「間違いなく帰ってきますよ」と返事をしました。その根拠は、新潟(能川)でEMによる下水処理を行ったら、アユが大量に遡上し、シャケも驚くほど多くなった。岩手(千厩川)でEM浄化活動を続けたら、35年ぶりにシャケの群れが現れた、などの情報が多数寄せられていたからです。

3回目を迎えた日本橋川の、シャケの稚魚の放流行事

平成17年から始まったEMによる日本橋川浄化活動に対し、私は次のようなコメントをまとめました。

PROFILE
ひが・てるお/1941年沖縄県生まれ。EMの開発者。琉球大学名誉教授。国際EM技術センター長。アジア・太平洋自然農業ネットワーク会長、(公財)自然農法国際研究開発センター評議員、(公財)日本花の会評議員、NPO法人地球環境・共生ネットワーク理事長、農水省・国土交通省提唱「全国花のまちづくりコンクール」審査委員長(平成3年〜平成28年)。著書に「新・地球を救う大変革」「地球を救う大変革①②③」「甦る未来」(サンマーク出版)、「EM医学革命」「新世紀EM環境革命」(綜合ユニコム)、「微生物の農業利用と環境保全」(農文協)、「愛と微生物のすべて」(ヒカルランド)、「シントロピーの法則」(地球環境共生ネットワーク)など。2019年8月に最新刊「日本の真髄」(文芸アカデミー)を上梓。2022年(令和4年)春の勲章・褒章において、瑞宝中綬章を受章した。

EMによる日本橋川浄化プロジェクトも9年目に入りました。EMの浄化効果は、1年目から現れ、2年目には、生物の多様性が認められ、3年目には神田川や隅田川、東京港の浄化が進み、着実な成果を上げるようになりました。

4年目から東京港に河口を持つ河川にアユの大群が認められるようになり、シャケや大型のウグイが散見されるようになり、干潟ではかつてないほどの人々が潮干狩りでにぎわうようになりました。本件についてはDNDでも詳しく述べたとおり、EMで甦った三河湾と同じような成果が得られています。

日本橋川の浄化の状況は、降雨による下水などの流入による変動によって、差異は認められますが、かつてのように、常時ヘドロがたまり、悪臭を発し、生物が住めない川ではなく、多様な生き物が生態系を形成するレベルになっており、大雨による汚染の流入がない場合は、山間の清流なみにキレイになっています。

昨年は江戸川区で50年ぶりに遊泳できるようになり、多摩川や荒川、江戸川などの河川にかつてない程のアユが認められ、東京湾には海草やさんごの大ジャングルが出現し、船橋のアサリなどを含め、江戸前の漁場は、ほぼ完全に復活しています。


日本橋川で行われた稚魚の放流(3月6日)
それらの成果は、東京でトライアスロンが可能となり、海浜レジャーの振興と漁場の振興に、また、きたるべく東京オリンピックの力強いバックヤードになるものです。

これまで、投入されたEM活性液は4,000トンあまりとなり、3年前からシャケの稚魚の放流も始められており、次年度から日本橋川にシャケの群が帰ってくることも期待できるようになりました。

EMは、汚染水の腐敗性有機物を発酵分解し、水を浄化するとともに、その分解物を動植物プランクトンのエサに変えると同時に、種々の化学物質や有害物質を分解、または無害化する機能を有しています。

下水処理を含め、さまざまな汚水をEMで処理し、東京湾に流すことができるようになれば、東京湾は、本当にキレイで、とびっきり豊かな海に返信させることも可能となります。

関係各位が日本橋川のその成果を、より積極的に活用されんことを期待しています。

日本橋川のシャケの稚魚の放流は平成22年の秋に、日本橋川の下流で7〜8匹のシャケの群が確認されたため、平成23年の3月に行う準備を進めていました。3月11日の東日本大震災で、稚魚を注文していた産卵場が津波に飲まれてしまい、1年遅れの平成24年3月、5,000匹の放流を行いました。平成25年の2月下旬に2万5千匹、今年3月6日は3万匹、日本橋川に近い常磐小学校の1、2年生の強力で放流しました。稚魚はEMでエサの多くなった東京湾で体力をつけ、オホーツク海、北大西洋を目指します。最近はアユなみに大きくなった、かなりの数のシャケが網にかかったという報告もあり、1〜2年後が楽しみです。

(2014年3月13日)

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