連載



EnglishEM研究機構英語サイト

東日本大震災から間もなく半年となります。EMは、当初の衛生対策にいかんなくその力を発揮し、その後も多数のボランティアの協力により、現場の悪臭対策、害虫対策に大きな成果を上げています。行政も、その効果を認め、宮城県の七ヶ浜町のように行政主導型のEMによるまちづくりが始まっています。EM研究所では、その支援のために50トンのEMを提供することになり、先月から大型トラックで運んでいます。

これまでは、EMのボランティアが現地まで行き、EMの散布やEMボカシの活用方法などなどの説明を行っていましたが、状況が落ち着いてくるに従い、地域の方々も積極的にEMを活用するようになっています。そのため、岩手県では各市町村に1トンタンクを1〜2個設置し、週に1回タンク車でEMを供給する体制をつくり、今では、希望する人々がいつでもEMを使えるようになっています。

宮城県でも同じ要領で進んでいますが、それとは別に、NPO法人地球環境・共生ネットワーク(U−ネット)によるEM拠点形成プロジェクトも着々と進んでおり、宮城県では5か所、福島県では10か所に百倍利器を設置し、フル活動で、農業や環境や放射能対策に活用されています。

大震災発生直後から、私は様々なEMの活用法を提案し、多くのEMボランティアの協力で広く活用されることになりましたが、その中でも難題中の難題が放射能対策と津波で海水につかった水田の除塩問題でした。私自身は過去の経験から難題とは思ってなく、具体的な提案を行いましたが、役所は国も県もJAも尻込みして、どこも実行しようとはしませんでした。

EMによる放射能対策の成果

放射能が微生物で消えるはずがない。学会で発表されたデータが無いなどなどです。放射性物質は逃げも隠れもしないので計ればすぐわかること、といっても実行する気配はまったくなく、EM関係で証明すれば参考にするという程度のものでした。その結果、EM研究機構を中心に公的な了解を得て計画的避難地域となった飯舘村で行うことになりました。当初の目標はチェルノブイリの風下で被災したベラルーシでの成果をもとに1年以内に国の指定している水田の安全基準の5000ベクレル/kg以下にすることにしました。

試験圃場の放射線量は20000ベクレルです。そのほとんどがセシウム137で半減期が30年です。したがって、自然に放置した場合、30年経過しても10000ベクレル、それが国の基準の5000ベクレルになるにはさらに30年もかかる計算になり、60年も待たなければならないということになります。

そのため、当初は10aあたりEM活性液に20%EM3号を加えたものを100リットル、週に2回散布という方法をとりました。1か月後には放射線量は40%も減少し、2か月後には75%も減少し、当初目標の5000ベクレルまで下げることができました。

その結果は、常識的に60年かかると言われていることを、たった2か月で達成したということになります。そのほか、この実験以外にEM栽培農家や、学校のグラウンド、アスファルト、自宅の庭などなどにEMを自主的に活用している例も多数ありましたので、その結果も参考にすることにしました。

EM農家の放射線量は例外なく低くなっており、栽培された作物は、すべて検出限界以下という結果となっています。校庭のすみに集められた1時間あたり6マイクロシーベルトの土も、2か月後には0.5マイクロシーベルトに下がり、アスファルトの放射線量も半分以下になっていました。

この結果から判断すると、放射線量が10000ベクレル程度であれば、10aあたりEM活性液を100リットル、年に4〜5回散布すれば十分であり、農業も畜産もEM栽培やEM飼育にすればすべて解決すると結論されます。農地で10000ベクレル以上というのはホットスポットか計画的避難区域以外にはほとんどありませんので、EMを空気や水のごとく使うEM生活やEM農業やEM畜産に切り替えるだけですべて解決することが可能です。

高濃度汚染地域においても、EMの施用量を増やし、米ヌカなども併用してEMが増えやすい状況にするだけで解決が可能であり、大がかりな除染はまったく不要ということになります。このように根本的な解決法が明確になりましたので、以前に述べた南相馬市の鹿島地区の100haのヒマワリプロジェクトも油脂を生産することをやめ、ヒマワリをすき込んでEMで有機肥料化し、次年度から放射能汚染ゼロのEM稲作にチャレンジすることになりました。

津波で海水に浸った水田の除塩対策

私は、本サイトやDNDでも日本は雨が多く、自然に除塩されるため、すぐに田植えをすべきであり、10aあたり100リットルのEMと100〜200kgのボカシを入れて代かきすれば、特に除塩をする必要がないことを強調してきました。

この提案にはJA宮城やJA石巻も注目しましたが、具体的に広げることは困難となりましたので、関係者の協力を得て、仙台の宮城野地区の鈴木有機農園(1.5ha)と石巻の吉田さん(30a)と千葉さん(30a)の水田で行うことになりました。

特に鈴木農園の場合は、国の指導で水田に対する水の供給が完全に止まってしまいましたので、U−ネットとの共同研究という形で、急きょ本格的な井戸を掘り、1.5haの水田用の水を確保しました。この井戸は今後、冬の水田湛水や地下給水による不耕起、無除草の水稲栽培に発展させる予定です。

鈴木さんの場合は、消費者との関係で絶対に失敗は許されないという状況にあったため、軽く2回代かきをして除塩を行ったそうですが、ヘドロはそのまま地力として活用することになりました。それに対し、石巻の吉田さんと千葉さんは、私のアドバイスどおりにまったく除塩せず、水田に水を入れ、EMとボカシを入れ、代かきし、田植えを行ったそうです。

農林水産省は今回の津波で塩害を受けた場所は3〜4年間は稲作やその他の作物の栽培は不可能と発表しています。

8月19日、出穂の終わった段階で、私は現地を調査しました。写真にも示されるように鈴木有機農園は素晴らしい出来映えです。流れ込んだヘドロは、すべて地力化しています。波動もほぼ満点で秋の収穫が楽しみです。

石巻の吉田さんの水田は、病害虫の被害も極端に少なく、4回もていねいに除塩した隣接の水田よりも状態が良く、波動の高い稲となっていました。収穫後の米の質や味に、大差が出るものと期待しています。

同じ石巻の千葉さんの場合は、当初の準備がかなり遅れ、イネミズゾウムシも発生し、初期に大きくつまずいてしまいました。イネミズゾウムシ対策にEM活性液を10aあたり100リットル、その後さらにEMを追加したため、被害はおさまり、8月19日の時点では、一般の4回除塩した水田に見劣りしないレベルになっています。

千葉さんは本人が稲作に携わるのは初めてのことでまったくの素人ですが、この成果を見る限り、EMのみで完全無農薬は比較的容易といえます。千葉さんの稲も波動が高く、高品質のお米になると思います。

これらの成果はJA宮城やJA石巻も認めており、この震災をきっかけに被災地の将来の稲作の姿が見えてきます。すなわち、システム的に大量のEMを活用できるようにJAや水利組合などで準備すれば、全地域を多収、高品質の無農薬米にすることができ、秋の代かきと冬の湛水を組み合わせれば、除草剤もまったく不要な稲作にすることも可能になります。

同時にEM水田から流れ出た水は川や海をキレイにし、生態系を豊かにするとともに、沿岸部の漁業振興にも直結するものとなります。同じ宮城県の沿岸部で大きく被災した七ヶ浜町では、EM研究所や財団法人自然農法国際研究開発センターの支援を受け、町をあげてこのようなEM自然農法への大がかりなチャレンジが始まっています。

2011EM医学会議およびEM医学の検証としての体験者の事例発表

8月20日に東京で「2011EM医学会議」が行われました。この会議はEMの医療分野の関係者を中心に例年行われています。基礎研究の面ではEM・Xゴールドによる耐熱性向上効果、EM・Xゴールドの安全性、EM・Xゴールドによる医療分野での成果に関する発表がありました。

耐熱性向上については、「健康生活宣言」(Vol.8)でもその一部はすでに公表されていますが、桁違いの効果があり、成分的な因果関係はないという点を考えると、EMの持つ抗酸化作用のほかに触媒的なエネルギー転換作用の存在を示すものといえます。

EM・Xゴールドの安全性については、国際的に環境浄化指標に使われるウニの生殖作用でチェックしたものです。ウニはほんのわずかな化学物質や重金属などなどに反応するとまったく生殖しないという特性を持っています。

EM・Xゴールドの原液に塩分を加え人工海水にしてウニの細胞分裂や生殖作用を見た実験ですが、まったく異常が無く、ノーマルに行われることや、EM・Xゴールドの5倍も密度の濃いEM・Gでも何ら支障がないことも明らかとなりました。このことはEM・Xゴールドを水のように毎日大量に飲んでも副作用的なことはまったく起こらないという安全性の証明ともいえるものです。

EM・Xゴールドによる医療分野での成果については、様々な症状に対するEMの効能の試験結果が発表されました。EM飲料はもとより、EM生活を徹底すると体内のイメージが回復し、身体能力強化につながるという報告が多数ありますが、その裏付けともなる研究成果です。

応用の分野では、EM飲料による各種の使用例が報告されました。いずれも従来の医療法には見られない画期的な成果を上げています。今回は院内の清浄化を含め、病院全体をEM化している事例が2件報告されました。掃除、洗濯、生ごみのリサイクルを含め、深刻な病院の衛生問題もすべてEMで解決しています。

体験者の事例発表はEM飲料やミネラルなどによるEM医療の7例で、これまで同様のめざましい成果が上がっています。勇気を持って発表していただいた皆様には、改めて心から敬意を表し、感謝いたします。願わくば、子どもの頃からEM生活に徹し、不運な目に合わないように心がけたいものです。

(2011年9月12日)
PROFILE
ひが・てるお/1941年沖縄県生まれ。EMの開発者。琉球大学名誉教授。国際EM技術センター長。アジア・太平洋自然農業ネットワーク会長、(公財)自然農法国際研究開発センター評議員、(公財)日本花の会評議員、NPO法人地球環境・共生ネットワーク理事長、農水省・国土交通省提唱「全国花のまちづくりコンクール」審査委員長(平成3年〜平成28年)。著書に「新・地球を救う大変革」「地球を救う大変革①②③」「甦る未来」(サンマーク出版)、「EM医学革命」「新世紀EM環境革命」(綜合ユニコム)、「微生物の農業利用と環境保全」(農文協)、「愛と微生物のすべて」(ヒカルランド)、「シントロピーの法則」(地球環境共生ネットワーク)など。2019年8月に最新刊「日本の真髄」(文芸アカデミー)を上梓。2022年(令和4年)春の勲章・褒章において、瑞宝中綬章を受章した。


 

 

 

飯舘村の試験圃場

 

たわわに実ったブルーベリー

 

南相馬の鹿島地区のヒマワリ

 

鈴木有機農園

 

緊急用に掘った井戸

 

実証試験地(後ろの水田全部)

 

吉田さんの水田

 

千葉さんの水田

 

トップページ | EMとは? | 特集・レポート | 連載 | 投稿ひろば | 用語集 | FAQ | バックナンバー | EM情報室 | リンク集 | サイトマップ

Copyright (C) Eco Pure All Rights Reserved.