連載



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明けましておめでとうございます。
昨年度は宮崎県の口蹄疫対策をはじめ、海の日の全国一斉EM団子投入とCOP10等々、EMにとっては画期的な年となりました。農林水産省はもとより、多くの県や市町村でもEMを積極的に活用すべきという認識が高まっています。1980年に完成したEMは今年で31年、本格的な普及に取り組み出して29年目を迎えました。

考えてみると、時間の裁は厳正なもので、当初EMに強烈に反対していた人々の大半はすべてリタイヤし、また、その半数以上は物故者となり、残った人々もEMを認めざるを得なくなり、中には熱心にEMを楽しんでいる人々もいます。また、EM活動に携わっている大半のボランティアの方々から、EMによって、自分の人生が楽しく明るく変わったという感謝の念が大きなうねりになりつつあります。同時に、子どもの頃にEMを使っていた多くの人々が社会人となり、EMの第2世代も次々と育っています。

ヒトインフルエンザ、トリインフルエンザ、口蹄疫対策

昨年の新型インフルエンザ(ブタインフルエンザ)は感染力が強く、パンデミック(大流行)になってしまいましたが、松山市で最も大きな幼稚園では、手洗いをはじめ、トイレや教室の掃除はもとより、朝夕のEM活性液の散布を行っていたために、学級閉鎖をすることもなく、EMの威力を再確認しましたといううれしい報告がありました。1学級に1〜2名くらいの感染者はいたようですが、症状は極めて軽く、また園児の兄弟や姉妹が観戦していたにもかかわらず、その幼稚園に通っていた園児は感染しなかったということです。

渡り鳥のシーズンに入り、全国でH5N1型の強毒なトリインフルエンザが、死んだ野鳥から多数確認されています。EMは、ヒト、トリ、ブタ、口蹄疫を問わず、エイズウイルス、B型およびC型肝炎ウイルス、コイヘルペス、エビのホワイトスポットウイルスなど、あらゆるウイルスに対し、抗ウイルス作用を有することが明らかとなっています。

また、ウイルスの大半のものは、pHが4.5以下では数分以内に不活化します。pH3.5以下のEMを10〜100倍にすれば、猛威をふるっているウイルスの感染防止に著しい効果があり、予防的には300〜500倍液でも十分な効果が得られます。非常時のトリインフルエンザ対策は、本シリーズですでに紹介した口蹄疫対策に準じて行えば、万全な対策が可能です。EMは畜産用として登録され認可されている微生物資材です。特に養鶏農家は公的な対策を実行しつつ、EMによる自前の危機管理を徹底したいものです。

韓国における口蹄疫は全土に広がり、すでに40万頭余りの豚や牛が殺処分されています。日本はEMの感染防止帯の力も加わって、宮崎県内に封じ込めることに成功しましたが、韓国の状況を考えると大量のウイルスが北風に乗って飛来することも否定できませんし、1日に1万人以上の人々が日韓を行き来していますので、油断は禁物です。

発展途上国の加速度的な発展と先進国の貧乏化

冷戦終結後、イデオロギーの時代は終わり、多少の例外を除けば情報や資本は全世界をかけめぐるようになりました。そのため世界は平均化の方向へ着実に進んでおり、FTA(自由貿易協定)やTPP(環太平洋経済協定)等々、関税撤廃は時間の問題となりつつあります。教育技術の発展によって人種による知的格差は短期間に是正することができるようになり、資本は高コスト体質の先進国から人口の多い賃金の安い発展途上国へ急速に移り始めています。当然のことながら先進国の失業率は高くなり、賃金も下降し、その上に少子高齢化を抱える国々が増えています。

それはそれで世界の人々が平等になるためのプロセスですので仕方がないことですが、問題が発生することは、この方法の延長線上では、解決することができないことを意味しています。人間の病気と同じように、その問題は個人や社会のライフスタイルにあり、ある種のデジタルという依存症にかかっています。

デジタルという言葉は、いろいろな意味で使われていますが、もともとは通信手段に使われている大まかな電波を細分し、何倍も効率よく情報を載せられるようにしたものです。したがってボカシの部分がなく、理論どおり強烈に効果が現れる化学肥料や農薬のようなもので、漢方薬に対する合成医薬品と同じで、すべてがデータ化できることを広い意味でデジタル化と称しています。

科学の世界は再現性が必要ですので、デジタル化し、エビデンス(科学的根拠)を確立する必要がありますが、現実の社会や生命体や環境等々の問題は情報が高集積で多重構造になっており、常に変化するため、デジタル化が極めて困難な分野です。例えデジタル化しても価値観や意識の変化で一瞬のうちに使えなくなってしまい、政権の支持率のように気まぐれに変動してしまいます。

デジタルの世界では、因果関係が明確ですので責任の所在が明らかであり、デジタル病にかかっている人々は、責任追及と責任逃れに人生の大半を使っています。また個々の責任で対処すべき事項も、表現の方法によって、いくらでも責任を追及することができますので、安全確保のためと称して様々な予算が組まれ、いつの間にか高コスト体質となり、ついにはデジタル界の権化であるお金依存症となり、お金がなければ何もできない、お金さえあればという考えが行き過ぎてしまいます。

EM運動の本質は、EM技術によって人類の世界的課題である農業(食料)、環境、医療健康、資源エネルギー、教育の問題を安全で快適、低コストで高品質で、累積的な持続性という条件で解決し、未来型の高度情報共存共栄社会の創造を目指しています。すなわち幸福度の高い社会づくりです。

この原点はEMの持つ蘇生力、すなわちシントロピー効果にあり、この技術の応用を極めれば、太陽の光が続く限り、すべての汚染は次元を変えて資源化することが可能であり、放射性物質も人体に影響のないレベルに薄めて土壌に施し、EMを活用すれば、新しいエネルギー肥料として活用できる可能性もあります。このことは、チェルノブイリ原発事故後の汚染地帯で、EMを活用した小麦やトウモロコシが、従来の2倍以上の収量になったことからも明らかであり、収穫された作物からは放射性物質は検出されなかったという結果があるからです。

先進国の貧乏化は、お金や権力を指標にしたデジタル社会資本主義の限界を示すもので、その根本的な解決は、EMのような蘇生的な技術でもって、お金は最小限ですむライフスタイルや社会構造にする必要があります。従来の代謝機能を促進する健康法に加え、EMを空気や水のごとく使うEM生活を徹底的に楽しむようになれば、現在の医療費は5分の1以下にすることも困難ではありません。

このプラスアルファで膨大な国の借金を返すことも可能ですし、道路や建築物にEM技術を徹底すれば、耐用年数は現在の10倍以上、管理方法によっては半永久的な活用も可能となります。EM技術の省エネへの応用や機能性材料の開発はもとより、あらゆる廃棄物の蘇生的なリサイクル技術は、極めて省資源で、質の高いものにすることも可能となります。また、農業を通し、自然を積極的に保護し、自然資源を豊かにし、人々の健康を本質的なレベルで守ることも可能です。

とは言え、社会の仕組みや個々人が重篤なデジタル病にかかっている今日、責任は他人にあり、社会にあるという考え方から、自己責任原則と社会貢献認識を高め、自分の抱える問題は自分で解決し、その結果が直接間接に社会貢献につながっている生き方に転換する必要があります。生涯病気にならないということや、物を大事に長く機能的に使うこと、日々の生活が環境を浄化し、自然生態系を豊かにすることも極めて大きな社会貢献といえます。EMを空気や水のごとく使いながら、EMの本質を極めるようになれば、種々の難問も楽しく創造的に解決し得るようになります。その上にすべてのものを総合的に相乗効果を高め、アナログ効果を理解するようになれば、人類は神への進化に一歩近づくことになります。今年の皆様方のEM活動がさらに飛躍的なものになることを願っています。

(2011年1月6日)
PROFILE
ひが・てるお/1941年沖縄県生まれ。EMの開発者。琉球大学名誉教授。国際EM技術センター長。アジア・太平洋自然農業ネットワーク会長、(公財)自然農法国際研究開発センター評議員、(公財)日本花の会評議員、NPO法人地球環境・共生ネットワーク理事長、農水省・国土交通省提唱「全国花のまちづくりコンクール」審査委員長(平成3年〜平成28年)。著書に「新・地球を救う大変革」「地球を救う大変革①②③」「甦る未来」(サンマーク出版)、「EM医学革命」「新世紀EM環境革命」(綜合ユニコム)、「微生物の農業利用と環境保全」(農文協)、「愛と微生物のすべて」(ヒカルランド)、「シントロピーの法則」(地球環境共生ネットワーク)など。2019年8月に最新刊「日本の真髄」(文芸アカデミー)を上梓。2022年(令和4年)春の勲章・褒章において、瑞宝中綬章を受章した。


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

生活のあらゆるところにEMを散布

 

 

空気中の放射能汚染を計測(ベラルーシにて)

 

 

EM技術を駆使したコンクリート住宅(沖縄)

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