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EMサミット

EMサミットは、その時々の状況に応じトップレベルモデルをつくるためにシンポジウムや発表形式など様々な方法で行ってきました。第1回は「市町村のEMのモデルづくり」をかかげ、沖縄県具志川市(現うるま市)で行われました。旧具志川市立図書館のEMによる水のリサイクルシステムは20年余りが経過し、世界的にも歴史的なトップモデルとなり、世界の水資源問題のモデル的解決方法として評価されるようになりました。

同時にスタートした「EMによるまちづくり」は着々と成果を上げ、うるま市は住民の75%はEMを使うようになりました。市役所で大量のEM活性液をつくり、市民が自由にEMを使えるようにし、EMの指導者要請を積極的に根気強く行い、地域住民の融和の核として公民館活動とリンクさせたのです。

その結果、「EMを生活化する」意識が高まり、全国の10万人以上、50万人以下の市町村の中で人口あたりのごみの排出量は抜きんじて低く、今年も含め5年以上も連続日本一となっています。生ごみの家庭菜園へのリサイクルが習慣化し、無農薬、無化学肥料の野菜を自給自足できる市民が増加し、健康問題の解決や高齢者のボランティア活動を促進する成果を上げています。

2回以降は瀬戸内海浄化や三河湾や伊勢湾などの海の浄化に主力が注がれ、今では「EMで海をきれいに豊かにすることができる」ことは常識となりつつあります。昨年は東京の日本橋川をテーマにフォーラム形式で行いました。日本橋川は1年できれいになり、その本流の神田川も分岐点の小石川橋から下流もきれいになり、EM投入から3年目の今年は日本橋川と神田川の鮎の群れが散見されるようになりました。

日本橋川には毎週10トンのEM活性液を投入し、1500トン余りEMと水系全体で約24万個のEM団子が投入されています。その結果、東京湾の南側の浜離宮や浜松町のモノレール沿線はすべてきれいになり、羽田空港から逆流し、お台場の海浜公園もきれいになり始めています。

第9回EMサミット近畿in奈良

日本橋川の浄化活動等の情報を含め、各地におけるU−ネット等のEMの実績は多方面に加速度的に広がっています。環境問題を含め、本当に困ったときがEMの出番ですが、日本もいよいよ困った時代に突入したようで、EMに対する抵抗感は皆無に近い状況となっています。

もともとEMに好意的であった奈良市役所の関係者と、U−ネットの地区代表のお世話で東大寺の鏡池の浄化や南大門周辺の弱りかけた松(150本)の蘇生と鹿の糞尿対策に取り組むことになりました。国宝で世界遺産、華厳宗の総本山となると、それにふさわしい最高の結果を出す必要があります。

かつて40万坪あった管理地も現在では10万坪余りになったとはいえ、かなり広い面積に多くの関連施設があり、鹿や酸性雨の影響で環境全体がぜい弱となっています。当初はボランティアレベルで始まり、成果が徐々に上がるにつれ、東大寺側は池や松の管理のみならず全体をEMで蘇生させるシステムと管理体制を確立したのです。まず百倍利器ジャストを導入し、良質の活性液を大量につくるシステムをつくり、常時3人で全域にEMを活用する体制を整え、生ごみのリサイクルや附属幼稚園の子どもたちの環境活動を含め、関係者が気軽にEMを活用できる仕組みをつくり上げています。

東大寺の成果についてはすでに本誌でも紹介されていますが、これまでわずかしか見られなかったホタルも今年から乱舞するようになり、いたるところにカワニナが大量に増えています。EMを徹底して使ったことと、カワニナのエサに生ごみをEMで練り餌状にして投入した成果です。技術的なことはすべてEM助っ人ねっとの岡さんの協力によるものです。

O(オー)リングテストや屈伸運動でチェックすると東大寺は巨大なエネルギースポットとなっています。観光客や参拝者、1〜2時間東大寺にいるだけで気分壮快、願い事が何でもかなうような気持ちになってしまいます。もちろん、文化財である諸々の建物や施設は劣化が防止されるばかりでなく、日常管理にEMの活用を更に徹底すれば松や池のごとく蘇生化することも困難ではありません。

東大寺のこのようなシステムは国宝で世界遺産で総本山である東大寺の時代に即した新しい役割になるものと確信しています。このシステムが全国の神社や仏閣に波及すれば更にレベルの高い人類救済事業に発展し、日本が極楽浄土になる夢も現実のものとしてとらえられる大きな契機になるものと期待しています。

今回のサミットでは天橋立、阿蘇海の浄化について、広域な人々のEM活動が連動すれば必ずきれいになるという確信を持った事例を丹後の吉田さんが報告してくれました。和歌山の園井さんは農業を軸に若い頃から夢見た共存共栄のエコロジカル文明を目指した地域活性化のモデルづくりの成果を発表してくれました。この方法は高齢化、過疎化対策に決定的な力を持つばかりでなく、エコロジカル文明の大きな碇ともなるものです。

三田市の中井さんからは家庭での自給野菜や花づくりにEMを楽しみながら活用するノウハウを多数公開してもらいました。EM活動の「楽しみや喜びを見つけ、楽しみや喜びを創り、多くの人々に分かち合う」の原点を示してくれました。

海外からはペルーのフランシス氏からEMによるペルーの貧困農家の自立支援事業、コロンビアのアミルカルさんにはボゴタに隣接する人口5万人のカヒカ市のEMによる100%の生ごみリサイクル事業の成果を報告してもらいました。いずれも世界に通用するモデルであり、今回のサミットにふさわしい内容となりました。

(2009年12月1日)
PROFILE
ひが・てるお/1941年沖縄県生まれ。EMの開発者。琉球大学名誉教授。国際EM技術センター長。アジア・太平洋自然農業ネットワーク会長、(公財)自然農法国際研究開発センター評議員、(公財)日本花の会評議員、NPO法人地球環境・共生ネットワーク理事長、農水省・国土交通省提唱「全国花のまちづくりコンクール」審査委員長(平成3年〜平成28年)。著書に「新・地球を救う大変革」「地球を救う大変革①②③」「甦る未来」(サンマーク出版)、「EM医学革命」「新世紀EM環境革命」(綜合ユニコム)、「微生物の農業利用と環境保全」(農文協)、「愛と微生物のすべて」(ヒカルランド)、「シントロピーの法則」(地球環境共生ネットワーク)など。2019年8月に最新刊「日本の真髄」(文芸アカデミー)を上梓。2022年(令和4年)春の勲章・褒章において、瑞宝中綬章を受章した。


 

 

 

 

 

 

 

 

11月22日に開催された「第9回EMサミット近畿in奈良」

世界文化遺産に登録されている東大寺でEMが積極的に活用されている

EM投入後1年の東大寺の鏡池。水質が改善され文字通り鏡のように大仏殿が水面に映し出されていれ、ニオイもなくなった

EMサミット翌日には、東大寺庶務執事、比嘉教授の案内のもと東大寺の視察ツアーが行われた

「EMサミット近畿in奈良」には、約1100人が参集。参加者は近畿地方の優良事例の数々に聞き入っていた

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