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着実に進むウルグアイのEM普及活動

6月下旬、中米EMフェスタの後、ペルーを経由しウルグアイを訪問しました。ペルーのEM普及活動については前回に述べた通りですが、ウルグアイは、これまでに例のない普及体制を整えつつありますので、その概要を紹介したいと思います。

今から5年前に中南米のEMの指導の一環として、アルゼンチンを訪ねました。日本大使館の協力もあり、沖縄県人会館を埋め尽くす人々が参加し、私のEM講演会を大々的に催してくれました。その時に隣国のウルグアイからオイスカのウルグアイ理事長の三上さんも来られていました。

三上さんは、草原のみで山林のまったくなかったウルグアイに、ユーカリを中心とした植林事業を30年以上もの長年にわたり指導された功労者で、その成果は世界最大級の紙パルプ工場が2社もできるという偉業を達成しています。それらの事業は地球温暖化対策の最大の緑化事業としても評価され、JICAを含め、日本プロジェクトとして世界に誇れる大成功事例となっています。

その三上さんから、これまでの経験を踏まえ、ウルグアイを世界のEMモデル国家にしたいという申し出がありました。三上さんは米州中央開発銀行、JICA、外務省その他の公的貧困対策プログラム等々のあらゆる可能性を検討するとともに、EMを必要とするウルグアイの主要な地域で、EMの試験を行うとともにモデル事業を立ち上げたのです。

その活動に対し、EM研究機構も専門家の派遣やEM1号の供給など、積極的な支援を行ってきました。その間に三上さんは何度も沖縄に来られ、さまざまな提案を行い、ウルグアイ政府の説得と日本大使館の協力を積極的に取り付けてくれました。

今回のウルグアイ訪問はそれらの成果を踏まえ、ウルグアイをEMモデル国家にすべきという三上さんの夢を実現する第一歩ということになりました。

竹元日本大使の積極的な支援もあり、初日は産業技術研究所の国際会議場で国の主要な関係者を集め、事例発表と私の講演になりました。竹元大使はこのフォーラムの主賓として、ウルグアイにおけるEM活動の重要性と、日本とウルグアイ関係強化についてのあいさつをしてくれ、最後まで残り、多くの関係者と交流を進めていただきました。

また、出入国や現地の視察のもろもろの手配はもとより、翌々日には日本大使主催で私を囲むレセプションまで催してくれました。このレセプションには主要な州の3人の知事や、次期モンテビデオ市長か大統領かといわれる人々、JICAや大使館関係者、日本人会の代表など多士済々(たしさいさい)の方々が参加し、EMの情報交換を行うことができました。

私はこのレセプションで「ウルグアイは広大な土地を持つ牧畜と林業の国です。現在の1次産業全般にEMを徹底して活用すれば生産性は数倍にすることも容易であり、畜産と連動した有機農業を行えば世界で最も安全で機能性の高い食糧を供給することも可能となります。EMを活用すればパルプ工場の廃液はもとより、多くの1次産業由来の廃棄物や下水も、すべて良質な農業生産資材として、また環境を浄化する力として活用できます。それらの結果は、大量の炭酸ガスを大きな資源として回収することであり、地球温暖化対策の決定打になるものです。また、バイオ燃料やバイオプラスチック技術も応用すれば、ウルグアイは人々が健康で、かつ環境がキレイで石油に頼らない新しい産業構造を持った世界のモデル国として歴史的な役割を果たすことができます」とあいさつしました。

ウルグアイは人口が300万人余の小さな国ですが、開発可能な豊かな平原は、日本の農地の数倍も残されています。世界的な食糧危機とか、食の安全性の問題や、地球温暖化対策等々を合わせて考えるとウルグアイは未来型のEMモデル国家となり得る諸条件が備わっています。

竹元日本大使の積極的な協力により、ウルグアイにおける各州のEMモデル事業も現地の人々を納得させるレベルに達しています。この事業に対し、日本政府が本格的に力を注入すれば、日本はこれまでに例のない真の意味の国際貢献モデルをつくることも可能となります。

10月14日に久々に三上さんが沖縄まで来てくれました。とても83才とは思えない若々しい壮年で、その後の展開についてのもろもろ、楽しい報告があり、EMウルグアイプロジェクトは着々と進んでいます。とりあえずは現在のEMに関するさまざまな組織を財団に一本化し、各種の助成金を活用しながら、EM研究機構と名桜大学国際EM技術研究所の協力を中心に、ウルグアイの国の数々のプロジェクト事業とリンクさせながら実績をつくることに専念することになりました。その結果を踏まえ、次の段階では日本政府をはじめ多用な国際プロジェクトの導入をめざし活動を展開することで合意しました。

EMフォーラム2008

例年11月に開催されているEMフェスタは、一般にEMを広める目的を一応達成しましたので、次のステップに向けて検討を進めています。例えば今まで沖縄のみで行われていた大会の一部を都市部で行ったり、各地でEMモデルタウンをつくり、その地域にEMの総合的なモデルをつくり、市町村と共催でEMフェスタを開こうという案なども出てきました。

そのため今年は「EMフォーラム2008」としてEMウェルネスセンターのホテルコスタビスタと隣接する北中城村立の「あやかりの杜」(2F多目的ホール)で、最新のEM情報を交換することになりました。プログラムは下記の通りです。

今年は恒例のEM医学会議は専門家を中心とする検討会となりますので、非公開となりますが、参加を強く希望される方々で、特別な事情が認められた場合は参加できますので、実行委員会に申し込んでください。

2年おきに行われる次年度の医学会議は、予定通り開催されることになっています。また、今回の発表内容は例年のように冊子にまとめられ、次年度に公開されることになっています。

EMフォーラム2008 パンフレット

プログラム11月15日(土)
◆ホテル コスタビスタ沖縄2F スタジオ2
10:00 EM技術公開講座(EM研究機構地域振興部)
11:00 質疑応答
12:00 終了
◆ホテル コスタビスタ沖縄 1F EMギャラリー
13:30 国内事例発表(株式会社イーエム総合ネット)
14:00 国内事例発表(NPO法人地球環境・共生ネットワーク)
14:30 県内事例発表(EM研究機構地域振興部)
15:15 EM商品紹介(有限会社EM商事)
15:45 あやかりの杜EM活用(沖縄文化ネット)
16:15 北中城村事例(家人衆会)
16:45 閉会

懇親会 11月15日(土)
◆ホテル コスタビスタ沖縄 B1F カサヴェルデ
18:00 開場
18:30 懇親会開会
会費 5000円

プログラム11月16日(日)
◆あやかりの杜 2F多目的ホール
10:00 海外事例発表(EM研究機構海外部)
11:30 午前の部終了
13:00 予防医学セミナー(杉本一朗医師)
13:30 比嘉照夫教授 総括講演
14:30 閉会

現場視察11月16日(日)
◆比嘉照夫教授バナナ園(青空宮殿)
15:00 バス ホテル発
15:30 比嘉教授「青空宮殿」視察終了
17:00 バス ホテル着


(2008年11月1日・毎月1日更新)
PROFILE
ひが・てるお/1941年沖縄県生まれ。EMの開発者。琉球大学名誉教授。国際EM技術センター長。アジア・太平洋自然農業ネットワーク会長、(公財)自然農法国際研究開発センター評議員、(公財)日本花の会評議員、NPO法人地球環境・共生ネットワーク理事長、農水省・国土交通省提唱「全国花のまちづくりコンクール」審査委員長(平成3年〜平成28年)。著書に「新・地球を救う大変革」「地球を救う大変革①②③」「甦る未来」(サンマーク出版)、「EM医学革命」「新世紀EM環境革命」(綜合ユニコム)、「微生物の農業利用と環境保全」(農文協)、「愛と微生物のすべて」(ヒカルランド)、「シントロピーの法則」(地球環境共生ネットワーク)など。2019年8月に最新刊「日本の真髄」(文芸アカデミー)を上梓。2022年(令和4年)春の勲章・褒章において、瑞宝中綬章を受章した。


 

 

 

 

ウルグアイEM関係者との写真

ウルグアイのEM製造工場 外観

JICA予算で建設されたEM研修所 外観

比嘉教授訪問の際、EM研修所の前でボカシをつくる関係者

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