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いよいよ始まるEM技術の人材育成

EM技術は人類の世紀的な課題である食料および環境問題を解決し、同時に望ましい健康、福祉を実現し、未来型の高度情報共存共栄社会を創造するため様々な進化をなしとげてきました。EMを水や空気のごとく生活化し、その派生技術を活用すれば、EMの公約である「地球を救う大変革」が可能であることも明らかとなってきました。

EMのような革新的な技術は、従来の常識を根本から変えてしまうため、その技術や哲学を一般化することは容易ではありません。そのため、常に困難とされる問題を解決し、世の中の認知度を高めてきましたが、社会に定着させるには、福祉施設の自立や学校における環境教育に取り入れることが最も重要な事項といえます。

また、各々の産業や環境分野におけるモデル事業と人材育成も必要不可欠なものですが、これまでは、主としてボランティアを中心にEMインストラクター養成による人材育成に取り組み、それなりに大きな成果を上げるようになってきました。

さらに、全国EM普及協会や地球環境・共生ネットワークなど数々のNPO法人が(財)自然農法国際研究開発センターやEM研究機構の協力を得て、上級のEMインストラクター養成講座も開催し、EM普及の人材育成に積極的に取り組んでいますが、日々進化するEM技術を社会化するためには、大学に於いてEM技術の専門家を育成する必要を痛感していました。

私が琉球大学で行った人材育成は、EM技術による「環境保全型農業」という共通教育科目の2単位(30時間)と果樹園芸学の2単位、および研究室における卒業研究が中心となっていました。共通教育では毎年100人前後の学生が受講し、専門では30人前後の学生に限られていました。研究室は人数の制限があり、希望者は10人以上あっても3人しか受け持つことができないという厳しい現実がありました。

平成19年3月に琉球大学を定年退官し、現在の名桜大学国際EM技術研究所に勤務するようになり、EM技術の人材育成のあり方について、大学側と協議を重ねてきました。その結果、EMに関する講義を10単位(150時間)、平成21年4月から開設することが認められ、本格的なEM技術の人材育成に着手することが可能となりました。

名桜大学におけるEMカリキュラム

沖縄県名護市にある名桜大学は、沖縄県と沖縄県北部12市町村が国の助成も得て沖縄の北部地域の振興を目的に設立された大学です。すなわち官立民営の大学ですが、名護学園と称されるように実質的な運営は名護市を中心に行われ、私大では最も授業料の安い大学です。

EMの講義は国際学群(部)の観光産業学専攻を中心に行われますが、どの学部やどの専攻に所属してもすべて基礎単位として認められるようになっています。

講義は、私が担当するEM技術概論(農業と環境)、微生物学(EMの基礎)、有用微生物(EM)で快適生活(日常のEMの応用)、環境保全と有用微生物(EMによる環境対策技術)、環境浄化の仕組み(実習中心)の5科目10単位でスタートします。その後は学生の希望や社会の要請に合わせて、開設科目数を増やし、EM技術の専攻(学科)に昇格させ、さらには学部にまで発展させる計画で準備を着々と進めています。

これで我が国で初めて、EM技術の本格的な人材育成に着手することができるようになりましたが、特に観光産業の要となる「食の安全と機能」「環境浄化と自然を豊かにする」ことについて力を注ぐ考えで、種々の補助的なプログラム(課外活動や海外および国内研修)も計画しています。

そのため、ハイレベルの自然農法や有機農業と環境問題に対応できる人材を育成する必要がありますので、農業高校からも積極的に学生を受け入れることにしています。もちろん、農業や環境に興味のある一般高校からの入学も大歓迎です。来年度に入学する学生は、最低で10単位ですが、年次的に科目数を増やしますので副専攻レベルにすることも可能となります。

卒業生の活躍の場

このようなプロセスでEM技術を学んだ学生は、EM研究機構を中心にEMの関連団体の協力を得て、全国に就職をお世話する計画です。EM関連団体は全国に200以上もありますし、2007年に有機農業推進法も施行され、2008年から全国各地で有機農業モデルタウン構想が実施に移され多くの人材を必要としています。

この法律の特徴は、「国や県や地方自治体は有機農業を推進せねばならない」という義務が伴う法律だということです。そのため県はもとより、すべての市町村は、有機農業を推進する窓口の設置が義務づけられておりますが、それに対応する人材教育は、これまでの大学の農学部や試験研究機関ではまったく行われておらず、本当の意味では、専門家は皆無の状態です。したがって、自然農法や有機農業を自信を持って教育し、人材を育成できる大学は全国で唯一、名桜大学のみと言えます。

また将来、農業で自立を希望する卒業生に対しては、沖縄はもとより、卒業生が4~5人以上いる県には、各自治体やEM研究機構と協力し、各地で農業法人を設立し、自立できるまでは全額EM研究機構で負担し、食の安全と機能、環境を積極的に浄化し、自然を豊かにする経済性の高いモデル農場を全国的に展開する計画で関係者と詰めに入っています。

したがって、沖縄県に限らず、全国の農業高校からの推薦や応募も大歓迎です。我が国は今、観光立国をめざし、政策転換を始めています。「観光の基本は、安全でホスピタリティに富む。環境が浄化された美しい国で、本当に健康なる美味しい食べ物が豊かである」が基本であることは改めて述べるまでもありません。また、卒業生に対しては、日進月歩するEM技術に対応するため、年に数回のフォローアップ研修(2泊3日)も計画しています。

今やEM技術は、有機農業推進法はもとより観光立国をめざす国の基本を支える技術にまで発展してきました。この段階に至るまで多大な協力をいただいた関係者の皆さんに心から感謝するとともに、今後の本格的な人材育成に対し、改めてご協力をお願いする次第です。

(2008年9月1日・毎月1日更新)
PROFILE
ひが・てるお/1941年沖縄県生まれ。EMの開発者。琉球大学名誉教授。国際EM技術センター長。アジア・太平洋自然農業ネットワーク会長、(公財)自然農法国際研究開発センター評議員、(公財)日本花の会評議員、NPO法人地球環境・共生ネットワーク理事長、農水省・国土交通省提唱「全国花のまちづくりコンクール」審査委員長(平成3年〜平成28年)。著書に「新・地球を救う大変革」「地球を救う大変革①②③」「甦る未来」(サンマーク出版)、「EM医学革命」「新世紀EM環境革命」(綜合ユニコム)、「微生物の農業利用と環境保全」(農文協)、「愛と微生物のすべて」(ヒカルランド)、「シントロピーの法則」(地球環境共生ネットワーク)など。2019年8月に最新刊「日本の真髄」(文芸アカデミー)を上梓。2022年(令和4年)春の勲章・褒章において、瑞宝中綬章を受章した。


 

 

 

 

名桜大学内にある国際EM技術研究所

研究所に隣接している実習室

沖縄県名護市にある名桜大学

名桜大学内の植栽管理もEM技術を活用している

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