連載



EnglishEM研究機構英語サイト

EM技術による無農薬イチゴの限界突破

前号ではEMの整流力を活用した結界効果について、その事例として、山形県の高橋農園を紹介しました。昨年から今年にかけて、数々の限界突破を実現した報告が急増しています。いずれも、海水培養のEM活性液とEMグラビトロン整流結界を併用した結果です。今回は、愛媛EM普及協会の野本さんから寄せられた情報です。

『イチゴ農家の安川さんは、20年ほど前に宇和島市であった講演会でEMを知り、すぐにEM栽培を始めましたが、先生の言われるようにはうまくいかず、それでもEMを使って無農薬栽培を続けていました。
例年、2回収穫(2番花)した後の3月以降は、うどんこ病やアブラムシが蔓延するため、放棄する状態とのことでした。しかし昨年の講演会で海水培養のEM活性液と整流技術のことを知り、再度、挑戦することになり、野本が以下のように指導しました。

1. 1月から2〜4週間に1度、海水EM活性液を50倍で潅水と同じ量施用し、うどんこ病が発生した時には、海水EM活性液を原液で散布し、2時間後に水で軽く洗い流すことで抑制でき、同時にアブラムシの発生を抑えることができました。
2. 2月15〜18日にミニロープをハウスの外周とイチゴの畝に張り巡らし、ペンタッチ(整流ペン)で整流した結果、3月以降に写真のような想像を絶する成果が得られました。
3. ハウス全体が整流されると、台風や種々の災害に強くなり、ハウスのビニールを20年以上も交換していない沖縄の例も話しました。 味はもともと甘かったが、ボケた甘さだったところ、今回のEMの新技術で濃厚でしっかりした甘さに変わり、大勢のお客さんがついています。』


 @
具体的には以下の写真の通りです。写真1は、ハウスの外周にミニロープを張り巡らし、整流ペンでペンタッチしている状況。現在はペンの代わりに整流シールを使うようになっていますが、認定NPO地球環境共生ネットワーク(Uネット)の会員になり、EM活動を続ける人には無料で提供しています。
ハウスの近くに電柱がある場合は、写真3のように同じミニロープでハウスの外周ロープに接続します。





その次に、写真2のように、ハウスの外周ロープからハウス内に引込み、写真4のように畝の中央に張ります。
2月15〜18日完了。

 A ハウス内への引込み

 B

その1ヶ月後、3月13日の状況です。写真5は、例年なら株が弱って黄化し、新芽が出て来ないとのことですが、健全な新芽が多数発生しています。
写真6は、3月13日のハウス全体の生育状況です。
写真7は、うどんこ病やスス病が発生した株に、海水EM活性液の原液を散布した後、2時間後に水で軽く洗い流し回復させた状況です。この場合、植物全体が硬化していますので、2時間おいても特に問題は発生しませんが、やわらかい作物や表面に毛の多いトマトやキュウリなどでは、15分ぐらいで洗い流すか、10倍くらいに薄めて散布します。いずれにせよ、塩は油断すると、すぐに濃度障害を発生しますので、特に温度の高い時は要注意です。


 C


 D 3/13 例年ならば茎は出て来ない


 E 3/13の様子


 F

写真8と写真9は、3月25日、完全に復活し旺盛な生育に戻った状況です。


 G


 H

写真10と11は、新植のような株に戻り、再び収穫最盛となった様子です。


 I


 J

写真12と13は、3月25日のハウス全体の姿で、完璧と言える回復です。


 K


 L


 M
写真14は、2000株から2000パック収穫された果実で、味、形、大きさ、すべて満足のいくものとなっています。

以上の成果は、長年EMを活用し、無農薬栽培を続けているハウスで、EMの真価を発揮する方法を追加した結果といえます。しかしながら、逆の見方をすれば、これまでやっていた事は、EMの力を引き出せなかったということですが、この原因は、活性液の質がそのレベルに達していなかったと言えます。海水を活用したEM活性液は、雑菌の抑制と長期の変質防止力に優れ、ミネラル供給源ともなっていますので、EM栽培農家は、この技術に徹するべきです。

同時に、整流技術も加わり、EMの真価が発揮されたのですが、整流炭を活用し、土壌全体を整流すれば、従来のような土壌改良は不要となり、不耕起栽培も容易となります。
すなわち、収穫後、10a当り塩を500〜1000Kg散布し、株や雑草をすべて枯死させた後に、海水EM活性液を50〜100倍にして全体に行き渡るように施用します。この方法は、肥料が不要になり、土壌消毒や土壌改良等々も全く不要になりますので、ハウス栽培の革命に直結するものです。


(2017年6月9日)



PROFILE
ひが・てるお/1941年沖縄県生まれ。EMの開発者。琉球大学名誉教授。国際EM技術センター長。アジア・太平洋自然農業ネットワーク会長、(公財)自然農法国際研究開発センター評議員、(公財)日本花の会評議員、NPO法人地球環境・共生ネットワーク理事長、農水省・国土交通省提唱「全国花のまちづくりコンクール」審査委員長(平成3年〜平成28年)。著書に「新・地球を救う大変革」「地球を救う大変革①②③」「甦る未来」(サンマーク出版)、「EM医学革命」「新世紀EM環境革命」(綜合ユニコム)、「微生物の農業利用と環境保全」(農文協)、「愛と微生物のすべて」(ヒカルランド)、「シントロピーの法則」(地球環境共生ネットワーク)など。2019年8月に最新刊「日本の真髄」(文芸アカデミー)を上梓。2022年(令和4年)春の勲章・褒章において、瑞宝中綬章を受章した。

トップページ | EMとは? | 特集・レポート | 連載 | 投稿ひろば | 用語集 | FAQ | バックナンバー | EM情報室 | リンク集 | サイトマップ

Copyright (C) Eco Pure All Rights Reserved.