7月6日にロンドンでEMセミナーが行われました。2年前にも東ロンドン大学で指導者を対象に初心者セミナーが開催されましたが、今回はその隣接地の運河での船上セミナーとなりました。主催者によると、この運河はテムズ川につながっており、船上から参加者全員にEM団子を投入してもらうために決められたとのことです。
来賓には次期ロンドン市長と期待されているウェールス卿をはじめ、ロンドンオリンピックの環境関係の委員も3名参加し、その大半がそれぞれの地域のリーダー格の人々で占められていました。
ウェールス卿の歓迎のあいさつの後にロンドン市内のEM技術による生ごみ処理の実例とオリンピックに向けてのEM技術による水質管理の種々の事例が報告されました。
いずれの都市もごみ減量化に積極的に取り組んでいますが、最も苦慮しているのが生ごみです。リサイクルを目標にすると、悪臭をはじめ種々の衛生問題はもとより、コストやできた堆肥の質など、スムーズに資源循環を行うために多くの難問を解決する必要があります。
ロンドンでは、生ごみの有機肥料化については悪臭を発生しないように密閉条件で加熱殺菌することが義務付けられています。したがって、集められた生ごみは密閉施設に投入されると同時に加熱され、そのまま60℃内外で発酵させるシステムとなっており、投入から30~40日かけて有機肥料にする方法が一般的な基準となっています。
一見すれば完ぺきなように思えますが、悪臭対策には難を極めており、完成までに時間がかかりすぎるため加熱費用もかさみ、機材の劣化も予想を上回っています。今回の事例では、日本と同じようにEMボカシを処理して生ごみを集め、発酵処理にもEM活性液を思い切り活用したら、すべての問題が解決され、ガーデニングにも大好評で供給が不足気味とのことでした。したがって、このシステムをロンドンをはじめ、都市部に広げるべきという結論的な事例発表となりました。
その次に発表されたEM技術による水質管理も、まさにオリンピックに向けての結論的な内容でした。下水処理場は、すでに確立しているEM技術で十分に対応可能ですが、今回の内容は下水の整備が十分でない地域での事例です。すなわち悪臭を発するドブや小川に砂利や石と組んで、水生植物を植えて、EMを初期に思い切り処理し、定着させる方法です。多くの実例がスライドで紹介されましたが、悪臭を発していたドブ川がみごとな親水公園のせせらぎに変わっていました。
また、20軒くらいのアパートであれば34フィート四方の池をつくり、仕切りを取り、ヨシなどの水生植物を組み合わせEMの密度を高めると、その池から放流される水は飲めるくらいにキレイになるということで、参加者全員が納得させられてしまいました。
最近のヨーロッパのEMトピックス
このセミナーで、オランダにおける化学工場の排水で壊滅的となった苗木工場を、EM散布によって完全に回復した事例も報告されました。その排水にはダイオキシン類はもとより、多様な化学物質や重金属が含まれていたとのことです。
苗木が枯れはじめた段階でEMを繰り返し施用した所は正常となったのに対し、EMを処理しなかったほ場は全滅したとのことです。その地域は樹木の苗木業者が集中しているところですが、汚染の被害はかなり広がっており、廃業または移転を余儀なくされた例も起こったとのことです。
事故から2年後、土壌分析を行った結果、EMを処理された土壌では有害な化学物質はまったく検出されず、重金属も基準値をはるかに下回って、痕跡程度というレベルになったとのことです。この結果は、工場移転後に残された汚染土壌対策として注目されており、オランダはもとよりドイツ、イギリスなどヨーロッパの国々で汚染土壌の浄化技術としての活用が期待されています。
特にドイツでは具体的な検討に入っています。「この場合、数十万トンから数百万トンのEM活性液が必要になるが、その対応は可能か」という問い合わせもありましたが、答えはもちろんOKです。産油国の石油による土壌汚染対策にも活用したいという話も出ました。このように極めてハイレベルのEMセミナーになりました。
最後にみんなでテムズ川に続いている運河にEM団子を投入し、オリンピックへ向けてのEMの活用を誓っていました。 (2007年8月1日・毎月1日更新)
生ごみの悪臭対策や水処理の事例を報告
熱心にメモを取る参加者
EM団子を投げるウェールス卿
比嘉教授もナイス投球
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