6月11日、ソウル市で全州大学の名誉理学博士の授与式が行われました。授与されたのは私と、カナダ在住で日本脳炎のワクチンを開発し世界的に著名な韓国人の金博士です。外国人で全州大学から名誉博士の称号を与えられたのは私が第1号とのことです。元ソウル大学総長の権博士や日本大使館の中條一等書記官からもお祝辞をいただき、大学関係者を含め200余の人々が参加してくれました。
授与の内容は、「EMの開発により革新的な環境保全型の農業を確立するとともに、環境問題を根本的に解決する技術を確立し、社会的に多大な貢献をしたため」となっています。
私は授与のお礼のあいさつで、「EMを新しい教養として日常的に生活化すれば、現在、韓国が抱える農業や環境や健康問題を根本から解決し、素晴らしい国にすることができます。同時にそのことが北朝鮮の問題も解決することになり、現在、大問題となっている中国の環境問題の解決にも結びつきます。皆様の力で韓国に楽しいEM活動を進めてください。その結果は世界に貢献するものです」と述べました。抱えきれないほどの無数の花束をいただき、韓国におけるEMの燃えたぎる思いが伝わってきました。
韓国におけるEMの普及体制
日韓は一衣帯水の関係にあり、日本の情報は次の日には韓国に広がっていると言われるくらいです。EMも1983年ごろから自然農法関係者によって韓国に導入され、農村振興庁も環境省も積極的に協力してくれました。
そのため、韓国のEMの普及は極めて順調に進みつつありましたが、1994年から始まった日本におけるEMバッシングのお陰で、その努力は水泡に帰してしまいました。
「日本で否定されたのをなぜ韓国で広げるのか」という非難が各地で相次ぎました。それに対し、釜山赤十字社のベー会長をはじめ、多くの人々によって韓国のEMは消えることなく着実な実績を示し、多くの困難を乗り越えてくれました。
2001年、全州市にある全州大学から総長命で突然、金教授が私を訪ねてきました。「全州大学でEM技術を全面的に取り入れ、地方の農業や産業、および韓国全土における環境問題を解決したい。将来はEM技術による医療健康分野にも取り組みたい」ということでした。
全州大学には農学部はなく理学部を中心に対応したいということでしたので、私は直にその案を受け入れることにしました。農学部があると必ず反対することは日本の例でも明らかです。2002年にEM研球団(プロジェクト)がスタートし、2003年にはEMの製造工場も完成しました。
同時にEMプロジェクトは、韓国政府による大学プロジェクトのトップテンに採択され、2006年からEMの専門家を養成する学部をスタートさせることになったのです。
このように書くといかにも順調に進んだかのように思われますが、学内の理科系の教授の大半は、EMに対し疑問または反対という立場にありました。
その壁を破ったのが、大学が設立したEM関連会社のEMコリアの活動です。EMコリアは釜山赤十字社のベー会長と協力して農業はもとより、悪臭対策に苦慮している畜産部門で大きな成果を上げ、河川浄化や生ごみのリサイクルなどに対し、顕著な活動を展開したのです。
この実績におされ、学内でも次々とEMに対する検証が行われ、少子高齢化時代の地方大学の発展策としてEM学部がスタートし、各方面でのEM活動の研究が積極的に行われるようになってきました。
EMコリアの注目すべき活動は、外部の企業や団体と提携したEM普及事業です。日本のダスキンのような訪問清掃を行うリビングクラブの4000人の人々が同時にEMの普及を行っており、YWCA(キリスト教婦人連盟)も50万人のボランティアでEM活動を積極的に行うようになったのです。
医学や土木建築の分野にも着実に広がっており、韓国建築協会や財界のトップもEMの勉強会を始めています。タイやコロンビアなど各々の国に適したEMによる国づくりは着々と進められていますが、韓国パワーはその仕組みが国家的となり始めており、世界のモデルになるのも遠い話しではありません。(2007年7月1日・毎月1日更新)
外国人として全州大学から名誉博士の称号を与えられた第1号となった比嘉教授を祝福する、全州大学理事長・河博士(左端)と全州大学総長・李博士(右端)
日本脳炎のワクチンを開発した金博士と懇談
全州大学は、韓国の中西部の全州市にあるキリスト教系私立総合大学。約30万坪の広大な敷地に6つの大学院のほか、言語文化学部・情報技術学部・機械産業工学部など13学部があり、約12,000人の学生が学んでいる
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