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シェフの田村店長(左)
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ニラ農家の小堤さん(右)
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ポケットファームどきどき小泉所長
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「どきどき」設立の功労者・鎌田さん
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「どきどき」内の直売所
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お問い合わせ
ポケットファームどきどき
「森の家庭料理レストラン」
茨城県東茨城郡茨城町下土師字高山1945
TEL:029−219−1161
営業時間
ランチ 11:30〜14:30
大人…¥1500など
ディナー 18:00〜21:00
大人…¥1600など
終日店内禁煙。喫煙所は店外店舗出入り口
【第10回】 茨城・森の家庭料理レストラン
●「農」と「食」のテーマパーク
JR水戸駅からタクシーで約30分。ティアの家族「森の家庭料理レストラン」が併設された「ポケットファームどきどき」(以下「どきどき」)は、市街地から離れた場所にありました。ここへ来るには自家用車か最寄り駅(JR水戸駅もしくはJR岩間駅)からタクシーを利用するしかないのですが、不利な立地条件ゆえに確保した約200台収容可能な駐車場はすでに満車状態です。

「どきどき」は、地域の農産物の直売所や地元特産の豚肉を使ったハム・ソーセージ工房、パン工房、そしてバーベキュー広場、小さな動物村、体験教室、イベント広場などのレジャー施設に有機農園(体験農園)とレストランを備えた、JA全農(全国農業協同組合連合会)いばらきが直営する「農」と「食」のミニテーマパークです。 小泉孝光所長は、「『どきどき』のコンセプトの1つに、“生活者の食卓から農業を考えた物づくり”があります。直売所で販売している野菜は慣行栽培もありますが、生産者には家族に食べさせるような、できるだけ農薬を使わないでつくってくださいとお願いしています。また、軽食コーナーやレストランでも化学調味料などをできるだけ使わないようにしています」と話します。おいしくて安心な食べ物を提供するというこだわりが集客率を高めているようです。

その中でも注目は直売所と有機農園、それにレストランです。施設に隣接した農園(約1ヘクタール)では2年前から地域の有機農業研究会メンバーの支援を得て有機農業にチャレンジし、平成18年には農園の約52aで有機JAS認証を取得しました。このことが刺激となって、直売所に野菜を出す約100軒の契約農家のうち10軒が、有機栽培に取り組むようになりました。 こだわって一生懸命につくった野菜が、売れ残って残さとして処分されるのではなく、レストランでおいしい料理として活かされ、お客さんに喜ばれる。これこそ入口と出口を備えた”農と食の地域内循環”と言えます。

契約農家の小堤逸子さんは、「どきどき農園」にも参加して有機農業に熱心に取り組んでいます。ニラ専門に通年栽培出荷する小堤さんは、EMボカシを使った独自の肥料づくりをしています。「四方を農家に囲まれた地域で有機農業を率先することは、非常に勇気のいることで、『どきどき』の仲間たちに励まされています」と嬉しそうです。ニラの一番おいしい食べ方を、「ニラを食べやすい長さに切って、アルミホイルで包んでオーブントースターで焼きます。熱いうちにしょうゆをかけて食べると、ニラの風味と甘みが口の中に広がっておいしいですよ!」と教えてくれました。

●森の中のレストラン
直売所の横を抜けたイベント広場の先に、雑木林に囲まれたレストラン「森の家庭料理レストラン」があります。まさに森の中のレストランです。オープン前だというのにすでにお客さんが並んでいます。小泉所長は、「今でこそ”こんな森の中だから来てくれるんだね”と評価されますが、当初は”こんな森の中にレストランをつくっても人は来ない”と言われたんですよ」と振り返ります。

「何が何でもレストランは、森の中でなくてはならなかったのです」と話すのは、元「どきどき」部長の鎌田定宗さんです。鎌田さんは小泉所長と共に「どきどき」を立ち上げた功労者で、今年4月に異例の抜擢でJA全農本部大消費地販売促進部へ異動。この事業は各方面から注目されており、すでにいくつかのJA全農から問い合わせがあって、鎌田さんは「どきどき」の事業を全国各地で展開できるよう、奔走しています。「どうして森の中にこだわったのか」との問いに、「直売所や駐車場はどうしても人や車の出入りで雑然としますが、レストランは家族で穏やかに食事ができる景観を大切にしたかったのです。窓の外に広がる雑木林が季節の移ろいを映し出して、癒し効果ですね」と笑顔で応えてくれました。

レストランの中へ入ると大きな窓から差し込む日差しが柔らかく、木々の緑が目に優しい。天井が高く、117席にお客がすべて埋まっても閉塞感はなく居心地は満点です。そんな居心地の良さに惹かれてくるのか、平日でも順番待ちが出来るほど多くの人たちが訪れています。その中の千葉から車で1時間かけてきた女性3人組に話を聞きました。彼女たちは、「食事がおいしいのでしょっちゅう来ますが、待つのは当たり前」と声を揃えます。そこへ店長でシェフの田村勇人さんがやってきて待合室の皆さんに声をかけながら飲み物をサービス。「美人には声をかけるのです」と一同を笑わせ、場を和ませます。

●ティアの家族の一員に
ところで、「どきどき」では「森の家庭料理レストラン」が最初のレストラン経営ではありません。平成12年「どきどき」がグランドオープンした翌年にレストランをオープンしています。しかし、業者委託で特色もなかったため集客できずに2年で撤退してしまいました。それから2年後、リニューアルオープンを前にして小泉所長と鎌田部長は、「どんなによい食べ物でも売るだけでは健康にならない。食べることを通して健康づくりに協力する提案型のレストランをめざそう」と、直売所と直結したレストランづくりを進めました。

1度失敗したレストランで2度の失敗は許されません。プレオープンを4か月後に控えた1月のある日、小泉所長と鎌田部長はある新聞に掲載されていたティア・元岡社長のインタビュー記事を目にします。地域の農産物をメインに家庭料理をイメージしていた2人は、「これだ!」と飛びつき、早速元岡社長と会う算段をします。3月にようやく正式に面会できることになり、ティア本社のある熊本へ飛びました。「本当にやる気があるのならお手伝いしましょう」と元岡社長。ティア本店で1か月の研修を受けて帰ってきた鎌田部長と、待っていたかのように地元の調理専門学校から推薦を受けた田村さん(現店長)との出会いがありました。

平成15年7月、旬の野菜料理を提供する「森の家庭料理レストラン」がオープンしました。プレオープンで著名な調理人や地元名士から、「こんな野菜料理で人が呼べるのか」と酷評されたメニューの数々。それでも小泉所長、鎌田部長、田村店長は、「野菜のおいしい食べ方は、このまま食べるのが一番です」と心の中で応えていたそうです。

●野菜がおいしい!
オープン初日、ふたを開けると次から次へと押し寄せる客の列。素材のすべてを使い切った豊富な野菜料理に「家庭ではこんなにたくさんの野菜料理はつくれない」と感嘆の声。「野菜をおいしく食べられるレストラン」と、口コミで広がった評判は遠方からも客を呼び、週末や祝祭日には長蛇の列ができるほどですが、買い物をしたり、散策したり、小動物を遊んだりで待ち時間も苦にならないようです。

レストランオープンから2年目、「どきどき農園」が「有機農園」に切り替わったことで、安心して食べられる有機野菜が自家供給できる体制づくりに一歩前進しました。農園づくりには小泉所長や田村店長をはじめレストラン従業員や直売所の職員も参加します。レストランの入り口には長靴が用意されていて、野菜に不足があったら、誰と言わず畑へひと走りして調達してくるのです。

「元岡社長から”飾り包丁はいらない”と言われて、大切なのは見た目ではないと気づかされました。素材を丸ごと活かすというもったいない精神と、これまでの自分の技術をどのように融合させていくかが目下の課題です」と、謙虚に自分を見つめる田村店長は和食歴18年のベテランです。田村シェフが手にする瑞々しい野菜たちは、「どきどき」に携わる多くの人たちの想いと喜びが結集されています。鎌田さんは毎週金曜日に「どきどき」に出向いて、成長を見守っています。[2007/10/5]

(鹿島祐子)

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