これまでの連載では、1、「何を食べるのか」、2、「どのように食べるとおなかを発酵状態にできるのか」を説明してきました。 今回の話は、こんなことやっては、せっかくの食改善にマイナスになるよという話です。
「何か飲みたい!せっかくだから栄養のあるものを飲もう!」
ちょっと待って!栄養は1日3回の食事で十分。カロリーのあるものをしょっちゅう食べていたらおなかが空きません。私は子どものころ、のどが乾いたら牛乳でした。母が子どものためにいつも冷蔵庫に用意してくれていて、夏は1日1リットル以上飲んでいました。そのためか、中学生になった頃から顔も体もニキビだらけで、病院に行っても治らない。そして蓄膿症も出て、牛乳を水代わりに飲むのをやめたら治ってきたのです。牛乳が悪いというより、飲みすぎが問題です。牛乳は食事ですから、食事の直前か直後に飲んだらいいと思います。
単糖類と多糖類
第8回目の連載、「空腹」の話を思い出してください。実は今、おなかをグーっと言わせたことがほとんどない子どもが増えています。おなかが空いていないのに、時間が来たからと食べる“だらだら食い”は、胃腸を弱め、悪玉菌を増やし、便秘やアトピー、鼻炎、花粉症などの大きな原因になります。 のどが渇いたと思うのは、体の水分が不足しているという意味で、カロリーが不足しているわけではありません。だから、水分を補給すればいいのです。ところが売られている甘いペットボトル飲料や缶飲料を飲むと余計にのどが渇くことさえあります。
人が甘いもの(単糖類)を食べたり飲んだりするというのは、野菜に化学肥料を与えるのに似ています。単糖類も化学肥料も即効性があり、効果的に見えるのですが、化学肥料を入れ続けるとミネラルバランスが悪くなったり、微生物が減少します。反対に有機肥料は即効性は少ないですが、いろんな副成分があってミネラルバランスを壊しにくく、また微生物をたくさん増やしてくれます。 人の場合も同じ事が言えます。甘いもの(単糖類)をとりすぎると、即効すぎて血糖値が急上昇してしまい、精神的トラブルを引き起こしやすくなるし、体内のビタミン、ミネラルが糖代謝のために使われて不足しやすくなります。それに対して、玄米などのように多糖類の形で食べると、血糖値は安定的に維持できるし、ビタミン、ミネラルまで一緒にとれて、消化の過程で腸内細菌まで活性化します。
普通サイズの500ccペットボトルの中には、通常60gも糖分が入っていて、これだけで1日の摂取限度量をオーバー。白血球のばい菌を食べる力は弱くなるし、体の中でビタミン、ミネラルを消費するので、キレたり心が不安定になりやすく、うつ病の要因にもなります。 体が疲れ気味だったり、外食などミネラルの少ない食事をしていると、特にこのような症状が出やすくなります。あなたの周りに、いつもは普通の人なのに、急に我を忘れたように怒り出したり、急に不安な気持ちが強くなる人がいませんか?その人、外食や出来合い食を多くとっていませんか?のどが乾いた時とか、缶コーヒーとかジュースばかり飲んでいませんか?もしそうなら「かくれ低血糖症」(機能性低血糖症)の可能性があります。血糖値の調節がうまくいかず、一時的に低血糖状態になる病気で、健康診断では見つかりませんし、精神病と間違われることも多く、適切な対策をしないと糖尿病になる恐れがあります。 今特に問題ないからと、日ごろから甘い飲料を飲んでいる子どもや大人の人、糖尿病になってからでは取り返しがつきません。
スポーツ飲料とカロリーオフ飲料
まあ、甘い飲料がよくないことはご存知の方も多くなってきました。でもスポーツでのどが乾いた時とか熱中症対策にスポーツ飲料がいいと考えている方はまだ多いですね。あれは甘さを半分にしたジュースです。
では、カロリーオフの飲料はどうでしょうか?甘いけれど血糖値は上げないから便利! これがとんだ食わせ物だった可能性が出てきました。ノンカロリーの人工甘味料をネズミに飲ませたところ、腸内細菌バランスが崩れ、糖代謝異常がおきたことがネイチャー論文で報告されました。要するにダイエット飲料を飲むと、太りやすく糖尿病になりやすくなる恐れがあるということです。なぜ糖分を減らしたのになぜ糖尿病になったり太ったりしやすくなるの? 私なりに解釈すると・・甘いものを飲む⇒体は糖を食べたと勘違いして、糖を消化吸収して、体のエネルギー にしたり、ため込んだりする働きを開始する⇒ところが糖分がない⇒これを繰り返しているうちに、糖分を食べても体はそれを細胞が使える形にしようとしなくなり、そのため、血糖値が上がりすぎたり、太ったりする。・・ということになります。また、アスパルテーム(フェニルアラニン)など、人工甘味料自体の危険性を指摘する声もあります。
PROFILE よしだ・としみち NPO法人大地といのちの会理事長。1959年、長崎市生まれ。九州大学農学部大学院修士課程修了後、長崎県の農業改良普及員に。96年、県庁を辞め、有機農家として新規参入。99年、佐世保市を拠点に「大地といのちの会」を結成し、九州を拠点に生ごみリサイクル元気野菜作りと元気人間作りの旋風を巻き起こしている。2007年、同会が総務大臣表彰(地域振興部門)を受賞。2009年、食育推進ボランティア表彰(内閣府特命担当大臣表彰)。長崎県環境アドバイザー。主な著書は「生ごみ先生の元気野菜革命」「いのち輝く元気野菜のひみつ」「生ごみ先生のおいしい食育」「まるごといただきます」など。
やはり、水かお茶なんですね。ただ、市販の茶飲料を買う場合、酸化防止剤として合成ビタミンが添加されています。腐れにくいお茶ばかり飲んで、私たちを助けている腸内細菌は大丈夫でしょうか?また一つの銘柄で同一の味を出すために、水に溶けているミネラル等を除去して純水に近い状態にした水でお茶を作ることが多く、これでは熱中症対策としては逆効果かもしれません。現代人の微量ミネラル不足を補えなくなります。市販の甘味飲料も純水を使っているものが多く、「純水使用」とわざわざ良いことのように表示しているものもあります。できるだけ家茶(家庭でお湯を沸かして作ったお茶)がいいですね。
結局自販機で買うならミネラルウォーターになってしまいますね。「でも水だと甘くないしパンチがないからいやだ!」そんな人には炭酸水がおすすめ!炭酸のピリッとする刺激が心地よく、血行促進の効果もあります。
「4週間挑戦!おなか畑の土づくり」と言って、学校等で子どもたちがいくつかの食改善項目に取り組むのを指導助言しますが、子ども達の間ではこの「のどが乾いたら、水かお茶」という項目に取り組むのが一番つらかった、という感想が多いですね。それでも、だいたい1~2週間ジュースをがまんできたら、その後はあまりジュースを欲しいとは思わなくなる例が多いです。だから、初めて取り組む子どもたちには、「ジュースを飲むとまた欲しくなるでしょ?タバコに似ていて、だんだん止められなくなってきて、続けるとだんだん体がおかしくなってくる。だからタバコほどじゃないけど止めるのはちょっとがまんが必要。修業と思って2週間だけ止めてみて!そうしたらあまり欲しくなくなるから!」と訴えています。
②17:00〜18:20 「食育の根源がここにある。いのちをいただきます(仮)」 吉田俊道先生
14:55〜16:35 比嘉照夫先生 「EM菌と環境保全」
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