11月26・27日、第6回環境フォーラム「うつくしまEMパラダイス」が、福島県福島市の県立福島教育会館で開催されました。6年前の惨事を想像できない美しい紅葉の阿武隈山系の麓にEMボランティアら両日で800人が集い、笑顔で交流しました。
このイベントは、被災直後から福島県内外にEM活性装置を設置し、復興の手助けをしているNPO法人地球環境共生ネットワークが主催し、毎年、同じ人が一年の結果を報告するものです。昨年から、自信を持って出荷できる農産物が増えたこともあり、26日には、震災後はじめてEM活用の農作物を販売する「EMマルシェ」が開かれました。新鮮な野菜や新米のおむすびなどが並び、EM食材を使った豚汁がふるまわれました。また、世界7ヶ国語に訳され各国で話題となっている映画「蘇生」が上映され、現在、続編の撮撮影中の白鳥哲監督が、「福島の復興を世界が注目している」と熱く語りました。
27日は、放射性物質が生物に与える影響や健康被害を軽減させる方法など、現代科学の重要なテーマを研究する、べラルーシ国立科学アカデミーのナタリア・ティモヒナ副所長とアレキサンダー・ニキティン博士が、EMを用いた動物や土壌、作物の実験結果を報告し、続いて医療法人照甦会理事長の杉本一朗医師が、日本の医療事情をからめて、最新の科学である腸内細菌を中心に自分の健康は自分で管理していく方法を伝授しました。
最後に比嘉照夫琉球大学名誉教授(同NPO理事長)が特別講演を行い、「福島の人たちと勉強会を重ねてきた結果、継続すれば確実に問題が解決することがわかってきた。この事実は動かない」として、これからの課題は、「どういうシステムでひろげていくかだ」と先を見据えた議論を始めようと呼びかけました。
福島は、汚染土壌の中間施設の建設や健康被害などまだまだ油断を許さない状況は変わりませんが、一方でEM技術など自然の力と人間の知恵で環境が蘇る第2ステージが始まっていることも事実。多くの人がこの現実に目をむけて欲しいものです。
★ナタリア・ティモヒナ副所長の発表要旨 2011年からEMおよびEM飲料の外部・内部被ばく防御の動物実験を続けている。外部被ばくについては、EMおよびEM飲料を与えた場合、酸化抑制、血液の健全化、甲状腺異常の抑制および異常行動の緩和がもたらされる。内部被ばくについては、汚染されたエサをネズミに与えると腸管の粘膜が炎症や小腸細胞の異常細胞分裂、小腸の絨毛の萎縮などが見られるが、EMおよびEM飲料を与えると小腸の粘膜の炎症を防ぎ、異常分裂が抑制する。
★ニキティン博士の発表要旨 EMとEMボカシを用いると、土壌中の放射性物質の低減化、作物への移行抑制などの可能性がみえる。塩化カリウムを散布すると、土壌や農作物の品質の劣化がみられるが、EMを使用すると逆に収量、品質ともに向上する。現代科学の重要なテーマである表土を剥がすことなく汚染を抑制できる農業技術として、さらに研究を重ねたい。
★杉本一朗医師の講演要旨 60兆といわれる細胞の膜をつくる材料となる良質なオリーブオイル、エゴマ油、亜麻仁油などに含まれる不飽和脂肪酸。卵を代表とする必須アミノ酸。天然塩などのミネラル、きちんと栽培された野菜や果実に含まれるビタミン。これらの栄養素は、体内で作れないので毎日の食事でとること。また、感情や性格を支配し、第2の脳とよばれる腸内細菌を整えること。ポリフェノールなどの抗酸化物質を含む食べ物や発酵食品は、腸内の善玉菌を増やす。腸内を発酵型にコントロールするには、有用微生物=EM技術が大きな役割ももつ。自分の健康は自分で守っていきたい。
2012年、放射能汚染対策として、グランドゴルフ場にEM活性液を散布。空間線量が5ヶ月間で半分に減少したことから、コメ栽培にもEMを使うことに。慣行栽培の対象区の玄米が80Bq/kg あったのに対し、EM活性液を流し込んだ区の玄米は20Bq/kg まで抑制された。2015年の稲刈り後、60aの田んぼにEM団子3,000個を埋め込み、翌2016年苗の植え付け後、EM3号とEM活性液各1tを流し込んだところ、雑草に負けない稲となり、10aあたり6俵、自然農法こしひかりとしては、まずまずの収穫となった。食味検査では83の高得点で、格別なおいしい米となった。放射性セジウムは、玄米で8,7Bq/kg 、白米で2,6Bq/kg という結果だった。不検出めざし、さらに精進したい。
2012年からEMを牧場に活用。EMで発酵処理した牛糞の液肥(EMスラリー)で栽培した牧草と化学肥料で栽培された牧草と比較して、牧草中の放射性セシウム濃度はEMスラリーの方が低くなること。土壌中の放射性セシウム濃度も化学肥料区では横ばいなのに対して、EMスラリーを散布した土壌では減少する傾向が確認された。2015年、一旦中止していた水稲栽培を再開。今年は実験的に的にEM活性液やEMたい肥に加えて、モミ殻燻炭、EMセラミックス、EM活性液を混合したものを30aの田んぼに埋設した。その結果か、昨年は微量に検出された放射性セシウムが、不検出(検出下限値1Bq/kg)となり、震災以前の循環型農業が復活できた。
2013年、地域の農業かんがい用ため池の長沼を独自に調査した結果、長沼の底泥中から約40,000Bq/kgの放射性セシウムが検出された。このため、伊達市梁川町の粟野自治会と協働で長沼水質浄化プロジェクトを立ち上げた。EM活性液やEM団子の投入開始より半年で、セシウム134が約62%、セシウム137で約60%の低下がみられた。また、水質検査の結果、DO(溶存酸素量)にも増加傾向がみられ、2015年のセシウム総量は12,600Bq/kg。3年で約3分の1に低減した結果となっている。4年間のEM使用量はEM活性液36t、EMだんご2000個。今後も、地域ぐるみで楽しく浄化活動を続けたい。
2012年からEM活性装置と1tタンクを設置。1週間1tのペースでEM活性液を散布する。4年間継続した結果、屋外の空間線量毎時0,91μSv/hが0,19μSv/hに、屋内0,48μSv/hが0,1μSv/hに減少し、目標の年間被ばく量1mμSv/hを達成した。さらに作物の放射性セシウムは、1回も検出されていない。また、収穫量の増大、品質の向上が見られ、農園一帯の環境が大きく変化した。放射能対策だけでなく、家庭や菜園でどんどん使って、清々しい環境を手に入れて欲しい。
<2016年12月22日>