11月7日、山形県長井市民文化会館大ホールで、映画「蘇生」の白鳥哲監督とイギリス出身でハーブ研究家のベニシア・スタンリー・スミスさんの、環境をテーマにしたジョイント講演会および上映会が開かれ、約900人が来場しました。この異色の講演会を企画したのは、長井市を中心に活動するオープンガーデン花友達(代表:遠藤かづゑさん)。花で縁を結んだベニシアさんとEMを通して結んだ白鳥監督がどうシンクロしていくのか、主催者も観客もわくわくする時間でした。
有用微生物が環境問題を解決する鍵になることをテーマにした映画「蘇生」は、自主上映がスタートして数ヶ月間で全国50ヶ所で公開され、およそ1万人が鑑賞しているとのことで、最近では環境や食をテーマにした集会でも上映されています。
白鳥監督は、「映画の構想は5〜10年さらにはそれ以上の時間がかかり、その間に世の中や地球全体がどう変化するかわからない。だから、思い込み、とらわれ、常識、固執、観念を手放し、将来についての予言力を鍛えてきた」と、時代の先を行くテーマに挑む心構えを披露したました。
その鍛えぬいた予言力を駆使した講演では、合理的な説明がつくいくつもの研究データや事象を踏まえたもので、神秘的な意味での予言とは違い、たいへん説得力のある内容でした。
ベニシアさんは、明治時代に来日したベニシアさんの曽祖父の兄でイギリスの外務大臣、インド総督を務めたジョージ・カーゾンさんが、「日本は世界で一番きれいだが、大変なスピードですべてを変えようとしている。残っている日本の美しさを守って欲しい」と日記に書いていたことを紹介。「私も、内なる神の存在を認める東洋思想に惹かれ、日本の禅やインドのヨガを学び、日本にやってきた。日本に残る美しい自然や古い文化を大切にして欲しい」と話しました。
講演後、映画が上映され、外国人の目から日本の便利な生活へ疑問を発しているベニシアさんも熱心に鑑賞していました。
【白鳥監督の講演内容】
このまま人間が無尽蔵に大地や海、大気に汚染を垂れ流し、限りある資源を枯渇するまで使い続けていけば、深刻で想像もしたくないような未来しかないことは明白。しかし、その壊れた生態系を、蘇らせていく可能性を持つものが生態系の底辺を支える微生物で、EMをはじめとする、微生物の活用で環境の改善が進んでいる。
アイスランド大学のエルレンドゥール・ハラルドソン博士が、240本の試験管に酵母菌を入れて、半分の120本には祈りを捧げ、残り半分は祈らない実験をした結果、祈った方の成長率が上がった。つまり、微生物にも意志があり、彼らの尊厳を認め、祈るような気持ちで接することが大切だ。
私たちの生き方、生活スタイルを変えることによってしか問題を解決できないが、そのヒントは、目の前にある最悪の状況を認め、気落ちせず、問題の的をしぼって、やれることをだけをやること。そして、ネイティヴアメリカンのホピ族が伝える「7代先の子どもたちのことを考えて、物事を選択する」こと。 私たち大人には子孫や他の生命体も共存できる地球にしていく責任があり、有用微生物を大切に増やす生活をすればそれはできる。
■ 映画「蘇生」 http://tetsushiratori.razor.jp/sosei/index.php
【ベニシアさんの講演内容】
庭づくりは土が大事。ハーブは、湿気の多い日本での栽培は難しいので、土の下に配水管を通して水はけをよくする工夫をした。肥料は、鶏ふんと生ごみとコンフリーでつくる自家製のコンポスト。肉や魚以外の生ごみは捨てずに土に還すとミミズが発生して、フカフカの土になってくる。
蝶やミツバチが寄ってくる花を植え、自然の生態系を豊かにするガーデンをつくっている。彼らの好きな花はセイジ、ミント、ひまわり、タチアオイ、コスモス、ブルーベリーなどで、ことに蝶は白や薄いピンクの色を好む。イギリス人は、こうした花を意識して植えていることで、生態系を守るガーデンをつくっている。
自分で食べものをつくり、自分の手で料理する安心感はお金では買えない。田舎の人はできるが、都会の人には難しい。食べられる野草の探し方、野菜の育て方など農のある暮らしのすべてを地元のおばあちゃんに教えてもらった。私も、日本のおばあちゃんに続きたい。