開会にあたり、震災で亡くなられたすべての御霊に参加者全員で哀悼の意を捧げた後、地元七ヶ浜を拠点として活動するパーカッションアンサンブルグループ、Groove7の子どもたちの元気な演奏で幕をあけました。本大会の実行委員長である相沢孝弘東北EM普及協会会長が「ここまで東北の復興にご尽力いただいた全国のEM関係者に心から感謝するととともに、今大会が復旧から復興へと推進する大きな力となると信じている」と挨拶しました。渡邊善夫七ヶ浜町町長が謝辞と復興を力強く宣言(平正美副町長が代読)し、岩手県でEM活動を長い間行っていた高橋比奈子さん(現・参議院議員)が国会内に有用微生物利活用推進議員連盟が発足したことを報告しました。
事例発表は、被災地でのボランティア活動、農地の塩害克服、養殖水産物の復活の3事例、ロシア沿岸州EMセンターと㈱EM研究機構災害プロジェクトから、震災に関する活動報告がありました。 最後に登壇した比嘉照夫琉球大学名誉教授は、「未曾有の災害の中で、心をあわせて復興に立ち上がっているみなさんに敬意を表したい。未来は、人間以外の生物多様性をどう回復させるかにあるが、これはEMを徹底して使うことで解決できると震災の経験で再認識させてもらった。今までの経験をもとにEM技術を組み立て社会化できるよう関係者の連携をはかりたい」と話しました。 世界の非常時にEMが定着してきたことを再確認し、今後も東北の復活のために心をあわせていくことを誓う大会となりました。 会場では、震災時ボランティアとして七ヶ浜町を訪れた参加者が当時交流した町民と再会する場面も見られました。なお、来年の第19回EM技術交流会は、京都で開催されます。
※第18回全国EM技術交流会東北大会in七ヶ浜の優良事例を掲載した事例集(500円+税)は、EM情報室でも取り扱っています。
寄贈された小型動力噴霧機で、瓦礫や車輌、化学物質などが大量に流れ込んだ中里川や東松島市の定川などにEM活性液を投入。現在も、地元の小学校児童と共にEM活性液やEM団子で河川の浄化活動を行っている。また、震災前から学校のプールにEM活性液を投入していたが、震災時にこのプールの水がトイレの水や洗髪や洗濯に役立ったことを教訓に学校のプールへのEM活用をすすめている。EM活動を通して全国の多くの方々や地域の方々と知り合い、人と人との結びつきを強く感じる。これからも、生きがいと希望を与えるEMを通して、自然の力の大切さを子どもたちに伝えていきたい。
比嘉教授講評 EMが震災に使われたのは、阪神淡路大震災時の仮設トイレの悪臭対策が最初で、それ以後、台湾やロシア沿岸の災害に活用され、スマトラ沖地震では、遺体安置所でEMを活用した。この体験をもとにタイではEMで危機管理をやろうと決め、タイ洪水では衛生問題を解消した。この経験の上にこの震災が起こり、EM関係者はすぐにEMの供給などを行えた。日常的にEMを使っていることが、非常時に役立つ。この経験を子どもたちに伝え続けて欲しい。
水田塩害を克服した自然農法 千葉万里子(石巻市・兼業農家)
無農薬・無化学肥料での栽培を行ったが、EMを使用した水田ではカメムシの発生が見られなかった。収穫量はEMを投入しなかった水田とほとんど変わらなかったが、目に見えない質の違いは実感できた。放射能汚染についても公的機関で検査し問題はなかった。
翌年には、すべての水田へEMを投入した。EMはコスト削減のため培養器で約50倍に培養し、さらに1tタンクで約20倍に2次培養して使用した。明らかに泥がトロトロになり、長靴の入り方が違った。塩害は全く現れなかった。カメムシの被害はなかったが、イネミズゾウムシが発生したため、EM散布時にトウガラシ液を添加した。雑草にも苦労したが、環境が復活していることを実感した。3年目も、塩害の影響はなく順調に生育して収穫を迎えることができた。これからの目標は、10aあたり810kgの収量としたい。最終的には、1200kgが大きな夢である。同時においしい米を目標とし、さらには自然農法が普及して米の付加価値が見直され、生計の立てられる農家が増えることを期待している。
比嘉教授講評 従来は12〜13俵(10a当り)が限界といわれる中で、素人でも、13.5俵(10a当り)を収穫できたという素晴らしい事例。EMを徹底して使えば目標20俵も夢ではない。雑草対策は代掻きを収穫から田植えまでに何回できるかが勝負でEMの仲間を田んぼに増やす。EMセラミックパウダー0.1〜1%を添加したEM団子を1坪当りに1個、3cm下に埋める。5cmほどのトロトロ層ができるとよい。米はおいしくなると同時に生態系もよくなる。イネミズゾウムシがでるのは、腐敗物質が多いので、その点を改善するとよい。
復興への応援を込めた支援を十三浜に届ける方法として、1口5,000円のわかめサポーターを募集。
わかめは順調に育ち、例年にない高品質で価格は2倍以上で取引された。収穫時、浜を訪れた際、釜の湯気の向こうに見えた浜の方々の輝く笑顔は今でも心に残っている。心配した放射能も不検出だった。震災という非常時に「EMの神様」から頂いたご縁は、大切な宝だと感じている。これからもことあるごとに十三浜に通い、何かお役に立つことをしていきたい。
宮城県漁業協同組合 北上町十三浜支所運営委員会 佐藤清吾
被災から3か月後に十三浜の漁業の復興に全霊で打ち込んでくれた仲村医師夫妻が、わかめ復活支援金を集めてくれたのがきっかけで、EMに出会った。私個人としては、漁場のガレキ処理から新たな養殖筏の敷設で、さまざまな問題があり、EMの功能を完全に理解するまでではなかったが、仲村さん夫妻が推奨するものであるならば、やる価値はあるということになり、実行することを決めた。漁場の造成に出ている男に代わり、婦人部によるEM団子つくりを開始。種不足と筏の資材不足から、震災前の7割のわかめの種の鋏み込み作業が終了したのは大晦日だった。震災の年に一円の収入もなく、翌年も無収入になることは絶対に避けたかったが、これほどまでに種まきが遅れるとわかめは無収入になるだろうと覚悟していた。
ところが、漁場に3回にわたりEM団子とEM活性液を投入した結果、春からの刈り取りまでにわかめは急激に成長し、通常は2mのところ、3mまで伸びるという今までにない豊作となった。私たち漁民は、EMについてはまったく経験がなく、比較する過去のデータを持ち合わせていない。しかし、あの未曾有の災害時に「溺れるものは藁でもつかむ」の心情のところに手を差し伸べてくれた関係者に心よりお礼を申し上げたい。確かに私たちの経験と想像を超えた成果があったこと、また、EMを使った年は7割の種付けながら在庫が払低した関係から、相場が例年の2倍を超える価格で取引され、被災漁民の生計再建に大きな力を与えられたことに感謝したい。
比嘉教授講評 釜石市で、10年前EMを流すことでわかめが巨大化する経験がある。海の浄化活動でいえば、瀬戸内海、有明海、三河湾 伊勢湾さらには、東京湾の実績がある。ことに東京湾には、9年間にわたり毎週4tのEM活性液が流されており、東京湾の海底は巨大なサンゴ が生息して海のジャングルとなっている。EMは、光合成に偉力を発揮して、海をきれいにし、海産物のできもよいことは経験済み。継続してEMを活用してほしい。
環境問題については、ある湾の海底から石油系汚染物質に分解過程におけるEMの影響を調査した結果、EM団子では66%を分解し、EM無しに比べて10倍以上の効果があったことなど、さまざまな研究が行われている。
宮城県仙台市 鈴木英俊さん
鈴木さんは20年近く前から健康と美味しさにこだわり、EMを活用してお米や野菜つくりを行ってきた。震災時、海岸から約2.5kmの水田は津波の被害を受け、あたり一面ヘドロ混じりのゴミが散乱。作付けができない絶望的な被害の中、井戸を掘り、EMを使って見事な稲を育てることに成功した。 鈴木有機農園ブログ http://suzuki-yuukinouen.blog.ocn.ne.jp/blog/
宮城県七ヶ浜町 星博さん
また、米づくりでは苗を強くするためにローラーで苗を倒して根張りをよくする作業を行っていたが、この考え方を海苔にも応用し、海苔の芽が小さいうちからブラッシングを行い、不純物を取り除くと共に細胞を活性化させる方法を開発し、EMの活用とブラッシングの組み合わせにより細胞が密につまった香りと歯ごたえの良い美味しい海苔づくりを実現している。震災による被害で、平成25年度も震災前の2/3の規模までしか回復しておらず、海苔づくりの復興を優先させるために4.5町歩ほど行っていた米づくりも再開できていないが、美味しくて本当に健康に良いお米と海苔を待ち望んでいる人たちのために、着実に復興へ向けての歩みが進められている。
福島県での活動 福島県では、津波被害と同時に原発事故が起きたため、震災直後の組織的なEM活用は南相馬市の一部等に限定されていたが、住宅内外でのEM活用による放射性物質汚染の軽減活動を希望する団体や個人に対してU-ネット災害復興支援プロジェクトを通してEM活性装置やタンクなどの機材が無償貸与され、現在も各団体での活動が継続中。農業分野ではEMオーガアグリシステム協議会の生産者の農産物から放射性物質が安定して不検出(1Bq/kg以下)となることを確認した。 稲作でもEMを活用していた玄米での放射性セシウム濃度が低く、食味などの品質も良いなどの報告が寄せられ、二本松市、福島市松川、南相馬市、田村市都路町などでEMを活用して土づくりに取り組み、品質の良い米づくりに取り組む農家が増えている。また、畜産では牧草の放射性物質低減化などの放射能汚染に対してだけでなく、質の良いEM活性液を多目的に使用することで、EM本来の効果である畜舎の環境改善や生産物の品質の向上など副次的な効果が短期間に現れている。
福島県では、津波被害と同時に原発事故が起きたため、震災直後の組織的なEM活用は南相馬市の一部等に限定されていたが、住宅内外でのEM活用による放射性物質汚染の軽減活動を希望する団体や個人に対してU-ネット災害復興支援プロジェクトを通してEM活性装置やタンクなどの機材が無償貸与され、現在も各団体での活動が継続中。農業分野ではEMオーガアグリシステム協議会の生産者の農産物から放射性物質が安定して不検出(1Bq/kg以下)となることを確認した。
稲作でもEMを活用していた玄米での放射性セシウム濃度が低く、食味などの品質も良いなどの報告が寄せられ、二本松市、福島市松川、南相馬市、田村市都路町などでEMを活用して土づくりに取り組み、品質の良い米づくりに取り組む農家が増えている。また、畜産では牧草の放射性物質低減化などの放射能汚染に対してだけでなく、質の良いEM活性液を多目的に使用することで、EM本来の効果である畜舎の環境改善や生産物の品質の向上など副次的な効果が短期間に現れている。