今年から共催団体となった法政大学沖縄文化研究所の屋嘉宗彦所長は、今年のテーマの「土くれを握りしめて」について「土で表象される自然が私たちの経済活動の、あるいは生命活動の根底にあることは文明が進むほど忘れられたり、軽視されたりします。17世紀半ばに経済学が成立したとき、その経済学の創始者というべきケネーやアダム・スミスは、私たちの社会が、農業を出発点として成り立っていることを鮮やかに描き出し、当時の、貨幣を至上の富とする重商主義の考え方を批判しました。今日、私たちは、再び、貨幣至上主義の市場経済に振り回されています。土地を生かし、人を生かすという根源的な原理が今ほど再考・再評価されなければならない時期はないと思います」と挨拶しました。
今年は、TPP(環太平洋経済連携協定)交渉をめぐり、小規模な有機農業にかわり大規模な農業への転換がなされ、生産性の向上のためにさらなる農薬散布や、遺伝子組み換え作物はどこまでも広がるのではないか、という危機感があります。しかし、だからこそもっと別の、人間らしい、たしかな農と食、そして暮らしがあるとの提案が、鮮やかに印象に残る映画祭となりました。
同映画祭では、「東京だけではなく、全国各地での上映会を開いていただきたい」と呼びかけています。
詳しくは、国際有機農業映画祭のサイトをご覧ください。 http://www.yuki-eiga.com/