可愛いゆるキャラと一緒に記念撮影

基幹産業の農業が窮地に

協力農家による標準たい肥の散布

国際ソロプチミスト田村が活動する福島県田村市と田村郡は、福島県の中央部にある農業地帯で、阿武隈山系の豊な自然と、奥州道と陸前浜街道を結ぶ交通の要衝でもあって、古くから野菜や畜産等の産地として知られていました。また、葉タバコの生産も盛んであった地域です。田村郡三春町にある「三春滝桜」は樹齢1000年を越える日本三大巨桜に数えられる名木であり、全国的な知名度も高く、毎年春になるとたくさんの花見客が訪れることでも有名です。

この地も放射線量は異常に高いとはいえませんが、東電福島第１原発の事故により全村避難を余儀なくされた相馬郡葛尾村や双葉郡川内村などに隣接しており、一部は避難区域や緊急時避難準備区域にも指定されているため、風評被害等により農業経営が危機的状況に立たされています。 特産であった葉タバコにおいて、原発事故を機に休止した耕地面積は、田村市だけでも100ha以上に上ります。放射能の影響とともに「健康被害」や「税制の変更」などで、農業経営が窮地に立たされており、TPPで影響を受けるモデルケースともいえます。

測って確認・風評被害を払拭

野菜の苗の植え付け作業

そのような地域経済を取り巻く実情と、放射能の影響を心配する住民心理に配慮する目的で国際プロプチミスト田村では、田村市常葉町内に５aの農地を借り上げて「おいしさ」と「安心」をコンセプトにした実証農園を開設しました。以下が同農園の設置主旨です。

東日本大震災に由来する東電福島第１原発事故は、福島県を中心に今なお大きな影を落とし住民を苦しめている。放射能に対する恐怖と「食の安心」など日常生活での不自由、そしてそれらが被災地と被災者に関する偏見や差別につながることを懸念している。

福島県は農業地帯であり、食品産業なども含めて産業としての裾野も広い。また広い生活空間を使用した家庭菜園や兼業農業も多数存在し、余暇の有効利用や生きがいの創出なども行われてきた。

今回は産業及び生きがいの支援として、福島県の実証試験による効果が認められた、放射性セシウムの作物への移行抑制技術を中心に、安心でおいしい農産物の「生産展示圃場」を設定し、技術の紹介とＷｅｂ等を使用した積極的な情報発信により、産業及び生きがいの創出を目的にする。またそれらを広く公知することにより、風評被害の払拭と福島の再生をアピールする。

６次産業化も視野に

国際ソロプチミスト田村は、福島県による放射能影響低減化実証試験に資材（ＥＭオーガアグリシステム標準たい肥）を提供したマクタアメニティ株式会社の協力のもと、この３月には同農園を開園して野菜等の栽培を始めています。

マクタアメニティ株式会社は震災以前から農林水産省・経済産業省等の事業認定を受け、有機循環による品質等付加価値の高い農産物の「生産・流通システム」を開発、運用しており、国際ソロプチミスト田村でも同社の生産システムで「おいしさ」などの付加価値も追求し、地域の農業再生にも寄与したいと考えています。

田村地域には、マクタアメニティ株式会社と契約してノウハウや資材の供与を受けている専業農家が存在し、今回の農園運営についても、作業の手伝いや生産技術指導を行っています。５月中旬で第一期の生産予定品の植え付けはほぼ終了しました。早ければ７月中に「じゃがいも」「なす」「きゅうり」「ピーマン」などの収穫が行われます。

国際ソロプチミスト田村では有名料理人を招いて、生産物の品質評価と試食会を行う予定です。あわせて生産物は第三者機関による放射能分析を行い、データの公表も行うということです。今回の農園開設が「風評被害の払拭」のみならず、地域１次産業が周辺の産業まで含んだ「６次化」まで進展して地域再生の礎になることを国際ソロプチミスト田村は強く望み、今後も継続的な活動を予定しています。ぜひ、ご注目ください。（駐在員　石崎弥生）

国際ソロプチミスト田村　ボランティア日記
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