EM生ごみ堆肥化事業からスタート
ユニークな市民参加で花と緑のまちへ


表彰を受ける神保戸田市長
「第22回全国花のまちづくりコンクール」(主催:財団法人日本花の会)の市町村部門で、戸田市と「戸田市花と緑のまちづくり実行委員会」が花のまちづくり大賞・国土交通大臣賞に輝いた。表彰式は10月25日、法曹会館(東京都千代田区)で行われた。

「全国花のまちづくりコンクール」は、1990年に大阪で開催された「国際花と緑の博覧会」(花博)を機に農林水産省と国土交通省の提唱で創設されたコンクール。花博の基本理念である「自然と人間との共生」を継承し、花と緑を育むことで、健全な社会づくりをめざす運動で全国的な広がりをみせている。比嘉照夫名桜大学教授が審査委員長を務め、今年度は、応募者数1382件(市町村部門5、団体部門1,095、個人部門253、企業部門29)が応募した。

戸田市は、2年前に優秀賞を受賞。家庭の生ごみと花苗の交換事業をはじめとする環境に負荷をかけない循環型社会の仕組みや緑のボランティア活動、環境と福祉の連携が進められ、これまで以上に花のまちづくりが進展したとして、市町村部門では最優秀賞にあたる国土交通大臣賞を手にした。「戸田市花と緑のまちづくり実行委員会」の委員長である神保国男戸田市長が表彰式に臨み、「今後も花と緑あふれる魅力あるまちを目指して、市と市民とのパートナーシップを軸に、さまざまな事業を展開していきたい。」と挨拶した。


スタートは架線下の花壇づくりから
戸田市の人口は126,988人(2012年10月1日現在)平均年齢39歳で、都市化が進む街並みの中に花と緑で潤いあるまちづくりを目指し、環境に負荷をかけない循環型社会や緑化活動に取り組んでいる。戸田市景観条例や戸田市環境基本条例、三軒協定(コミュニティによる景観形成、ガーデンシティの実現のため、3軒以上の連続した家がガーデニングや花、緑、外構等の景観に配慮した場合、その地区を市が認定し、支援する制度)を制定するなど、花のまちづくりに関連する様々な事業を展開。地球温暖化防止対策として、EM技術を用いた布や生ごみなどオールリサイクルによる屋上緑化の開発にも取り組んだ結果、「フェルトガーデン戸田」(商標登録)を考案したことはメディアでも取り上げられた。

また、生ごみ堆肥を活用したリサイクルフラワーセンターでは、年間9万本の花苗を生産しており、家庭の生ごみをEMボカシで処理したバケツ1杯と花苗24鉢を交換する事業や、障害者や高齢者が生ごみ堆肥「戸田の力」の製造を行っている。この結果、市内各地で花壇が増えると同時に「緑のボランティア活動」の輪も広がってきた。市民の発案によって、企業や町会、各種団体などが構成員となり、2011年に行政との協働で「戸田市花と緑のまちづくり実行委員会」が発足した。

昨年は、カナダ国際花のまちづくりコンクール(Communities in Bloomz)に「環境にやさしいまちづくり」で、みごと“四つ花”(準優勝)を受賞した。また、埼玉県からの「環境みらい都市」に初認定され、住みやすさでは県内1位と評価されるまでになった。さらに、市内の小・中学校生徒の清掃などの活動が、第9回環境美化教育優良校(文部科学大臣賞)を受賞。ガーデニングのプロを講師に学習会を開催したり、カナダやベルギー、国内では、小布施町など視察することで、市民の「花のまちづくり」に対する意欲を引き出している。

公園緑地公社が担当する市民ボランティアは現在約1,000人。花や緑を介した市民活動は、実績を重ねることで組織を超え、市内全域で統一性のある「花と緑のまちづくり」が実現している。こうした取り組みが、「ごみ問題をはじめ、都会の希薄な人間関係を花づくりを通して結ぶなど、都市の花づくりの課題をすべて解決している」と高い評価を得て今回の受賞となった。

2012年12月6日


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