この会議に並行して、国際会議場に隣接する白鳥公園などでは、11〜29日まで生物多様性交流フェアが行なわれ、政府・自治体・国際機関・NGO・NPO、大学・企業など、およそ200団体が生物多様性への取り組みを紹介し、延べ12万人が来場しました。
交流フェアにはNPO法人地球環境・共生ネットワークが、23〜29日まで出展し、1週間で約2,500人が訪れ、配布用に準備した500mlのEM活性液1,600本はすべてなくなるほどの賑わいでした。
展示ブースでは、EMによる河川浄化、農業などの事例パネル、EM活性液を顕微鏡で見た映像、EM活性液やEM団子を投入した河川から復活した貝や魚などを生態系の仕組みにはめ込んだディスプレィ(写真上から2番目)などが好評で、存在感を示していました。
あいにくの雨模様の28日にも、名古屋市内の小学生が見学に訪れ、愛知県や三重県のボランティアからの、生態系の仕組みや微生物の役割についての話に聞き入っていました。「おじいちゃんが畑で使っているEMだね」「私たちの学校のプールでもEMを使っている」など、身近なEMへの理解を深めていました。
この日は、名古屋学院大学体育館で、「伊勢湾と三河湾浄化の現状とこれから」(主催・EM伊勢湾・三河湾浄化連絡会)が開催され、定員80人の会議室に100人以上がつめかけ、関心の高さをうかがわせました。事例発表を行なったのは「NPO法人ワン・湾・市民塾」など4団体。5年前の愛知博覧会をきっかけに伊勢湾、三河湾、熊野灘をつなぐ名古屋ー三重の一大ネットワークをつくり上げています。7月19日の「海の日」に伊勢湾や三河湾を中心にした全国一斉河川浄化EM団子投げイベントは、COP10パートナーシップ事業として行なわれたものです。
最後に比嘉照夫名桜大学教授が、「他の生物に頼るような生き方や暮らし方は間違い。蘇生の力を持つEMのような技術を用いれば、人間を含めた生態系を確実に保護していける。ボランティアによる環境浄化活動は、良心に照らした人間の潜在能力という社会的な含み資産が積み上がり、その結果として健康で豊かな社会が出現する。遺伝資源の過度の利用よりも、遺伝資源の保護と再生に力を尽くすべきだ」と語りました。(写真5番目・ハワイのメディアから取材を受ける比嘉教授)
生物多様性条約(Convention on Biological Diversity)のことで、正式名称は、「生物の多様性に関する条約」。1993年に発効され、①生物多様性の保全、②生物資源の持続可能な利用、③遺伝資源の利用から発生する利益の公平な配分が目的。現在、193か国が加盟しているが、バイオ分野の企業を抱えるアメリカは条約を批准していない。
遺伝資源は、「遺伝の機能的な単位を有する植物、動物、微生物その他に由来する素材」と定義されており、遺伝資源を利用したものとして、医薬品、化粧品、バイオマスエネルギー、種苗、遺伝子組み換え食品など多岐の産業分野に関連している。遺伝資源を提供する国と利用する国との経済的利益の配分をめぐって、政治的な駆け引きが行なわれたが、今回の会議で一定のルールが決定した。
名古屋議定書の骨子 ①遺伝資源の利用で生まれた利益を公平に配分する ②遺伝資源と関連した先住民の伝統的知識も配分対象 ③遺伝資源の入手には提供国の事前の同意が必要 ④各国は企業や研究機関が入手した遺伝資源を不正利用していなかチェックする ⑤15年までに国内法に従った名古屋議定書が発効、実施する
愛知ターゲット ①2050年までに生物多様性が保証する自然と共生する世界を実現する ②多様性の損失をとめるため緊急な行動を起す ③20年までに少なくても陸域の17%,海域の10%を管理、保全を行なう ④20年までに条約実施のための人、資金を増大する