地消地産の中に 未来へつながる鍵がある 当日は地元高校生による山鹿灯籠踊りのオープニングに引き続き、有機農業の普及に尽力する保田茂神戸大学名誉教授が、「みんなで考えよう。日本の食べ物の未来」をテーマに基調講演を行った。保田名誉教授は、超々高齢化と少子化による農の担い手不足と農地の荒廃、マイナス成長の経済状況、世界規模の食糧不足などの問題点を上げ、「このままでは大変な未来へとつながる」と警鐘を鳴らした。そして、「地域で取れた農作物を食べて安全な『食』を確保し、『農』と『自然』を守る地消地産の取り組みの中に、未来へつながる鍵がある」と訴えた。
地域をつなげるEMの力 子どもたちの歌声に涙 事例発表には鹿児島県、宮崎県、熊本県でのパワー溢れる4事例が発表された。地域環境の悪化にいち早く気づいた人たちが、EMを継続して活用して蘇らせた美しい自然環境を、子や孫たちにすでに受け渡していることに、参加者は大きな感銘を受けた。 中でも、熊本県河内町の河内小学校4年生が、ホタルのすめる町にしてくれた地元の人たちと川や海や山を、BEGINが歌う「島人ぬ宝」(しまんちゅぬたから)を「河内の宝」と替え歌で唄うと、その澄み切った歌声に目頭を押さえる姿も見られた。 最後に登壇した比嘉照夫名桜大学教授も、感極まった様子で、「美しい自然を子どもや孫たちに手渡すことは、先に生まれてきたものの務め。EMの真価を引き出し、それを達成したみなさんに感謝したい」と述べ、「人と人との信頼の上に、今まで使っていたものの変わりにEMを使うことを習慣にする。それだけで、環境がきれいになり、農業は豊かになり、食は安全になる。人間は健康になり、幸福になるという善循環が回り始める。政治を変えることは、くらしの仕方を変えること。ぜひ、信頼と習慣を合言葉にたくさんの人にEMを使っていただきたい」と結んだ。
事例発表は以下の通り。
早期水稲におけるEMの活用農業 栄楽 正光(鹿児島県肝属郡)
比嘉教授講評:米・麦の輪作を行い、残渣を土に戻しEM活性液を使うことで農地の利用率をあげ、収穫を増やすことが現在では可能になっている。米ヌカをまき、EM活性液をかける簡易な方法も推奨できる。従来の農業の考え方を変えて、創造的な農法を考えてほしい。
EMパワーで町づくり 奥古閑校区まちづくり協議会 前田洋子(熊本県海路口町)
比嘉教授講評: EM環境活動をすすめるボランティア団体「クリーン帯山」(熊本市・青木スミエ代表)のメンバーによる指導の成果が、EMパワーとなって町を動かしているのは素晴らしい。暮らしのなかにEMが定着しており、新しい政(まつりごと)が始まっていることを感じさせる。
豊かな自然といのち輝く地域づくり 水を守る会 谷口みゆき(宮崎県綾町)
比嘉教授講評:町の集会などで町民憲章を唱和する人々の郷土愛が、花のまちづくり大賞などの実績につながっている。有機農業モデルタウンとしてもトップを走っている。21世紀の町づくりのお手本になってほしい。
町ぐるみで生ごみ減量から海の再生まで 河内校区せせらぎ会 中川ケイ子(熊本県河内町)
比嘉教授講評:きれいな海になって一番恩恵を受けている漁協のみなさんのお礼の言葉や、河内小学生の「河内の宝」という歌の中にある感謝の心に感銘を受けた。これからも、次世代のDNAに「地域がひとつの家族のように楽しく助け合う」という遺伝子が組み込まれていくと思うと、とてもうれしい。