庶務執事は、「遷都1300年、青々とした若草山の丘はここ数十年で急速に悪化してしまった。あらゆる手を使って回復を試みたが、EMを活用して自然は自らの力で甦ることが分かった。これから、100年、200年先を見越して豊かな自然を基盤にした東大寺を守っていきたい」と話し、満場の拍手を浴びた。 また、世界遺産登録をめざす京都府の天橋立での取り組みも発表された。
EMの開発者である比嘉照夫名桜大学教授は、「歴史的建物はしっかりとした土壌の上に築かれて、綿々と受け継がれていく。歴史と文化そのものの美しい自然を取り戻すことこそ、日本を甦らせる道だ」と述べ、「EMならばそれができる」と結んだ。なお、発表の合間に、「なら100年会館こどもお能グループ」の子どもたちが、オリジナル新作「善財童子」を上演し、参加者は日本古来の文化を楽しんだ。
翌日には、庶務執事が取り組み状況を説明し、比嘉教授が解説する東大寺視察ツアーが行われた。100人を超える参加者は、東大寺でのEM活用に関わるU−ネット奈良の後藤和子さんと技術協力している(株)EM助っ人ねっとの岡宏典さんとともに境内を回り、各EM活用場所での説明に聞き入った。
これらの問題に対して、阿蘇海側の地域では、官民協働の機関などが環境改善、海岸の清掃活動を行っているが、平成19年から、自治会主体の「文殊まちづくり協議会」が、阿蘇海に流れ込む文殊どんぶち池にEM活性液19トンとEM団子8000個を投入。観光協会、婦人会、漁業組合などを巻き込んで活動した結果、どんぶち池の水が澄み、ヘドロが削減、船底につくフジツボが減少した。また、府中地区のだんご川にも自治会、婦人会、小学生らが参加してEM活性液やEM団子を投げ入れ、川の浄化に取り組んでいる。今後は世界遺産を目標に池や川からEMを流す阿蘇湾ジャブジャブ作戦を行う予定だ。
事例② 和歌山県「EMと共に有機農業15年の歩み」 紀州大地の会代表 園井信雅
市民活動としては、「和歌山EM活用研究会」を発足させ、EM研修会やごみ減量研修会を行い、婦人団体や環境NPOとの交流をしている。そうした活動に対して、平成18年には第5回和歌山県環境大賞を受賞。環境教育に関しては、50校の小中学校でEM環境学習を実施し、プール掃除を行った学校は9校になる。これらの多方面での活動を通して地域社会にEMカルチャーを根付かせ、生態調和型のエコロジカル文明社会を創造したい。
専門の園芸技術を駆使して、キッチン容器(タッパー容器)での播種と育苗づくりを開発。台所でできるユニークな花づくりはNHK「趣味の園芸」でも取り上げられた。
この方法の利点は、①家庭内環境が発芽に良い、②ザルを使うことで熱湯処理を行うことが簡単にできる、③移植の失敗がない、などで主婦に好評。この方法にEMを組み合わせる実験を行い、健康な苗づくりをすることができることを実証している。平成19年地元の兵庫県三田市に、三田花とみどりのネットワーク環境緑花部(グリーン・フィンガーズ)を設立して、新三田駅ロータリーのガーデニングを行う。枯れ草を倒して、米ヌカをまきEM活性液をかけて堆肥にするなど、環境にやさしい循環型の公共緑化を行っている。
事例④「東大寺・池の浄化と松の蘇生」 華厳宗庶務部長・東大寺庶務執事
そのころ、奈良市の河川課から雲川の浄化にEMが使われているのを知り、半年間かけて調査を行い、平成19年からEMによる環境改善プログラムをスタートさせた。1トンタンクを境内に設置し、現在では3人の職員のEMチームが活動している。主な取り組みは、
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海外事例① ペルー「貧困農家対策プログラム」 BIOEMSAC社営業部長 フランシス・レイエス
この問題を解決するために立ち上がったのが、EM製造会社のBIOEMSACと今までは農薬を推奨していた政府機構Pronamachs。2005年から1年間かけてPronamachsの組織の80人がEM技術を習得し、EM農業普及員となった。2007年からはその普及員たちが、アッシュ山岳地域1万2000人の農家に、EM活性液のつくり方、活性液を活用した堆肥や液肥づくり、EMを使ったバイオ肥料づくりなどを指導した。その結果、ジャガイモ栽培農家では、1ha当りの収量20〜30%上昇し、病害虫は減少。化学肥料の使用量は80%減少となった。他の農家も総じて、①収穫量が多くなる、②化学肥料の使用が減る、③農家の収入が上がる、④農家の生活が向上するなど、好循環が生まれて貧困解消に役立っている。
海外事例② コロンビア「カヒカ市の生ごみ堆肥化プロジェクト」 財団法人FUNDASES代表 アミルカル・サルガード
各家庭で生ごみをEM処理し、市が週1回回収して、有機肥料として再生している。この生ごみリサイクルの推進のために、FUNDASESがEMインストラクター養成プログラムを作成。活用実績の1つとして、市は高校生生活2年間に義務づけられている奉仕活動に、1人の学生が25軒の農家をEMによる生ごみリサイクルで指導を行うプログラムを組み込んだ。学生440人が指導した農家数は1年で1100人となる。
学生たちは、農家に生ごみ堆肥化が必要な現状の環境問題を伝え、EMでの生ごみの堆肥化や液肥の使い方までを指導する。この取り組みで、住民の意識改革が起こり、住民参加型のプロジェクトにまで発展した。各家庭でEM処理をしっかりやらない場合は、罰則として回収代金が上がるが、きちんと実行した人には回収代金を据え置きされ、市から掃除グッズがもらえる表彰制度もあり、市の生ごみリサイクルは順調に進んでいる。