これは、12年前からEMの最新情報と多面的な活用技術について、カレッジというスクール形式の集中講座として、毎年1回県内各地で行われている。この講座を通じて、人材育成の実を上げ、自然循環型の地域づくり、まちづくりへの好機となることを願いとしている。
今回は、(財)自然農法国際研究開発センター(以下、自然農法センター)理事長の天野紀宜氏と有機農業推進議員連盟事務局長・参議院議員のツルネン・マルテイ氏の講演の他、EMを活用した農業と環境などの取り組みについて、5人の発表があった(講演者一覧は別掲)。
自然農法センターの天野氏は、「微生物は生命の最小単位であり、地球環境を支えているもの」と微生物の働きの重要性を訴えた。また、「自然農法は自然の力をいかに引き出し、創造的な農業をして いくかが基本。そのために、①思いやりの心を育てる生活、②健康第一の生活、③生活の芸術化を通して、大自然の意志に沿った生き方暮らし方をしよう」と、自然農法の創始者岡田茂吉師の理念・哲学を分かりやすく解説した。
有機農業と環境浄化に不可欠なEM
参議院議員のツルネン氏は、「EMが有機農業推進の大きな課題の1つである、技術の確立と普及において重要な役割を持っている」と評価し、大規模複合、産業、CSAなどの会員制農場として有機農業が軌道に乗っている事例や新規就農者を続々排出している「有機のがっこう『土佐自然塾』」や「霜里農場」などを紹介。「10年後には、日本でつくられる有機農産物が1%から50%になるものと信じている」と有機農業の明るい展望を語った。
自然農法センターの松實氏は、有機農業技術のポイントとして、「良質な堆肥やEMボカシは土づくりに必要だが、過剰な施用は弊害を招く」と施肥方法について注意を促した。
EM研究所の津曲氏は、EMボカシについて、「pHはT型 4.5以下、U型 5.0以下を目標に、水を加え一晩置いてもpHやECの変化が小さく、悪臭がしないのが良質のもの」とできの良し悪しの見分け方を話した。
その後、会場を「スコラ高原」に移しての懇親会では、地元でつくられたEM野菜やEM養鶏のしゃもなどが振る舞われ、参加者同士で交流を深めた。また、翌日は現地視察が行われ、参加者は、国定公園帝釈峡にある神龍湖の浄化の様子や野菜や米の栽培農家の圃場を見て回った。
講演者一覧(発表順) ●基調講演「21世紀の創造的生き方」 (財)自然農法国際研究開発センター理事長 天野紀宜氏 ●発表「EMと町づくり」 神石EM普及協会会長 藤井仁士氏 ●講演「有機農業の展望」 有機農業推進議員連盟事務局長・参議院議員 ツルネン・マルテイ氏 ●学習「有機農業の実践」 (財)自然農法国際研究開発センター 京都農場長 松實能文氏 ●発表「Webエコ・ピュア掲載・全国のEM活用事例」 EM情報室 松崎司氏 ●学習「EMボカシの農業利用」 (株)EM研究所 津曲徹氏 ●発表「善玉バイオ洗剤・浄」 (株)ツー・エム化成代表取締役社長 水上雅博氏