大会実行委員長の工藤正義さんは、平成10年に発足したEM十和田会の代表で、地元十和田市はもとより東北町や三沢市、おいらせ町などの地域グループと連携して、EMを活用した農畜産・環境・水質の改善に取り組んでいる。また、工藤さんは元小学校校長で現役時代には県内の教育関係者らとともに教育現場におけるEM技術と情報を青森発で全国に発信し続けた。開会主催者挨拶で浜渕隆男U−ネット運営委員長は、「青森県はEM活動の先進地の1つ」と讃えた。
続いて講演した脳外科専門医の杉本医師は、「EM大好き」を自認。「化学テクノロジーと微生物テクノロジーの共存で、病気にならないための予防医学に光が見えてきた。EMは直接病気をやつけるのではなく、あくまでも自己免疫力を取り戻すことにある。その結果、病気を修復させることができるのであって、微生物のテクノロジーを使って得る恩恵は大きい」と話した。
第2部の事例発表では、ボランティアによる地域づくりの成果や町内会と連携した生ごみリサイクルと有機野菜づくりに取り組む農業者グループの活動、行政担当者によるEMを活用したまちづくりの仕組みなど4事例が披露された。発表者の中には、津軽弁を活かした語り口で会場を沸かす場面もあった。
講演要旨「日本医療の現状と予防医学」 医療法人「照甦会」理事長 杉本一朗
日本は、世界がうらやむほどの充実した医療制度と最先端医療機器を有するが、日本人の7割が亜・健康人(健康人でもなければ病人でもない)になっている。抗生物質の国民1人あたりの年間使用量は、アメリカ国民の3倍。アメリカはイギリスの3倍で日本人は9倍の薬漬けの現状だ。農畜産業まで広げるとたいそうな量になる。日本で年間認可される指定食品添加物(化学添加物)は351種類で、1年間平均25kg消費する。マーガリンなどに使われているトランス脂肪酸は、諸外国では製造禁止、もしくは規制が厳しいが、日本ではまったく規制されていない。 難病が増えてきている。なぜこんなに増えてきているのか。栄養学重視で、本物の食材を食べることが置き去りにされている。
現代医療の中の矛盾を抱えてどうにもならなかったときにEMに出会い光を見つけた。病気にならないためには、自然環境が大事で、良い食、水、空気が揃わなければならない。本物の食材を得るには、土壌環境を整えることで、土壌環境を整えるには微生物環境を整えなければならない。微生物は自然界で汚染を分解する力がある。EMを使えば簡単に蘇生型土壌になり、自然は自ずと良くなってくる。微生物テクノロジーを使うことで、予防医学は多くの恩恵を受けることができる。
事例発表要旨 「私のEM活動」 南郷の環境を考える会会長 古市忠雄(八戸市)
「町内会に支えられ、生ごみで野菜づくり」 さくら会代表 柏崎幸子(おいらせ町)
「“かっちゃパワー”が動かす、鰺ヶ沢の環境改善」 鰺ヶ沢町政策推進課政策推進班副主幹 須藤久輝
「国の予算で“EM有機の町”づくり」 板柳町教育委員会・生涯学習課課長 石澤雅人
比嘉教授全体講評 EMに使い方のパターンはない。すべて使う人の能力で決まる。鰺ヶ沢と板柳町はEMのモデル地区、先進地区になっている。行政主導のEM活用で人材育成もスムースに行って、町内のどこでもEMが活用できるようになっている。善循環の未来型社会にチャレンジする事例だ。