長尾見二実行委員長(愛媛県有機農業研究会長)の挨拶の後、「農を変えたい!全国運動」代表の中島紀一茨城大学農学部教授が、①未曾有の経済・社会・政治の危機の中で、時代を救う道を地域と農に広げる、②食をめぐる情勢の激動のなかで、農とつながる食の再建を進める、③有機農業の推進で地域の危機を救う、④農と暮らしの現場から人と自然の共生の道を探り広げる、との4つの課題を提起した。また、「個人や団体のものであった有機農業の思想性や技術を地域に公開し、磨き上げて社会化することが、時代の要請である」と結んだ。
今回の集会のキーワードは、「地域の再生」。全体会では基調講演や同「全国運動」から立ち上がった「NPO法人全国有機農業推進協議会(全有協)」と「NPO法人有機農業技術会議」の取り組み報告などが行われた。さらに会場を分けて2つの分科会が行われるなど、盛りだくさんの催しとなった。
また、ベテラン有機農家の本野一郎さんや金子美登さん、コープ自然派の岸健二さん、愛媛大学農学部の胡柏教授、農林水産省農業環境対策課の堀川昌昭課長補佐らによる、有機農業の普及に関するパネルデスカッションや各地区のリレートークなども行われた。
新規就農者向けの分科会も開催
続いて、愛媛大学農学部の篠崎理沙さんらが、有機農業の可能性について調査した結果を報告。「消費者は有機農産物をほしがっているがどこに売っているかの情報がない。有機農家と慣行農家の生産性を調査した結果は、有機農家の方が経済性においても優位にある」など、技術アップと市場の拡大があれば、有機農業の未来は明るいとの結論に、会場も和んだ。
コメンテーターのNPO法人有機農業技術会議理事長・西村和雄さんは、「疲弊する農業とはまったく別な顔を持つ有機農業の魅力と価値を若者たちが体現してくれている」とコメント。土づくりの大切さにふれ、「土の微生物を生かす農法を大いに学んでほしい」と次世代の有機農家を励ました。
最後に、大会アピール文を高知県有機農業研究会の宇和川央さんと愛媛県有機農産生活協同組合の秦左子さんが読み上げ、「地域農業の形成を国内外の市場との関係性からではなく、地域の食、地域の自然、地域の産業、地域の暮らし、地域の生活文化との関係性で追求していく。(中略)まちづくりの基本に自然との共生を揚げて、地域に生きる人々の交流と連携から、地域に新しいコミュニティを育てたい」と結んだ。
なお、来年度は東北地区での大会が予定されている。