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「農を変えたい!全国集会in今治」開催
食の再生は農の再建から、地域の再生から



有機農家、行政関係者、生協などの流通関係者などで会場は満員に
「第4回農を変えたい!全国集会in今治」(主催:同集会四国実行委員会)が2月28日、愛媛県今治市のテクノポート今治で開催され、全国の有機農業関係者ら約500人が参加した。

長尾見二実行委員長(愛媛県有機農業研究会長)の挨拶の後、「農を変えたい!全国運動」代表の中島紀一茨城大学農学部教授が、①未曾有の経済・社会・政治の危機の中で、時代を救う道を地域と農に広げる、②食をめぐる情勢の激動のなかで、農とつながる食の再建を進める、③有機農業の推進で地域の危機を救う、④農と暮らしの現場から人と自然の共生の道を探り広げる、との4つの課題を提起した。また、「個人や団体のものであった有機農業の思想性や技術を地域に公開し、磨き上げて社会化することが、時代の要請である」と結んだ。

今回の集会のキーワードは、「地域の再生」。全体会では基調講演や同「全国運動」から立ち上がった「NPO法人全国有機農業推進協議会(全有協)」と「NPO法人有機農業技術会議」の取り組み報告などが行われた。さらに会場を分けて2つの分科会が行われるなど、盛りだくさんの催しとなった。



人気商品となっている「馬路村ごっくん」のラベルを全国から募集
基調講演では、高知県馬路村農協組合代表理事の東谷望史さんが「ゆずによる地域づくり」と題し、林業の衰退を機にゆずでの村おこしを成功させた経緯を紹介。「自給のための『ゆず』だったため、農薬や化学肥料は使わなかったことで、平成9年から農協が率先して有機栽培に転じ、有機JAS認定農家15軒を含めて全村有機栽培を行っている。『馬路村ごっくん』(ゆずの清涼飲料水)をはじめ、多種多様な商品アイテムをつくることで、村の農地を守りながら経済的にも持続可能な村となった。今では、人口1000人の村に年間3万人の観光客が訪れている」と話した。



さいさいきて屋の外観。売り場面積540坪年間売り上げ20億円という日本最大級の直販所
分科会1「地域に有機農業を広げよう」では、四国の事例として、JA越智今治直販開発課長の西島文秀さんが、「学校給食と食育と農業~さいさいきて屋の挑戦~」と題し発表。「農協だけではなく漁協とも連携して、米、野菜、魚、肉、加工品、花など、地場の食を集めた総合食品市場を形成し、それらを食材とした食堂やカフェなどを併設しているのが特色とし、さらに、9反の農園を併設して、市民農園や子どものための菜園に活用している。電化キッチンを備えた調理室では料理教室も開かれ、食育の場となっている。学校給食へは、51の幼小中に1万5300食分の野菜を供給している」と話した。

また、ベテラン有機農家の本野一郎さんや金子美登さん、コープ自然派の岸健二さん、愛媛大学農学部の胡柏教授、農林水産省農業環境対策課の堀川昌昭課長補佐らによる、有機農業の普及に関するパネルデスカッションや各地区のリレートークなども行われた。

新規就農者向けの分科会も開催



次世代を担う若者たちが有機農業の世界に入ってきている
新規参入・就農者向けに行われた分科会2「有機農業をはじめよう」では、高知県「有機のがっこう土佐自然塾」塾長の山下一穂さんが、誰にでも取り組める有機農業技術と農業で生きるための市場へのアプローチ法を公開した。さらに、参入促進フォーラムとして、就農数年の若い有機農家がそれぞれの暮らしと農業への思いを語った。経営的には有限会社を設立した徳島県石井町の横田光弘さん、技術的には、愛媛県西予市の中野聡さんの自然農法の取り組みに注目が集った。

続いて、愛媛大学農学部の篠崎理沙さんらが、有機農業の可能性について調査した結果を報告。「消費者は有機農産物をほしがっているがどこに売っているかの情報がない。有機農家と慣行農家の生産性を調査した結果は、有機農家の方が経済性においても優位にある」など、技術アップと市場の拡大があれば、有機農業の未来は明るいとの結論に、会場も和んだ。

コメンテーターのNPO法人有機農業技術会議理事長・西村和雄さんは、「疲弊する農業とはまったく別な顔を持つ有機農業の魅力と価値を若者たちが体現してくれている」とコメント。土づくりの大切さにふれ、「土の微生物を生かす農法を大いに学んでほしい」と次世代の有機農家を励ました。

最後に、大会アピール文を高知県有機農業研究会の宇和川央さんと愛媛県有機農産生活協同組合の秦左子さんが読み上げ、「地域農業の形成を国内外の市場との関係性からではなく、地域の食、地域の自然、地域の産業、地域の暮らし、地域の生活文化との関係性で追求していく。(中略)まちづくりの基本に自然との共生を揚げて、地域に生きる人々の交流と連携から、地域に新しいコミュニティを育てたい」と結んだ。

なお、来年度は東北地区での大会が予定されている。

(2009年3月11日)

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